2013年3月30日土曜日

丹行味素 超辺鄙 北新横浜本店

横浜には市民の足として親しまれている市営地下鉄があります。逆に言えば、市民以外の人が乗る機会はあまりない。世間一般的にはローカル路線の部類に入ります。その中でも「北新横浜」という地味な駅があります。いわば The King of 地味。その地味な駅から徒歩10分ほど歩くと、辺境とも言える地域に辿り着きます。どれぐらい地味かは、記事最下部にある住所 をクリックしてもらえば分かると思う。地形学的に言えば犬吠埼 もしくは喜望峰 のようなところだ。



その秘境辺境ともいえる場所に、店名に「超辺鄙」の文字を入れ込む自虐的な店があります。その名は「丹行味素」。「丹念に行う、味に素直に」という意味が込められているそうですが、それにしても店構えも地味すぎる。この陸の孤島で商売を営む店とはどんなものか。



「野菜 タン麺」、「焦がし 味噌麺」、「極濃醤油麺」が主なメニューの柱で、「ガッツリ!」とつくものには鶏の唐揚が2個、「特からガッツリ!」にはわらじのような特大唐揚がつくという塩梅。事前調査では「ガッツリ! 野菜 タン麺」が人気メニューのようなので食券機でポチッと。



出てきたのは…どう見てもタン麺じゃない。「…頼んだのはタン麺じゃなかった?」と尋ねたところ、どうやら僕が買った食券は「ガッツリ!極濃醤油麺」だったらしい。ぐぬぬ、一生の不覚。動揺を抑えながら、気持ちを切り替えて醤油味を楽しむことにする。まずはチャームポイントとなる唐揚を口に運ぶと、アーモンドをまぶしたカリカリした食感が実に香ばしい。なるほど、こいつが人気なのが頷けるし、これだったらわらじのような「特から」を頼んでも良かったかもしれない。他にはほろほろ崩れる豚の角煮や、スモーキーに燻された焼豚、良い感じに煮込まれた味付け玉子、こりっと新鮮なメンマや青菜など盛りだくさん。それぞれ随所にこだわりが感じられるのが好印象だ。

麺はかんすい多めと思われる太め縮れ麺。じつにしこしこもっちりしており、食べ応えは十分だ。タピオカ澱粉を使っているとのことで、これによりツルッツルの食感を楽しめることが出来るそう。確かにこのような麺にお目にかかったのは初めてだ。醤油スープは「極濃」を謳っているだけあって塩分濃度がそれなりに高い。おそらく醤油にもこだわっているんだろう、独特の風味とトロミ、コクを味わうことが出来る。化学調味料無使用とのことで、食べ終わってから口の中に変な味が残らない。ただし、塩分が強いせいか、やたらとのどが渇いてしまうのが難点。総体的に言って、塩分濃い目を差し引いても品質は高い。この最果ての地に足を運ぶ価値はあるといえる。いずれにしても、近いうちにまた来る。絶対来る。そしてその時は「特からガッツリ!野菜 タン麺」を食べてやる。

ホームページ:http://tangyou-k.com/
住所:神奈川県横浜市港北区北新横浜2-5-13
丹行味素 超辺鄙 北新横浜本店ラーメン / 北新横浜駅新横浜駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年3月28日木曜日

AMOK : Atoms For Peace


AMOK : Atoms For Peace

Atoms for Peace が結成されたのが2009年なので、1stアルバムが出るまで実に3年以上が経過。とは言っても、元々はアルバムを作るために結成されたバンドではなく、Radiohead フロントマンの Thom Yorke ソロアルバム「The Eraser」(過去レビュー)をライヴ演奏するために結成されたバンド。コーチェラ・フェスティバルやフジロック・フェスティバルといった大舞台での演奏を経験しています。その経緯を考えると、今回のアルバムは数多くのライヴ演奏を通過して、有機的に表出してきた作品と言える。

スーパーバンドと言われているけど、Thom Yorke 以外に RHCP のベーシスト Flea、プロデューサーの Nigel Godrich しか知らないもんなあ。ドラムには Joey Waronker、パーカッションには Mauro Refosco というミュージシャンが参加しています。いずれにせよ実力派ミュージシャン揃い踏みで、完成度の高い作品であることは言うまでもない。

