2012年8月29日水曜日

マルナカ


飯田橋から徒歩10分ほどの場所にある地元密着型ラーメン店。入り組んだ細い路地を入っていくので、ここを目指そうとしない限り、辿り着く可能性は低い場所にある。何故僕はここに辿り着いたのか?決まっているじゃないか、上手いラーメン屋を目指していたからさ。店内はザ・昭和の風情漂う作りになっており、こだわりの有りそうなご夫婦が店を切り盛りしていた。この時点で期待値は一気に高まります。


まずは餃子を頼む。カリッとこんがり焼かれた皮の外側に、もちっとした皮の内側。そこに包まれしは絶妙な配合が施された餃子餡。これだけで大盛りご飯3杯はいける美味しさ。実にクオリティが高い。


「中華そば」を絵に描いて額に入れたかのような見た目。あっさりとしていながらも実に奥深い鶏がらだし。チャーシューも適度な固さを持った、食べ応えある昔ながらの味わい。麺はやや太めの中太縮れ麺で、かんすい率が低めで意外にもっちりした感覚。あっさりすっきり感と食べ応えを両立し、最高のバランスとシンプルさを実現した素晴らしい東京ラーメンだ。鶏がら醤油味のラーメンはどこも同じだなんて言うなかれ、このお店はこのジャンルの中でも相当クオリティが高いよ。当然ながらスープを全部飲み干したのでした。また行きたくなる!

住所:東京都新宿区新小川町8-4
マルナカラーメン / 飯田橋駅神楽坂駅牛込神楽坂駅) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2012年8月26日日曜日

WIRE12



WIRE 12 COMPILATION

夏の終わりを告げる風物詩 WIRE。地元で行われることもあり、行くかどうかはその年の気分で決めています。ただし、今年は我が愛読誌TVブロスで石野卓球インタビューが特集されていたこともあって、行く確度が一気に高まった。何故ならTVブロスで不定期的に特集される電気グルーヴや石野卓球インタビューがこの上なく好きだからだ。インタビュワーは敬愛する天久聖一先生。面白すぎて電子書籍化(過去の記事 )されているぐらいだからね。買う人は少ないと思うけど。

卓球 「本番開始と同時にクラクションが鳴ってスタート。そこから一切笑ってはいけない」 


天久 「ちなみに笑うとどうなるんですか?」 


卓球 「どこからともなく『石野~アウト~』って声が聞こえて、カンボジア国籍に変えられる」 


天久 「強制的にですか?」 


卓球 「うん。オリンピックとはまったく関係なく」


なんと今年は「笑ってはいけないレイブ」というコンセプトらしい(笑)。こいつは何が何でも参加せねばなるまい。しかも今回はまりんこと砂原良徳も初参加となるのでこいつは見逃せない。

卓球 「彼は今年のWIREでピン芸人としてデビューする」

天久 「意外です。では芸名も変わる?」

卓球 「ミスター・サイゴンという名前でね。1986年のマリリンを歌った本田美奈子.がミス・サイゴンってミュージカルに出てたでしょ」

天久 「まりんとマリリンが掛かってるんですね。でもずいぶん遠くから引っ張ってきましたね。」


ミスター・サイゴンのデビューとなる瞬間も見逃すわけにはいかない。



18:00開演を待つオーディエンスで横浜アリーナ入口には行列が出来ています。今回は電気グルーヴが19:10からライヴを行うというので早めに会場入りしたんだけど、おそらく朝まで持つまい。

【DJ Tasaka】





オープニングアクトは毎度おなじみDJ Tasaka。まだまだ空いている会場を、ぶっといボトムの黒っぽいグルーヴで盛り上げています。相変わらずこの人のプレイは手堅くて、クールさと熱さが共存しているよなあ。今回は時間早めにもかかわらず入り具合がいいのは、僕と同じく電気グルーヴ目当てのオーディエンスが多いからに違いない。

【電気グルーヴ】







早い時間にもかかわらず、既に最初のピークタイムとなった電気グルーヴのアクト。アシッドテイスト丸出しの「ハロー! ミスターモンキーマジックオーケストラ」で会場が爆発的に盛り上がる。シルクハットをかぶったビエール瀧の掛け声で更に盛り上がるはず…なのに掛け声なし、歌もなし。なんだか完全ダンスフロア仕様にバージョンアップされているアレンジメントだ。更に「SHAMEFUL」(過去レビュー )へとなだれ込んでいき、この時点でアシッド地獄。ピエール瀧は「SHAMEFUL」のPVで出てくる箱型人形に扮して会場を盛り上げる。更には「Shangri-La」や「キラーポマト」、「誰だ!」、「虹」といった曲のリフを多用しながらも、ここでもボーカルやサビなど一切なし。ハードエッジなテクノ地獄へと変貌を遂げた過去の名曲たちは、今の彼らの最新モードを反映させているかのようでした。



