2012年7月13日金曜日

Sonik Kicks : Paul Weller


Sonik Kicks : Paul Weller

Wake Up the Nation(過去レビュー)から2年ぶりとなるアルバムを聴いた後、まず思った感想は「うーん、微妙…」。そもそもジャケットを見た時、「このセンスは何なんだ?」と思ったんですが、その時の懸念は確かに当たっていたというか。伊達でトラディショナルなスーツに身を包んだ御大が、サイケデリックな光の中で後ろ手組んでいる姿って変じゃないか?

ここ最近、特に22 Dreams(過去レビュー)以降になってからサイケデリック度合いを増した作風になっていますが、この作品ではその度合がピークに達したようです。御大曰く「この作品は最先端を行っている」とのことですが、僕個人としては甚だ疑問を感じる。確かに、元々持ち合わせていたスペイシーな感覚が頂点に達したようで、エレクトロニクスな音響処理はかつてないものだと思う。クラウトロックに影響を受けたと言われている作風は実験的とも言えるし、驚いたことにダブへ突き進んだ曲まである。でも時代を切り開いているクラブミュージックほど最先端だとは思わない。さすがに長年のP.W.支持派とは言えども、手放しで無条件に支持するには中途半端な振り切れ方だと思う。「最先端」と言い切るからには、完全クラブ仕様まで持って行くぐらいの振り切れ方にして欲しかった。Radioheadも霞むぐらいの先鋭さをまとって欲しかったな。

50歳を過ぎてもなお、ここまで先鋭的、攻撃的、挑戦的、意欲的なのは称賛に値するだろう。ノスタルジアに浸らないで、過去に生きずに未来だけを見る姿は相変わらずだろう。その姿を確認することができただけでも、良しとするべきなのかも知れない。

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