Radiohead の作品とも違い、Thom Yorke ソロアルバムとも違うオーガニックな風合い。前者のようにバンドアンサンブルに重点が置かれているわけでもなく、後者のように徹頭徹尾エレクトロニクス処理されているわけでもない。それもそのはずで、各プレイヤーが個別パーツを演奏し、サンプリングした上で再構築されているとのこと。でもまあ、ここ最近の Radiohead の作風を踏襲しているのは確か。ここで改めて驚いてしまうのが、Flea は本当に名うての名ベーシストだなぁということ。RHCP におけるファンクグルーヴなプレイとは異なるものの、別次元の黒いグルーヴが渦巻いているように思える。Nigel Godrich によって構築された音響空間も相変わらず幽玄で、Thom Yorke の切ない歌声が最適化されています。今年11月には単独来日公演が行われるそうで、そちらも非常に楽しみなところ。

2013年3月26日火曜日

用心棒



世の中には二通りの人間がいる。ジロリアンと非ジロリアンだ。もっと具体的に説明しよう。神田神保町に二郎最高峰と言われる「ラーメン二郎 神田神保町店」(過去の記事 )があり、その真向いには二郎インスパイア系「用心棒」がある。「ラーメン二郎」に足を運ぶのが健常者、物は試しで「用心棒」に足を運ぶのが真性ジロリアン。そう、化学調味料に脳と舌を侵されたニュータイプだ。僕は「用心棒」の存在をハードコアなジロリアンの方のブログ で知った。まずは嗜みとして「ラーメン二郎 神田神保町店」に行った後、「用心棒」で味比べをしてみようと思い立った。



普通のラーメン以外に「まぜそば」や「得のせラーメン」といったオリジナルメニューがあります。



「ニンニク入れますか?」の問いに「ヤサイアブラ」と答えたところ、ご覧のようなボリューム感満載のラーメンが着丼。野菜の上にドバっとかかったアブラの見た目があまりよろしくないが、野菜に味をまぶすために必要なもの。更には適度に乳化したスープをちょぼちょぼと振りかけて、味を付けてから野菜を喰らい始める。ほとんどがモヤシだが、かなりシャキシャキしており食べ応えあり。もしゃもしゃと草食動物のように食べ進み、おもむろに天地返しを行って麺と野菜を撹拌させる。すると小ぶりのブタが「こんにちは」と登場したので口に運ぶと、ほろっほろに柔らかくとろけていくではないか。このブタがお店自慢のものらしいが、やや小ぶりだったのが非常に残念。

わしゃわしゃした極太縮れ麺は二郎系王道を感じさせる作りになっており、量も申し分ない。野菜と合わせるとそれなりの量に見えていたが、無事に全て食べ終わったところでスープを味わう。僕にはやや塩気が強く感じたが、とろみがあってカネシ醤油控えめなところに好感度大。質・量ともに全体的にまとまっており、本家 二郎と何ら遜色ない出来栄えだ。本家に敢えて背を向けて、「用心棒」でアウトロー的に食す人こそ真のジロリアンである、と確信した。

facebook:https://www.facebook.com/youjinbou
住所:東京都千代田区神田神保町2-2-21
用心棒ラーメン / 神保町駅九段下駅竹橋駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年3月24日日曜日

Star Fes. 2013


昨年に引き続き(過去の記事)、Star Fes.に行ってきました。前回はお台場での開催でしたが、今年は川崎市の東扇島東公園での開催。ここは海沿いの工業地帯ということもあり、夕方以降になるとかなり冷え込むので、それなりな防寒対策をして臨みました。「日本一早い夏フェス」なのに防寒って何なんだよ!とボヤきつつも、3,500円で豪華ラインナップのパフォーマンスを楽しめることもあるので文句も言えまい。川崎駅から無料シャトルバスが運行されているので、オーガナイズがしっかりされているなあという印象。