WIREもう一つのお楽しみといえばWIREガール。Device Girlsが巨大スクリーンに仕掛けるVJが会場を盛り上げていますが、その中でもWIREガールがテクノ野郎どものハートを鷲づかみにする。毎年キュートな女の子がコスプレしながら笑顔を振りまきますが、今年の格好はなんとくいだおれ太郎。今年のイメージカラーを見事に引用したコスチュームです。今年の女の子は劇団ハーベストの久保田紗友さん 。2000年生まれというからまだ12歳。しかも初回WIREの時には生まれていないじゃん!

【砂原良徳】





今回の目玉アクトの一つ、ミスター・サイゴンこと砂原良徳。電気グルーヴのアクトが終わる間際にセカンドフロアへ猛ダッシュ。開演前にもかかわらず長蛇の列が出来ていた。しばし待つこと会場に入れば、ノイズとアトランダムなビートがフロアを直撃していた。そのさまはまるでオウテカのように無機質で、聴き手の想像力をひたすらに喚起する。しかもここで演奏されるのは全く聴いたことのない新曲ばかりで、叙情性を限りなく排除したミニマルなエレクトロ。観客も踊ることなく、ひたすら緊張感を持ってステージを見守るだけ。とんでもない音圧に包まれながら、ノイズと電子音、複雑なビートにまみれたハードセットが粛々と演奏されていく。既発曲は最後に演奏されたLOVEBEAT(過去レビュー )収録の「the center of gravity」のみ。それ以外は全て新曲だったので、このステージを目撃できて幸運だったと思います。セットリストはこちら で公開されています。ちなみに写真の左側に写っているのがミスター・サイゴンです。右側の方じゃありません。

【石野卓球】



ミスター・サイゴンの演奏を見終えて、メインフロアへ移動。オーガナイザーの石野卓球がフロアをアゲていた。卓球氏ならではのユーモア感覚と、エレクトロニック・ボディ・ミュージック志向のマッチョなテクノは相変わらずの安定感。懐かしいところではAlter Egoのブリーピーなエレクトロ「Rocker」がスピンされていました。



巨大スクリーンに目を見やると「笑ってはいけない」の文字が。やはり「笑ってはいけないレイブ」だったんだ(笑)。大勢いる観客の中で、このメッセージの意味を理解した人はどれだけいるんだろうか?

【Hell】




この世にテクノ地獄があるとすれば、それはドイツ帝国のミュンヘンを指すのだろう。そんな街からやってきた地獄大使 ヘルムート・ヨゼフ・ガイアー。通り名はHell。DJブースを見ても、暗闇にうごめいているのは影だけで、そのご尊顔を拝めることはできない。この不気味さがまさに地獄大使たる所以だ。ハードミニマルであろうと、アシッドテクノであろうと、ジャーマンニューウェーブであろうと、この男が繋ぎあわせれば独自の耽美的な世界が構築されていく。クールでスタイリッシュで伊達なプレイは健在でした。

【Ken Ishii】





テクノ界のイチロー、もしくはラストサムライことケンイシイ。0:10からスタートしたプレイが始まった瞬間にフロアは阿鼻叫喚。徹頭徹尾アゲまくって、疾走感溢れる圧巻のプレイでオーディエンスの身体にムチを入れまくっています。相変わらずのハードさ加減で、時にはURの「Sonic Destroyer」を挟んでオールドファンを狂喜させる。ケンイシイのプレイが終わったのは1:20。この先には3:15からRobert Hood、4:25から最後までDerrick Mayというドス黒いグルーヴプレイが控えていたんだけど、さすがに開演から終演までいる気力が萎えてきた。それというのも、良いのか悪いのか家の近くだから帰りたいという気持ちがあるからなんだな。この時点で会場を後にしました。

国内最大のレイブであり、今年は「笑ってはいけないレイブ」だったWIRE。アリーナ独特の開放感と、暗闇が持つ密閉感がほどよくミックスされ、ここでしか体験できないような空間は非常に貴重です。この微妙なバランス感覚が僕にとっての魅力なんだろうな。

