2013年2月10日日曜日

Ruled By Passion, Destroyed By Lust


Ruled By Passion, Destroyed By Lust : The Asphodells

信頼を寄せるに足る男 - Andrew Weatherallが新しいパートナーTimothy J. Fairplayと結成した新プロジェクト - The Asphodells。Weatherallの美学を感じさせるタイトル(情熱に支配され、欲望に滅びる)を冠してのリリースです。70年代ゲイ・ポルノ映画のキャッチコピーから引用したわりには、余りにも的確で示唆に富んだタイトルじゃありませんか。いや、人生というものはこういった道端に転がっている石ころから啓示を受けることもあるってことでしょう。プロジェクト名The Asphodellsの意味「死者の国に咲く水仙」にも刹那を感じます。

「A Love From Outer Space」というイベントを開催しているWeatherallが、ここで決め事としいるのが120 BPM以下というダウンテンポなエレクトリックビート。元々持ち合わせている雑食性と相まって、蛇の生殺し状態ともいえる突き抜けなさがグルーヴを生む「Masterpiece」(過去レビュー)が記憶に新しい。今回リリースされたアルバムには「A Love From Outer Space」に最適化された楽曲群が収録されているんですが、どれを聴いてもとにかく素晴らしい。

青臭くかき鳴らされるサイケデリックなギターに絡む、80年代を彷彿とさせる緩めのビート。テクノ、ハウス、ディスコ、ダブ、ポストパンクといったあらゆるジャンルの垣根を跨いだバレアリックな音。既視感のある音作りにより、80年代シーンへの限りないオマージュが捧げられているかのようです。最終トラックはイベント名であり、「Masterpiece」のリードトラックでもある「A Love From Outer Space」。この曲はまるで、大海原へ無謀な航海をしようとしている滑稽な男どもを表現しているかのよう。そう、先駆者たちの梅毒 - 「A Pox On The Pioneers」(過去レビュー)に通じる世界観を持っているのです。ダークサイケデリア百花繚乱なこのアルバム、相変わらずの男気に満ちています。

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