【スチャダラパー】

16:00前に会場入り。まずはスチャダラパーを楽しむことにします。僕がSDPを聴いていたのは20年ほど前で、WILD FANCY ALLIANCE以降はとんとご無沙汰。電気グルーヴと同世代かつ同時期デビュー、お互い共通項がある二大珍獣ということで興味を持ってはいたんですけどね。そんな彼らを目の当たりにするのは今回が初めて。


最近のCMにも採用されている「Get Up and Dance」で登場。「20年前から聴いていた人達は、それだけ歳を取っている。若い人も少なくて、前の方にいる人なんかややこしそう。ちゃんとやらないと「真面目にやれ!」と怒られそう」なんて軽妙なMCで会場を沸かすBOSEとANI。それにしてもBOSEって変わらないなー。



そんなスチャをダラダラ見てたら、僕の前を外人のおじさんが横切った。SDPの舞台に何の興味も無さそうで、ごく普通にのっそりと歩いているのは……The Orb の Alex Paterson だった!あまりの自然な佇まいに写真を撮ることさえ失念したが、周りの人は誰一人として気づいていなかった。


最後の曲はやはり「心のベストテン第一位」であるあの曲、そう「今夜はブギー・バック」だ。もちろんオザケンレスで、オザケンパートはアニが担当したが、微妙に味わい深い音痴加減だったのが笑えた。


今回はバンドスタイルということで、通常 MC*2にターンテーブル編成なところを、キーボード、ドラム/パーカッション、ギター、ベースという編成。名付けてスチャダラパーとスウィンギンシンコ&ザ・コストパフォーマンスというバンドだ。しかしながらギターは何と遅刻。終演間際に舞台に登場し、手を振って去るという神がかったパフォーマンスを披露していた(笑)。SDPの生パフォーマンスを初めて見たけど、めっさ格好良かった!

【Mark Farina】


電気グルーヴまで間があるので、Mark Farinaがスピンしているブースで友人らと合流。ファンキーハウスでアゲまくる。

【電気グルーヴ】


今回の主目的である電気グルーヴ。前回のStarFesから1年の間に3回彼らのライヴを見たことになる。それだけ活動を活発化させているんだからありがたいお話です。今回は全国ツアーと同じ演出、つまり腕に点滴ぶら下げおじさんで登場です。この衣装にちなんで、オープニングは「The Big Shirts」。


当然ながら新作「人間と動物」(過去レビュー)から「Missing Beatz」、「SHAME」、「SHAMEFUL」といった曲を連打連打。しかもこれまでツアーをこなしてきた甲斐があってか、攻撃性に満ち溢れた完成度高いアシッドチューンの嵐。しかしそれにしても寒い。前の日に痛飲したせいで、この日は二日酔いで体調がよろしくなかったのは痛恨の一撃。思考がなかなか定まらず、踊りたくてもフラフラしている始末でした。




終盤になるにつれ、往年の曲を最新モードにアップデートした演奏が増えてくる。「FLASHBACK DISCO」、「Shangri-La」、「少年ヤング」、「N.O.」、「あすなろサンシャイン」、「レアクティオーン」と感涙に咽ぶ暇もないほど上げてくれる。

【Theo Parrish】


電気グルーヴ終演後、The Orbが始まるまでTheo Parrishブースへ移動。そこに身を置くだけで全てが瞬時に漆黒のグルーヴに包まれる。

【The Orb】


先ほど会場をフラフラ歩いていた Dr.Alex Paterson に Thomas Fehlmann が加わり The Orb の登場。僕の友人も Mark Farina ブースの前で二人を見かけたそう。しかもナンパしていたので、それ系の外人と勘違いしたとか。そんなゆるいオッサン達もステージに上がれば空気を一変させる。日が落ち始め、さらに殺風景になっていく工場地帯、そこに吹き付ける冷たい海風と工場の煙突から揺らめく炎。そんな非現実的な環境に響き渡る、とてつもなく異次元でエレクリックダブな音。初期傾向が強く、素晴らしいライヴを披露してくれました。

それにしても寒いので!次回は4月とかにやって欲しいッス!