2012年8月24日金曜日

神田ラーメン わいず

暑いです。僕は営業職なので外出が多く、この時期になるとおそろしく体力を消耗します。そういう時は英気を養うため、昼時になるとすかさずラーメン屋に飛び込む。暑いさなかにラーメンを食べればますます暑くなるという意見もありますが。



ここ最近はもっぱら神田に行く事が多い。昼時になると未開拓のラーメン屋を食べログで探し当てますが、この日は神田エリアで上位にランキングされているこの店に並びました。このクソ暑い中、ご覧のようにジリジリと灼熱の太陽光線に焼かれながらラーメン野郎どもが行列を作っています。


狭い店内に並ぶカウンター席に着席し、目の前にラーメンが着丼。「濃厚豚骨」という予備知識だけで入店したんですが、スープを啜ってみると何のことはない家系ラーメンでした。トロ味がかった豚骨醤油スープは通常の家系よりもかなり塩辛く、動物系のだしがやや主張の強さを感じさせる。麺はやはり太め短めで縮れており、スープとの絡みつきが程よい塩梅。ほうれん草とスープのバランスも程よく、チャーシューもなかなかの食べ応え。ただし全体的に見て、家系としては及第点の出来栄え。この店に来てはたと気付いたのが、都内で家系ラーメンを食べさせるお店が極めて少ないこと。だからこそこのお店の点数が高いことに合点がいった。決して悪くないんだけど、味が濃かったのが玉に瑕かな。

住所:東京都千代田区内神田3-9-6
ホームページ:http://www.kandaramen-waizu.jp/
神田ラーメン わいずラーメン / 神田駅新日本橋駅淡路町駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.0
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2012年8月21日火曜日

Oceania : The Smashing Pumpkins


Oceania : The Smashing Pumpkins

プロレス団体を立ち上げたり、いつまでもスマパンの亡霊に囚われているなど、迷走が続いている(と思われる)Billy Corgan。前作「Zeitgeist」(過去レビュー )があまりにもアレレな出来だったので、5年ぶりの新作と言えども全く期待しておりませんでした。ここ最近は「Teargarden by Kaleidescope」という、44曲にも渡るフリー・ダウンロード・アルバム・プロジェクトを進行させていたのを横目で見つつ。どうやら本アルバムは当該プロジェクトから抽出されたトラック群らしいです。

そもそも「Zeitgeist」ではオリジナルメンバーがBilly CorganとJimmy Chamberlinの二人だけだったんですが、本作に至ってはBilly Corganのみがオリジナルメンバー。メンバー総入れ替えのG'n'R状態ってどうよ?って思ったのは僕だけじゃないはず。そんな思いを抱きつつ本作を聴いてみたところ、「…なかなか良いじゃない」と思ったのが率直な感想。「Zeitgeist」ではあくまでもオリジナルなスマパンを再現しようと躍起になっていたように思えていたんですが、ここにきてBilly Corganは新しいスマパン像を模索・構築しようとしているんじゃないか?とさえ思える。つまり、スマパンのスタイルは継承しながら、バンドメンバーの個性を尊重しようとしているんじゃないか?と言うことです。

スマパンの極北とも言える、メランコリーを炸裂させながらの轟音ギターは健在。Jimmy Chamberlinの転がるようなドラミングから、新ドラマーであるMike Byrneの粘着力あるドタドタしたドラミングへ移行したものの何ら違和感はない。70年代におけるプログレッシヴ・ロックや80年代におけるニューウェーヴの切なさといった要素もふんだんに盛り込まれている。しかもそれぞれの楽曲クオリティが極めて高く、Billy Corganのソングライティング能力には唸らざるをえない。スマパンのスマパンたる所以である美しいアートワークも健在。ああ、もうこれは申し分ないほどスマパンだな。しかも、かつての物理的なスマパンではない。Billy Corganの脳内にあるスマパンを、他者の力を借りながら表現した新スマパンだ。何かもう複雑な気持ちで悲しくもあるんだけど、僕らはかつて凄まじいケミストリーを放っていたスマパンではなく、Billy Corganプロデュースの新世代スマパンに馴れなくちゃいけないのかもしれない。

2012年8月18日土曜日

ますたにラーメン 日本橋本店


仕事で日本橋に行った時、いつものように昼時にはラーメン屋を探すbeatjunkie様。COREDO日本橋の裏手にそのお店はありました。あれ?このお店来たことあるな…確か2年ほど前…と記憶の糸をたぐり寄せる。2年前にはラーメン記事を書き始めていたはずなのに、過去のログにはそのような記事はない。このお店の評判は高いはずなのに、どんな味だったのか思い出せない。既視感を覚えつつ、取りあえず入店しました。


