2012年6月28日木曜日

大黒屋

スープの無いラーメンである「油そば」。15年ほど前からメジャーな存在となり、都内でも複数のお店を見かけることができます。そもそもWikipedia出典 によれば、発祥は1952年だというからそれなりに歴史のあるカテゴリー。それはそうと、首都圏以外でも油そばを食べることができるのでしょうか?



人が集まるところは当然ながらラーメン激戦区となる。渋谷も例に漏れず、油そば専門店もいくつかある。国道246号沿いのガード下に新しいお店ができたので足を運びました。一応解説しておくと、スープの無いラーメンなのでカロリーは普通のラーメンよりも低い、というのが油そばの共通認識。



特製油そばを注文しました。並盛200gであろうと大盛300gであろうと値段は同じ。それならば大盛をオーダーするのが男の心意気というもんじゃありませんか。大ぶりの器に盛られているのは極太メンマに炙り角切りチャーシュー、キャベツ、もやし、刻みネギに味付け玉子。この下に極太縮れ麺がぶっこまれており、底にタレ汁が沈んでいる。コイツらを底からぐわっと持ち上げマゼマゼするのだ。タレの味付け具合や香りも、モチモチした麺の食べ応えも申し分なく、しばらくしたらラー油とお酢を2~3周ほどぐるっとかける。味の変化を楽しみながら、豚のようにガツガツと食らいまくる男飯。それほど油まみれになるわけではないが、ひたすらジャンクな味わいを堪能することが出来る。しかもこれまで食べた油そばの中でも、俺様ランキングの上位にくるほどクオリテイが高い。体調のいい時に再訪したくなってきた。

住所:東京都渋谷区渋谷3-29-72
大黒屋ラーメン / 渋谷駅神泉駅 ) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2012年6月25日月曜日

Siamese Dream (remastered) : The Smashing Pumpkins


Siamese Dream (remastered) : The Smashing Pumpkins

今さら説明するまでもありませんが、現在のスマパンでオリジナルメンバーはフロントマンのBilly Corganのみ。歴代ベーシストは全て女性であり、現ベーシストはNicole Fiorentinoという方。何を隠そう、スマパンが大ブレイクするきっかけとなったSiamese Dream(過去レビュー )ジャケットに写っている左側の女の子。Billy Corganは彼女をメンバーに受け入れてからその事実を知ったそうだが、本当に後から知らされたの?何だか出来過ぎた話じゃないの?と思ったのは僕だけではあるまい。

さてさて、Gish再発盤と同時リリースとなった本作。内容も今更言うまでもないが、スマパン作品の中でも最高傑作の部類に入るだけでなく、90年代ロックの金字塔といってもいい作品。Disc-2はメタリックな爆轟音ギターが響き渡るアルバム未収録曲オンパレードです。特筆すべきは1993年8月にシカゴのMetroで収録されたライヴ映像で、Gish再発盤に収録されたライヴとは状況が大きく異なっている。つまりSiamese Dreamで自らの存在を世に知らしめた故、本ライヴではオーディエンスの反応が異常とも思えるほどのハイテンション。モッシュの嵐によりBilly Corganもとても気持ちよさそうに、上機嫌に演奏している。これ以降、バンドを取り巻く環境が激変していき、世界中の悲しみを一身に背負ったかのような名作にして超大作「メロンコリーそして終りのない悲しみ」(過去レビュー )をリリースすることになる。

2012年6月22日金曜日

ソラノイロ


ここ最近、仕事で麹町界隈に行く機会が増えました。その結果、ここら辺でラーメン店の新規開拓にいそしむ訳です。今回訪問したのはカフェのようにシャレオツな外観・インテリアの「ソラノイロ」。昼飯時になるとご覧の通りの行列ができるお店です。


メニューは通常の「中華ソバ」と創作ラーメンらしき「ベジソバ」の二本柱になっている模様。後者はオリジナルのベジタブル麺ということで、特に女性にオススメらしい。僕は「特製中華そば」を注文した。この他にも夜の一品として「手作りギョーザ」や「スープ炊きワンタン」等々があるらしいので、そちらも非常に気になるところ。