2013年3月22日金曜日

二代目 げんこつ屋


その昔、新高円寺に「げんこつ屋」という名店がありました。それまでラーメン店が持っていたうらぶれた雰囲気とは違い、洗練されたお店の意匠とこだわりぬいた味。首都圏へ店舗数を着実に増やし、僕も渋谷や横浜にあったお店へ90年代前半に足繁く通ったもんです。その後、不況の直撃や拡大路線が裏目に出たことにより2007年に閉店し、初代店主が他界。2011年には長男が二代目としてラー博に復活させることとなったのです。はたして父と子の美談にとどまるのか、それともかつての味を継承させた伝説となるのか。10数年ぶりにその味を確かめることにしました。


豪快ら~めん(塩)を注文します。魚介系メインのだしと、豚や鶏白湯といった動物系のだしを合わせ、すっきりとした塩味に仕立てたスープ。単なる塩スープに終わらず、豚骨スープのようなまろみとコクがあります。かつての味よりも更に洗練され、更に上品になっているように思えます。具材に使われているとろっとしたチャーシュー4枚に海苔、味付け玉子、コリコリッとした細めのメンマは相変わらずの旨さ。麺はかつての味と大きく異なっている。注文が入ってからうどん用包丁切り機を使って麺を切るそうで、これにより新鮮味とエッヂをキープすることができる。かつてのような食べ応えある中太縮れ麺と異なり、つるっとした食感ともっちりした柔らかさ。先代の味をうまく継承しながら、二代目ならではのこだわりを感じさせる味に仕上がっていました。ぜひ今後も頑張ってほしいと思います。

住所:神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館
二代目 げんこつ屋ラーメン / 新横浜駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年3月20日水曜日

夜半解体 : KANAMORI


夜半解体 : KANAMORI

金森達也 aka DJ Shufflemaster が遂に新作をリリースしました。DJ Shufflemaster 名義でリリースした「EXP」(過去レビュー )から実に12年経過しており、本作名義はその名も「KANAMORI」!!!(そのまんま!!!)。90年代半ばから佐久間英夫 氏(現在はかのTECHNIQUE を経営)と共にレーベル「Subvoice」で共闘を企て、その後は自身のレーベル「Housedust」を設立し、前述したアルバムを Tresor からリリースして世界的アーティストとなりました。しかしその後はぷっつりと新作リリースやDJ活動を控えており、世捨て人にでもなったのか?と思っていたところに今回のリリース。どうやらその間は「TOGA 」というアパレルブランドを立ち上げていたようで、こちら方面で多忙を極めていたようです。

ともあれ、このアルバムは新しく立ち上げたレーベル「四季協会」からのリリースとなるもので、2LP+CDという形態。しかも12"アナログリリースにありがちな、ぺらっぺらでヤワなジャケットなんかじゃない。アナログ世代が感涙に咽ぶであろう重厚感溢れるジャケットなのだ。まず帯がついてくるなんて想像もしていなかった。ジャケットは見開きで、フォトブックも付いている。歌舞伎町や横浜黄金町、大阪西成といった夜の街に蠢く人達。そんな彼らが背負っている業といったものが、写真で見事に表現されている。

さて内容はといえば、重厚感と疾走感があったかつてのハードミニマルとは大きく異なっている。いやこれはもうテクノの枠とか軽く超越しちゃっているエクスペリメンタル音楽。「Red Light District-Sex Reactor Zone1(赤線地帯・セックス原子炉 ゾーン1)」では乾ききったダブ音響が木霊したかと思えば、奇形化したダブステップのようなトラックに変異。タイトル通り、女の喘ぎ声がいかがわしいことこの上ない。「Vento Soffia Da Est,Una Sera Di Tokio (黄昏東京)」では多種多様なエレクトリックノイズが巧みにコラージュされ、後半に至ってはアシッドへと変形。「La Saison D'amour,Femme Odeur De Roses(ラ・セゾン 薔薇の香り)」はスタイリッシュでクールな音の上に、グリッチノイズが散りばめられた淫靡エレクトロニカ。「It seemed that they vanished among Maniac Love(人間蒸発)」では開放感のある美しいサウンドスケープが展開されたかと思えば、凶悪なエレクトリックギターが差し込まれ、最後は動物の鳴き声をコラージュした謎のアフロビートで終結。全編に渡って組曲のように捉えどころのないトラックになっているのがポイントだ。