京都ラーメンということなんだけど、その味って千差万別じゃないかな?天下一品みたいなこってりドロドロ系もあれば、新福菜館(過去の記事)みたいな濃厚醤油味もあり、魁力屋(過去の記事)みたいに背脂が浮いた醤油味もある。共通して言えるのは、どれもつるっとした細めストレート麺と九条ネギを使っていること。Wikipedia大先生によると、どうやらこの「ますたに」は1949年に屋台にて創業した老舗であり、背脂ラーメンの元祖と言われているとのこと。それにしてもなぜ日本橋に本店があるのだ?調べてみたところ、京都の老舗が暖簾分けをしたらしい。


普通のラーメンに無料ライスを注文。ご覧の通り、九条ネギがたっぷりと投入されており、背脂が浮いている濃厚そうなスープが美味しそう。啜ってみるとそれほど濃厚さを感じず、意外にもあっさりした醤油味。上層部は背脂の甘味、中層部はあっさり醤油味、下層部には辛味成分が沈殿しているので、3つの味を楽しめるという仕掛けになっている。麺はやはり細めストレートでツルッとした食感。薄めなチャーシューは柔らかくて満足のいく味になっていた。普通のラーメンとしては中々食わせる味に仕上がっているんだが、全く腹に落ちないのは何故なんだ?しばし沈思黙考するに、ひとつの結論に達した。僕は京都ラーメンが好きじゃないのだ。京都ラーメンを食べる度に物足りなさというか、違和感を覚えてしまうのは単純に個人の好みだと思う。天下一品もそうだけど、京都ラーメンをたまに食べたくなる時がある。でも一回食べると「ああしばらくいいや。全然満足できない」と物足りなさや薄っぺらさを感じてしまう。だから前に来た時も記事を書かなかったのだ。だから今回は備忘録として留めておく。

住所:東京都中央区日本橋1-6-7
ますたにラーメン 日本橋本店ラーメン / 日本橋駅三越前駅茅場町駅) 
夜総合点★★☆☆☆ 2.5 
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

2012年8月15日水曜日

Fire Bird : Yellow Magic Orchestra


Fire Bird : Yellow Magic Orchestra

HASYMO以降は限定的な活動にとどまるかと勝手に思っていたのですが、フジロックやWORLD HAPPINESS、NO NUKES 2012といった大型フェスティバルにも積極的に出演している彼ら。それだけでなく新作ライヴCDやDVDを数多くリリースし、往年のファンだけでなく新しいファン層をも喜ばせています。そんな彼らが8月になって新曲を配信リリースしました。振り返ってみると「The City of Light」(過去レビュー )以来4年ぶりの新曲です。

昨年のWORLD HAPPINESSで初披露されたというこの曲、タイトル通りに手塚治虫の「火の鳥」をモチーフにしていると同時に、震災復興への祈りもこめられているとか。イントロやアウトロには観客の歓声が入っていますが、単にライヴ音源を使っているだけなのかな?内省的で牧歌的、言い方を変えると極めて地味な息遣い。電子音はそれほど響かず有機的なので、YMOと教えられなければ単なるインストバンドの曲かと勘違いしてしまうかも。今の彼らのような、肩肘張らない姿勢が如実に現れているようです。だからこそこの曲が持つメッセージ性や意味合いがじんわり伝わってきます。この曲を聴いて、往年のうるさ型のファンは「昔の彼らは凄かった、とんがっていた」とか「今のYMOはYMOではない」とか言うんだろうな。古い概念のみに囚われているオヤジ型ファンの物言いには閉口しますわ。

2012年8月12日日曜日

FREEDOMMUNE 0<ZERO> A NEW ZERO 2012

宇川直宏氏主宰のファイナルメディア「DOMMUNE 」が東日本大震災復興支援のために企画したフリーイベント「FREEDOMMUNE 0 」。去年2011年8月に川崎市東扇島東公園で行われる予定だったんですが、集中豪雨により中止となってしまいました。だがしかし、我らがDOMMUNEはそれだけでは終わらなかった!!!!!!!!!!!!!!!!!!天候に左右されない屋内型フリーフェスとして我々の前に戻ってきたのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!時は8/11(土)18:00-30:00、場所は幕張メッセ、入場は去年のインビテーションカードはそのまま使えるのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