これまたシャレオツな器に盛られてきた「特製中華ソバ」。熱々のスープを啜ってみると、実に香ばしい醤油味が口の中に広がる。豚・鶏・魚介類をダシにしたオーソドックスなスタイルなんだけど、醤油ダレと香味油のこだわりがあるらしく、独特のインパクトを与えてくれる。具材に使われているチャーシューは柔らかく煮こまれており、こいつも中々の味わい深いインパクトがある。他には味付け玉子と極太メンマ、海苔が搭載されている。気になる麺は細めのストレートで、ツルッとした表面でありながらシコシコとした喉越し。これがまたスープとの相性が抜群なものになっている。ただし全体的にボリュームが少ないのは否めず、途中で玄米ごはんを追加注文してしまった。おそらく化学調味料は使っていないのであろう、全て飲み干しても口の中に後味が残らない上品なものとなっていた。店主のこだわりとセンスが感じられる逸品です。

住所:東京都千代田区平河町1-3-10
ソラノイロラーメン / 麹町駅半蔵門駅永田町駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2012年6月19日火曜日

Gish (remastered) : The Smashing Pumpkins


Gish (remastered) : The Smashing Pumpkins

90年代オルタネイティヴロックの旗手として一時代を築いたThe Smashing Pumpkins。去年の暮れにデビュー盤「Gish」のリマスター盤をリリースしましたが、しばらく放置してしまった後にようやく聴いてみました。91年にリリースされたオリジナル盤の音圧が低かったこともあり、長きに渡って僕に黙殺され続けたアルバムでもあります。で、聴いてみて驚いた。当然ながら音質・音圧が素晴らしく改善されているので、作品本来が持っている輪郭やダイナミズムがくっきりとなっています。Siamese Dream(過去レビュー )で大ブレイクする前夜ということもあり、バンドが持っている勢いが新鮮にパッケージし直されているので聴き応え充分。このデビュー作品の時点で、バンドはサイケデリック感覚とニューウェーヴ感覚、憂いと轟音を兼ね備えた完成形だったのだと再認識しました。

特にデラックスエディションのDisc-2にあるアルバム未収録曲が素晴らしい。デモセッションや新ミックスが18曲に渡って収録されているんですが、全く別の角度からアルバムへ光を当てた怒涛のトラック群となっています。加えて90年8月にシカゴのライヴハウス「Metro」で収録されたライヴ映像も見逃せない。音質・画質はクオリティがかなり低いのですが、実に演奏能力が高いバンドだなぁと実感。炎が噴出するような演奏を見せる男3人とは対照的に、妖艶にベースを演奏するD'arcyがクール。

近く5年ぶりのオリジナルアルバムをリリースするThe Smashing Pumpkinsですが、この時のバンドメンバーとは全く違っているのは御存知の通り。フロントマンであるBilly Corganは独特な声質の持ち主ゆえ、卓越したボーカリストであるのは言うまでもなく、ギタリストとしての腕前も確実なものであり、ソングライティング能力も極めて高い。ただし、この頃のバンドが持っていたケミストリーや爆発的な化学反応が、今のバンドに引き継がれているわけでもない。新作をリリースしてくれるのは嬉しいんですが、微妙な気持ちでいっぱいです。

2012年6月16日土曜日

九十九とんこつラーメン 恵比寿本店


ラーメン激戦区である恵比寿の中でも、ひときわ存在感を放っているお店が「九十九とんこつラーメン」。あまりにも有名すぎて、今さら記事にするのもはばかれる感じです。一応行ったことのない人のために解説しよう。このお店を有名にしているメニューこそ「元祖○究チーズラーメン」なのだ。テレビや雑誌でも取り上げられているので、ご存じの方も多いでしょう。


その名の通り、これでもかというぐらいに粉チーズがてんこ盛り。「ラーメンにチーズだとう?」と訝しむことなかれ。淡麗な味噌と豚骨ベースのスープに中太縮れ麺が投入されており、具材にはもやしが投入されている。更にその上に、ご覧の通りの粉チーズが乗っているという体裁。この粉チーズを作るには相当のこだわりがあるらしく、チーズ臭さを微塵も感じさせない。このチーズを少しづつスープに溶かしながら味わっていくという食べ方が推奨されており、溶けたチーズがスープをまろやかにしていくという仕掛け。味噌スープが徐々に芳醇な味わいとなって、コシのある麺に絡み付いていく。味もそれほど濃厚というわけでもなく、いつの間にやらスープを全部飲み干してしまう旨さ。このお店には何度か足を運んだことがあるが、このチーズラーメンしか食べたことがない。思えばこのお店って豚骨がメインなんだよね。次回は豚骨を食べることにしよう。