もう一度言うと、これはフロア志向とは一線を画しているエクスペリメンタルミュージック。ジャケットのアートワークを手にしながら自分なりの世界観を脳内に構築するもよし。音楽を空間に溶け込ませて、意識の一部へ組み込むもよし。金森達也は異型のアンダーグラウンドミュージックを提示してくれた。

2013年3月18日月曜日

ラーメンどん



横浜市の港北区界隈には比較的クオリティの高いラーメン店が多い。綱島には、新興店ながら突出した人気を誇る「もりの中華そば」(過去の記事 )や老舗の「らーめん桃源」(過去の記事 )があり、学生街 日吉には家系ラーメンの「極楽汁麺 らすた」(過去の記事 )などがある。そして今回は日吉にある二郎インスパイア系「ラーメンどん」に行ってきた。



ご覧の通り、小ラーメン = 150g、ラーメン = 200g、大ラーメン = 300gという量だ。ヤサイやブタの量を加味して通常のラーメン(200g)にする。ほかの人たちが食べているヤサイの量をチラ見して、ヤサイマシ/アブラを口頭で注文。ジロリアンマナーに馴れていないお客さんにも優しく接するお店の人が印象的だった。



ヤサイの量がやや多いので、いきなり天地返しをするのが困難。それを見越してアブラを追加したのだが、やはり卓上のスープだれを振り掛けることにする。キャベツ比率高めでシャキシャキっと新鮮なヤサイ。なかなかイケると脳内で叫びつつ、恒例の天地返しをグワシと行う。ついで見るからに柔らかそうなブタを頬張ると、口の中でほろっと崩壊していくさまが快感。うむ、このブタはなかなかクオリティが高い。

更にはワシッと中太縮れ麺をズバズバ喰らっていく。通常の二郎系とはやや異なり、もっちり滑らか食べごたえあり。絡みつくスープは適度に乳化しておりカネシ醤油の度合いが低くて甘みさえ感じさせる。インスパイア系と背脂チャッチャ系の中間に位置するスープは非常に味わい深く、麺やヤサイ、ブタを食べた後でも啜ってしまうほどの美味しさ。表面に浮かんだ背脂をレンゲですくいつつ、背脂の甘みを堪能したところで完食。

インスパイア系と背脂ちゃっちゃ系の中間に位置するこの味は、非常に食べやくて好感度大だ。これはリピートしたくなる旨さ。

住所:神奈川県横浜市港北区日吉2-1-8
ラーメンどんラーメン / 日吉駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年3月16日土曜日

Truant / Rough Sleeper : Burial


Truant / Rough Sleeper : Burial

この間ちょっと驚いたんだけど「ダブステップ・ディスクガイド」なんていう本が出ているのね。クラブミュージックはカウンターカルチャー寄りの音楽だし、その中でもダブステップは本流とはならないだろう音楽だと思いますが、振り返ってみると発生から10年近く経っているのね。もちろん突如発生した音楽ではなく、源泉たるUKダブから脈々と流れたベースミュージックの一支流です。そこにドラムンベースやブレイクビーツといった様々な要素が流れ込み、ダブステップと命名されたのが10年前ということでしょう。で、そのダブステップに市民権を与えた一人がBurialというわけです。

去年の暮れにリリースするぞ、といいつつタイトルや詳細が明らかになったのは発売前日。そこまでマーケティング効果を狙っていたのは、世間からの期待値が高かったからなんでしょうね。そのプレッシャーたるや結構重かったと思うんですが、内容も期待を裏切らないものとなっていました。2トラックで30分弱という長尺ながら、組曲のように1トラックの中に複数トラックが混在している。それぞれが繋がっているのではなく、ひとつの世界が構築されては消えていく。幽玄でオリエンタルなヴォイスサンプル、ダークでメランコリックなメロディ、埃にまみれたアナログ盤から聴こえてくるかのようなノイズ、重たく這って行くベース音は相変わらず。ここにはダンスミュージックの機能性はないんだけど、イヤホンとかではなくぜひ大音響で聴いてほしい。深夜の湿った路地から立ち込めるような蒸気を感じ取れるはずだから。

