2011年12月31日土曜日

Crazy Clown Time : David Lynch

本当に本当にいろいろあった今年、残すところあと僅かとなりました。個人的には1年で2回も(大震災と首都直撃台風)帰宅難民になったのが強烈体験でした。来年こそ、世界にとっても皆様にとっても希望にあふれる年でありますように。 

それでは今年最後の投稿へ。 

僕の義母は幼少の頃から声楽やピアノをやっていた人で、大人になってもその道に進んだ人。子供(いわゆる僕の嫁)が生まれてから絵画を始め、今や有名な展覧会に入選する腕の持ち主。写真を撮らせれば上手だし、いわば芸術分野に長けている人。でも話すととてつもない天然ぶりを発揮し、常人とは違う次元に生きているんだなぁ、って何度も思う。何故そんなことを書いているかというと、鬼才デヴィッド・リンチの初アルバムを聴いて、真っ先に義母を思い浮かべたから。



やはり芸術分野に生きる天才や鬼才は、一つの分野以外にも大きな才能を発揮する典型例。 今年初頭にシングル(過去レビュー )をリリースし、カルト世界に生きる人間たちをあっと言わせた大監督。今年65歳になっても創作意欲を失わない姿勢に大感動したもんですが、それ以上に作品が素晴らしいことに大きな衝撃を受けた。先行シングルからしてエレクトロポップな作品を想像していたんですが、このアルバムで聴けるのは「I Know」路線を突き進めた、50年代ブルースを新世紀向けにアップデートした耽美トラックの連打。ボーカルは電気処理で異型に歪められ、リスナーは過去のトラックを聴いているのか最新トラックを聴いているのか錯覚を覚える。この作品は過去なのか、現在なのか?快楽なのか、苦痛なのか?明なのか、暗なのか?という問いかけをしたくなるほど、狂気と矛盾を孕んでいる。奈落の底に堕ちていきながら、底が見える瞬間というのはこういうことなのか?これはもう監督の音楽作品というより、脳内向け映像作品、いやそれ以上のエクスペリエンスと言っていい。デヴィッド・リンチ監督ファンは必聴なのは当たり前ですが、NINなどのゴスな世界を愛する人々も必聴といっていいでしょう。個人的に今年のベストアルバム。

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