ホームページ:http://www.tukumo.com/
住所:東京都渋谷区広尾1-1-36
九十九とんこつラーメン 恵比寿本店ラーメン / 恵比寿駅代官山駅広尾駅
夜総合点★★★☆☆ 3.0
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2012年6月13日水曜日

Black to Comm : Primal Scream / MC5


Black to Comm : Primal Scream / MC5

プライマルズのルーツがロックンロールにあることは自明で、その中でもガレージロックに大きな根っこを下ろしていますが、取り分けMC5から大きな影響を受けているのは有名。この作品はその2バンドが共演した記録。ロンドンで毎年行われているメルトダウン・フェスティバルに於いて、2008年にロイヤル・フェスティバル・ホールで収録されたもの。ライヴではアルバムと違う攻撃的な趣を見せるプライマルズですが、このライヴでも共演者がMC5ということもあり相当攻撃的な演奏を披露しています。

プライマルズが合計11曲、MC5が合計12曲、アンコールでは両者が5曲をパフォーマンスし、しかもライヴDVDも付いている。しかしながらこのライヴ映像が非常に退屈。カメラワークも大したことないし、舞台装置も極めてシンプル。会場もそれほど大きくない割には観客のノリがさほど良くない。ロックンロールが持つ反体制的な攻撃力が全編を貫いてはいるんですが、これはあくまでも豪華共演の記録として位置付けられるべきもの。新味が感じられないというか、ベタな感じがして繰り返し聴くにはチト辛い。マニア向けアイテムでしょう。

2012年6月10日日曜日

鶏ポタ ラーメン THANK


浜松町~大門界隈で注目度が高まっているお店「鶏ポタ ラーメン THANK」に行って来ました。路地をちょいと入ったところにあるので人目につきにくいと思いますが、シャレオツな外観のお店前はお昼時ということもあり賑わっていました。


ラーメン業界でここ最近の大きな流れとなっている「化学調味料無使用」がこのお店の売り。更にはお店の名前通り、鶏がらベースのスープに野菜ポタージュを合わせたスープを全面に押し出しています。


卓上にも能書きが置いてあり、解説が事細かに書いてある。ここまで丁寧に書いてあるなんて、相当のこだわりがあるようだ。


僕が頼んだのはスペシャルラーメン。スープはポタージュの濃度(さらり/とろり/ぽてり)から選べたので、「適度なとろみがあります」という「とろり」にした。このスペシャルラーメンは通常のラーメンに「塩玉」と「手羽先*3」が加わっているもの。骨がついていない手羽先は非常に香ばしくて柔らかい。この手羽先と鶏ポタスープとの相性がとてもいいのは計算しつくされているかのよう。スープはお察しの通り、野菜ポタージュスープの優しい味わいと、鶏白湯スープの旨みが合わさっている。ポタージュ独特のざらっとした食感ととろみが新しい質感を醸し出しているではないか(ただし、僕にはやや塩分が強く感じた)。麺には博多ラーメンの如きストレート極細麺が使われており、こちらもスープとの相性が素晴らしい。全体を通して完成度が極めて高く、能書き通りのこだわりが随所に感じられる新感覚ラーメンとなっていました。

住所:東京都港区芝大門2-1-13 芝大友ビル1F
鶏ポタ ラーメン THANKラーメン / 大門駅浜松町駅芝公園駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2012年6月7日木曜日

Blunderbuss : Jack White


Blunderbuss : Jack White

ロックンロールに魂を売り渡した男 Jack White。惜しくも2011年に解散してしまったThe White Stripesの片割れであり、最近ではThe RaconteursやThe Dead Weatherといったバンドでの活動でも知られている彼が、キャリア15年の中でも初めてというソロアルバムをリリースしました。ここ最近ではJimmy PageやU2のThe Edgeと映画「ゲット・ラウド」で共演を果たし、映画「シャイン・ア・ライト」でもストーンズと客演していることから若手の中でも実力的に最高峰に位置するギタリストと言えます。その男が作った作品は果たしてどうなっているのか?これがもう全く期待を裏切らないものとなっていました。