2013年3月14日木曜日

町田商店 横浜店



横浜の鶴屋町に1月オープンした「町田商店」に行ってきました。この界隈には「麺場 浜虎」(過去の記事 )や「鶴一家」(過去の記事 )、残念ながら閉店してしまった「浜の麺バカ」(過去の記事 )が集まっており、やにわにプチ激戦区の様相を呈しています。今回行った町田商店はその名の通り、町田にある家系ラーメンということで、とうとう横浜に進出したとのこと。順番が逆じゃないか?と思いつつ、足を運びました。



結論から先に言いますと、今後この店に足を運ぶことは二度とないでしょう。味が悪いんじゃない、とにかく騒がしい。店員の掛け声がうるさい。元気を売り物にしているんだろうけど「ウリリリリリィィィィィーッ!!! 」とか叫ばれると本当に萎える。

「うるせーよ!」

お陰でこっちは味に集中することができず、おそらく及第点であろう味も不味く思える。取りあえず頼んだ得MAX豚骨ラーメン(麺は硬め)に入っていたチャーシュー三枚は食べ応えのある固さだったが、ややしょっぱかった。注目点は味付け玉子に加えてうずらの卵が入っていること。ただし、どんな味だったのかは覚えていない。ほうれん草はごく普通。中太縮れ麺はもっちりしており、やや塩味強めでとろみのある豚骨醤油スープにほどよく絡みます。全体的に言って可もなく不可もない、平均的な家系ラーメンです。これに店内の騒々しさを加えると、明らかに平均点以下になるはず。食べログで高得点になっている理由が全く見当たらない。

住所:神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-19-3
町田商店 横浜店ラーメン / 横浜駅 ) 
夜総合点★★☆☆☆ 2.5 
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

2013年3月12日火曜日

Survival & Resistance : Adrian Sherwood


Survival & Resistance : Adrian Sherwood

UKダブの始祖にして、代名詞的存在であるレーベル「ON-U」総帥でもあるAdrian Sherwood。単なるダブだけでなく、NINやPrimal Scream、Depeche Modeらをプロデュースするなどロック・フィールドでも活躍している方としても有名。そんな御大が「Becoming a Cliche」(過去レビュー)以来、実に6年ぶりとなるソロアルバムが去年の夏にリリースされています。いや、あれからもう6年も経っていたことに改めて驚きなんだけど、それ以上にかなりのハイレヴェルな内容に驚嘆というか感動を覚える。

これまでの冷ややかで硬いダブとは異なり、実にオーガニックで温もりのあるダブさ加減。しかもダブという枠組みを越えて、ブルースやボサノヴァが持っている哀愁と憂いさえ感じさせます。時折ジャジーでメロウなピアノの旋律やストリングスがちらついたかと思えば、地べたを這うように重低音がねっとり響き渡る。ハーモニカやギターといったアナログ感覚を魅せつけたかと思えば、ダブ処理されたエレクトロニクス音がこだましていく。実にスタイリッシュでクールでチル出来るアーバンミュージックじゃないか!Massive Attackから始まりBurialへと続いていくUKダブ~ベース・ミュージックの源流をまざまざと見せつけてくれます。いや源流でありながら最新型モードを提示してくれるのは面目躍如といったところ。まさしく「生存と抵抗」の音楽です。本当に素晴らしい。

2013年3月10日日曜日

豚星。



念願叶ってこのお店に行くことができました。このお店とは、きちんとした看板さえ掲げていないくせに、ご覧のような行列を作ってしまう「豚星。」で、横浜の六角橋にあります。以前、日曜に訪問したところお休みだったので、代わりに近くの「らーめん中々」(過去の記事 )を訪問した経緯があります。



そもそもこのお店は何か?ラーメン二郎の八王子野猿街道店や新小金井街道店で修行していた方が開いたお店で、猛者どもジロリアンからは「二郎インスパイア系最高峰」の称号を与えられるほど。この日は北風が強く寒い日だったんですが、胸の中で燃えさかる情熱で寒さを忘れてしまいましたよ。