という訳で中年にもかかわらず、決死の徹夜を覚悟して行って来ました。いやホント、この歳になると徹夜が辛いのよ。でもこれだけ充実したアーティスト が参加するとなれば行かないわけにはいかんだろうて。



原発銀座生まれ、MOX燃料育ちのもんじゅ君も会場に駆けつけてくれました(右側に写っている人は僕と何の関係もありません)。夏目漱石の脳味噌も展示されていましたが、撮影しようとしたら「撮影禁止!」と怒られた。

【LOGIC SYSTEM】




21:00前に会場入りし、お目当ての一つでもあったLOGIC SYSTEMを観ます。いうまでもなく第四のYMOとも言われた松武秀樹氏で、小振りな箪笥のモーグ・シンセサイザーを駆使して演奏します。とは言えどもレトロなアナログ感は全くなく、現在の音にアップデートされているかのような図太い音を放っている。エレクトロの始祖と言えるようなトラックの中でもYMOの初期名曲「SIMOON」を演奏したのには驚いた。1時間弱の演奏が終わってMerzbowが極悪ノイズを放っている中、松武さんがケーブルを自分で丁寧に片付けている姿が印象的でした。ちゃんと自分で片付けるんだ!

【salyu x salyu with 小山田圭吾+鈴木正人+あらきゆうこ】





この日一番感動したステージ。salyuの名前は知っていても、その音楽を聴いたことはありませんでした。女性ボーカル4人による、神々しいまでに可憐でキュートなコーラス。Corneliusを迎えてのバンド形態ということもあり、独自の世界がここでも構築されています。これほど美しい歌声を聴いたのは久しぶりで、声の持つ圧倒的なパワーに会場全てが金縛り・棒立ち状態となっていました。ここで放たれるバイブレーションが多くの人を揺さぶり、揺さぶられた多くの人がバイブレーションを増幅してステージに伝える。そんな双方向のやり取りが明らかにわかるほど、ステージと会場が高次元で一体化した瞬間でした。

【ケンイシイ】




僅か1時間のプレイにもかかわらず、会場をひたすらアゲまくっていた男。相変わらずハードバンギングで、テクノの何たるかを知っている男に一分の隙もありません。プロレスに無上の愛を捧げているだけあって、ここで繰り広げられたスピンはオーディエンスに格闘技を挑んでいるかのようでした。

【Manuel Göttsching】



今回のヘッドライナーであるManuel Göttsching大先生が降臨。代表的名作である「E2-E4」(過去レビュー )を3/11後の日本に捧げる「E3-E11」へアップデートして演奏してくれるというではないか。本人登場前から会場は超満員になっており、スクリーンには例の市松模様が映し出されている。



60分にも渡る曲の前半は本人がラップトップを操作し、あまりにも有名なシーケンシャルフレーズを延々と繰り広げる。曲が進むに連れて微妙に風合いが変化していくミニマルミュージックが、観客の脳内麻薬分泌を促していく。曲後半になるとギターを手にし、哀愁漂うブルーズを紡ぎだす。それはまるで3/11の日本に向けた鎮魂歌のようだ。

全体的に見て年齢層高めの大人なフェス。フリーだからと言っても、参加者側もドネーションを忘れてはいけない。求めるだけではなく与えるのが大人の行動だと思う。それにしても、スポンサーの支援やら物販収益やらでここまでのフリーフェスを作り上げてしまう宇川直宏氏の行動力には頭が下がる。こういった良質フェスが継続運営されていくことを切に願うよ。

2012年8月9日木曜日

タンメンしゃきしゃき 新橋店


この日の午前、大門界隈で仕事を終えた後に新橋方面へ歩いていた。昼になったのでどこかでご飯でも食べようと思っていた矢先、目に飛び込んできたのは「タンメン しゃきしゃき」なるお店。これまた身も蓋もない店名に驚き、食べログでの評価をチェックしたところ高評価。迷わず入店した。


ここ最近のラーメン界は、タンメン専門店が増えつつある傾向にある。しかも何故かタンメンと餃子の組み合わせ、いわゆるタンギョウだ。ここでも迷わず餃子を注文したところ、フルボディ豊かな餃子が登場した。はふはふと口に頬張ると、分厚くてカリッとしながらもちもちした皮の中に、生姜の風味が香る餡がたっぷり入っている。かなり食べ応えがある餃子で、かつボリューム・食感とも申し分ない出来栄え。