The RaconteursやThe Dead Weatherで垣間見られたような、ブルースにコミットしているロックンロールとも違う。The White Stripesのようなガレージを背景としたロックンロールとも違う。いや、その両方を兼ね備えた、ブルースやカントリー、フォーク、スウィングと言ったルーツミュージックを総括しているロックンロールアルバムだった。アコースティックギターやピアノ、弦楽器を多用することにより、中期ストーンズを彷彿とさせるようなダウントゥアースな雰囲気を醸し出し、M2にみられる引っ掻くような強靭リフでZepを彷彿とさせる。相変わらず妖艶で呪術的グルーヴに満ちた作風は、ロックンロールの過去を俯瞰しながら未来を占うことのできるものだ。いい意味で肩の力が抜けた作風は、Jack White本人の自信を伺えるものとなっていた。

2012年6月4日月曜日

らーめん上々 麹町店


半蔵門・麹町界隈にて午前中に仕事を終える。いつのものように新規ラーメン店を探す作業に勤しむ。何故そんなに新しいラーメン屋を探しては食べ続けるのかって?今知っている以上に美味しいラーメン屋があるに違いない、と希望を持っているからに決まっているじゃないか。Wスープというキーワードに惹かれて、この御店にたどり着く。店構えにそれほどセンスを感じなかったので、やや懸念を感じたが。


食券機にもセンスを感じなかったので、懸念は更に深まる。取りあえず特製らーめん(900円)を注文した。


お店の外装・内装のセンスとは裏腹に、出てきたラーメンは実に鮮やかなものだった。まずは動物系・魚介系のWスープを啜ってみる。Wスープと言えばパイオニア的存在として「青葉」(過去の記事)や「麺彩房」(過去の記事)が知られるが、果たしてこの御店のお味はどうか味わってみると…「旨い」と軽く唸ってしまった。魚介系の香りが高いながらも、コクを動物系が優しく補完して見事なWスープハーモニーを奏でているではないか!たっぷりと投入されている厚切りチャーシューは柔らかくて香ばしく、太めのメンマは極めて食べ応え有り。味付け玉子の甘みも申し分ない。低かんすいの中太縮れ麺は甘みがあって、スープとの絡みも申し分なし。心の底からこの味を堪能したので、あっという間にスープを飲み干してしまった。正直言って、無我夢中で食べてしまったのでいちいち「ああだこうだ」と考えている余裕もないほどだ。お奨め!

住所:東京都千代田区麹町2-3
らーめん上々 麹町店ラーメン / 半蔵門駅麹町駅永田町駅) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2012年6月1日金曜日

Don't Think : The Chemical Brothers


Don't Think : The Chemical Brothers

フジロックフェスティバル2011でのライヴパフォーマンスの模様を収録したChems映像作品がリリースされました。サブタイトルに銘打たれている「Live at Fuji Rock Festival」は間違いではありませんが、この副題に惑わされてはいけない。この映像は劇場公開された「映画」であって「ライヴ作品」ではない、と理解するのが正しい。それ故、かなり意欲的な映像処理が施されており、彼らが持つ世界観や会場の臨場感を見事に表現していることに気がつく。特にBlu-rayで観ると、その映像や音響の素晴らしさを目のあたりにすることができます。

ただし、amazonなどのレビューにもある通り、ライヴ映像としてみるとかなり疑問点が残る部分があるのも事実。彼ら自身や舞台装置そのものを映し出す以上に、熱狂するオーディエンスの姿が強調されているので、この部分に興ざめする人も多いんじゃないでしょうか?ただし前述した通りの見方をすればかなり楽しめるはずだし、この演出によって臨場感が増しているのも事実。一番不評と思われるのは、終盤にかけて露出度合いが高くなる一人の女性オーディエンス。この女性は出演者としてクレジットされているMariko Kobayashi Stopfordという方。他のオーディエンスが恍惚とした表情を浮かべて忘我の境地に達しているのに対して、この女性はカメラを意識した芝居がかったアクションをしているのでかなりイラつく。この演出さえなければ、とつくづく思う(個人的にも好みの顔ではない)。

なお、巨大フェス映えする彼ら故、音源そのものはとてつもなく素晴らしい。新旧折り混ぜた名曲がシームレスに演奏され、この場に居合わせれば全身が揺さぶられるほどの感動を覚えたことだろう、と想像つく。特にハイライトは「Swoon」から「Star Guitar」に雪崩れ込むサイケデリア百花繚乱の瞬間と、後半の「Saturate」における演奏、映像、照明、風船の圧倒的なシンクロ。また、最後に巨大スクリーンに映し出された日の丸は、2011年にあの場にいた人達を勇気づけたことだろう。