2012年6月19日火曜日

Gish (remastered) : The Smashing Pumpkins


Gish (remastered) : The Smashing Pumpkins

90年代オルタネイティヴロックの旗手として一時代を築いたThe Smashing Pumpkins。去年の暮れにデビュー盤「Gish」のリマスター盤をリリースしましたが、しばらく放置してしまった後にようやく聴いてみました。91年にリリースされたオリジナル盤の音圧が低かったこともあり、長きに渡って僕に黙殺され続けたアルバムでもあります。で、聴いてみて驚いた。当然ながら音質・音圧が素晴らしく改善されているので、作品本来が持っている輪郭やダイナミズムがくっきりとなっています。Siamese Dream(過去レビュー )で大ブレイクする前夜ということもあり、バンドが持っている勢いが新鮮にパッケージし直されているので聴き応え充分。このデビュー作品の時点で、バンドはサイケデリック感覚とニューウェーヴ感覚、憂いと轟音を兼ね備えた完成形だったのだと再認識しました。

特にデラックスエディションのDisc-2にあるアルバム未収録曲が素晴らしい。デモセッションや新ミックスが18曲に渡って収録されているんですが、全く別の角度からアルバムへ光を当てた怒涛のトラック群となっています。加えて90年8月にシカゴのライヴハウス「Metro」で収録されたライヴ映像も見逃せない。音質・画質はクオリティがかなり低いのですが、実に演奏能力が高いバンドだなぁと実感。炎が噴出するような演奏を見せる男3人とは対照的に、妖艶にベースを演奏するD'arcyがクール。

近く5年ぶりのオリジナルアルバムをリリースするThe Smashing Pumpkinsですが、この時のバンドメンバーとは全く違っているのは御存知の通り。フロントマンであるBilly Corganは独特な声質の持ち主ゆえ、卓越したボーカリストであるのは言うまでもなく、ギタリストとしての腕前も確実なものであり、ソングライティング能力も極めて高い。ただし、この頃のバンドが持っていたケミストリーや爆発的な化学反応が、今のバンドに引き継がれているわけでもない。新作をリリースしてくれるのは嬉しいんですが、微妙な気持ちでいっぱいです。

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