小ぶりの器にどーんと盛られている野菜が見目麗しい。「食べさせてもらおうか!タンメン しゃきしゃきとやらを!」と叫びながら(嘘です)、野菜どもを口に頬張ると…本当にシャキシャキしているではないか!豚バラ肉の噛みごたえも申し分ない。しかしこれごときで怯んではいけない。野菜の下に沈んでいる麺を引っ張りだすと、タンメンには似つかわしくない極太麺。しかももっちりもちもち食感が申し分ない。スープを啜れば野菜の旨味が凝縮された、あっさりとしながらも実に奥深くてこだわりのある世界が口内に広がる。深い、奥深い、タンメンの世界は奥深い。タンメンこそ究極の麺類なんじゃないか?そう思わせてくれる、タンメン完成形のお店がここにあった。

住所:東京都港区新橋4-6-7
タンメンしゃきしゃき 新橋店ラーメン / 新橋駅汐留駅内幸町駅) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2012年8月6日月曜日

Not Your Kind of People : Garbage


Not Your Kind of People : Garbage

最上級レベルの硬度を誇るポップネス炸裂 - Garbage新作を聴きました。前作「Bleed Like Me」(過去レビュー)から何と7年も経過していたのか…。まずは数多の災難を乗り越えた彼らの復帰作を喜びましょう。facebookで報告されるライヴ中の彼らを見ると、ああ本当に復活したんだなぁとつくづく思う。そんな感慨と共に思い出したのが、何故かユーミン好きな女友達の言葉。

彼女は僕と同年代、つまりアラフォー女子なのでユーミン世代な訳ですが、彼女曰く「いつも期待して新作を聴くんだけど、その度に「あぁまた同じだな」と思う」とのこと。ネガティブに受け取られる発言ですが、裏を返せば同じクオリティが常に保たれているということでしょう。年に1回、作品をリリースしているのに愚作がないというのは、ユーミンが優れたアーティストであると同時に、松任谷正隆氏のプロデュースも優れているということ。

デビュー以来17年間、Garbageのフォロワーで在り続けている僕ですが、彼らの作品も常に同じクオリティが保たれているのを感じる。静と動が同居している轟音ギターに無機質なビート、気怠く妖艶に歌い上げるシャーリー・マンソンのボーカルに切なくポップなメロディ。デビュー以来、劇的に変わることもない反面、高品質なサウンドプロダクションが保たれている。これはまさにブッチ・ヴィグの職人芸がなせる技と言えるでしょう。時代とともにマイナーバージョンアップを繰り返しながら、常に最新モードを聴かせる彼らこそポップの極みといえるでしょう。

2012年8月3日金曜日

ラーメン二郎 高田馬場店



ここ最近、仕事で高田馬場に行く機会が増えました。僕が学生の頃とは違って、今や高田馬場はラーメン激戦区になっているそうだ。振り返ってみれば、学生の頃は今ほどラーメン店がなかったし、ラーメン激戦区なんてものも都内に数えるほどしかなかった。それが今や、山手線の駅ほとんどがラーメン激戦区に様変わりしている。そんな状況下でどのラーメン屋に飛び込んでいいのか分からないので、取りあえず目白通りにある黄色い看板店に並びました。「ラーメン二郎なんて好きでもなんでもないんだからねっ!」とツンデレになりながら。



カウンター前にそびえ立つ壁向こうで作られる二郎。野菜マシで注文したところ、ご覧のような有様の量で二郎が登場。まずは丼の底に沈殿しているであろうスープエレメンツをまぶすべく、例によって例の如くグワシと天地返しをする。極太ワシワシ平打ち縮れ麺が「こんにちは」と顔を出す中、スープや野菜と均一になるようにかき混ぜる。そこで出くわしたブタを口に運んでみると…「う、旨い…」と思わず唸ってしまった(心の中で)。これまで食べた二郎の中でも最上級レベルに達する旨さだ。ほろほろ柔らかく煮こまれており、実に味わい深いブタに仕上がっていた。スープも通常の二郎よりもはるかに馴染みやすく、脂控えめながらも物足りなさも全くない。優しい凶悪性というか、端的に言えば実に食べやすい二郎なのだ。麺の量も申し分ないほどで、スープ/麺/ブタ/アブラのバランスが極めていい状態で保たれている。二郎の中でもここまで「旨い」と感じたのは初めてかもしれない。

住所:東京都豊島区高田3-17-8
ラーメン二郎 高田馬場店ラーメン / 高田馬場駅下落合駅目白駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5