ラーメン小にヤサイマシを頼みます。……見るからに最高峰と呼びたくなる野菜の量。他の客を見ると、ヤサイマシで頼んでいる人はあまりいなく、デフォルトでも十分な量であることを確認。一抹の不安を覚えながら、キャベツ比率がやや高い野菜をワシャワシャと食べていきます。天地返しすることができないので、スープをちょぼちょぼと振りかけながら野菜を半分に減らしたところで、野菜の下に隠れているブタに気付いた。引きずり出すと厚さ1cm、直径10cmはありそうな巨大豚ロール。どれどれ食べてみると…こっ!こいつは旨い!塩分控えめで柔らかくて食べ応えのあるブタ!確かに店の名前を「豚星。」にしているだけはある!

更に野菜を食べ進んだところで天地返しを行うと、もう一枚ブタが出てきた!先ほどの柔らかいブタをもう一度食べれるなんて!旨い旨いと食べ進み、ようやく麺を喰らうところまで到達。この時点でかなりお腹は膨れているが「ぐぬぬ」と呟きながら、ワシワシしながらもつるんとした食感の極太麺をズバズバ喰らう。クオリティが高く、本家二郎と何ら遜色なし。徐々に苦しくなり、最期には涙目になりながらヤサイ・ブタ・麺を完食。最後にスープを啜ってみると…カネシ醤油の甘みを感じさせながらも上品な味わい。適度に乳化しており、トロミもあって、完成度の高い極上な二郎スープを堪能できる。

すごい、すごすぎる。量はもちろんのこと、質でさえ二郎インスパイア系の中でも紛れもなく最高峰。いや、下手な二郎を簡単に凌駕しており、新次元(もしくは神次元)の二郎へと突入している。味・量・破壊力の全てを兼ね備えたインスパイア系の新星……豚星。で神次元を堪能してほしい。

住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋2-10-1
豚星。ラーメン / 白楽駅東白楽駅 ) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2013年3月8日金曜日

人間と動物 : 電気グルーヴ

アラサー以上の世代なら分かると思うけど、CDが普及する前、アルバムはアナログ盤でリリースされていた(もちろん今も一部の作品はヴァイナルカットされている)。片面約23分、両面で約46分。リスナーは座して音楽を聴き、外で聴く場合は46分カセットテープにダビングし、ウォークマンやカーステレオ、ラジカセを活用した。今のように音楽が大量消費される時代とは違い、音楽に真摯に向き合う人が多かったと思う。…などと電気グルーヴの新譜を聴いて思った。


人間と動物 : 電気グルーヴ

全曲歌モノ、収録時間約50分、BPM 125前後、既発曲の「Upside Down」、「SHAMEFUL」、「Missing Beatz」を収録するという制約のもと作られた新作。正直言って全く期待していなかったんですが、一聴して思った感想が「すごいな」と。まさかここまで完成度が高かったとは。80年代ニューウェーヴとエレクトリックボディミュージックを基礎として、現代モードへ昇華させたような作品です。衝撃度で言えば「VOXXX」に分があるものの、完成度で言えばこれまでで最高レベルだと思います。歌詞はほとんど意味を成さなく、語感を大切にしている意味でも「VOXXX」に通じるものがあります。また、ミックスにはまりんが参加していることもあって、極めて高品位な音質で研ぎ澄まされまくっています。

前述のシングル曲は個別で聴くと「まとまり感」がないんですが、全編ほぼシームレス且つアルバムに最適化されており、曲順も選びに選び抜かれていると思えます。「Missing Beatz」から「SHAMEFUL」への繋ぎは何の違和感もなく、最後までスムーズに流れていく。これまでの作品の中で一番アシッド度合いが高く、「P」の中盤ではアシッド濃度が最高潮に。犬に噛まれて喉から血を出して死んでしまった、演歌歌手 瀧勝の「人生(Hardfloor Remix)」よりも、ある意味アシッド濃度が高い。

続く「Slow Motion」では、80年代をルーツに持つ二人の面目躍如というか、切なさとニューウェーヴ感覚に満ちた秀曲。「Prof. Radio」はまさしく80年代ハイエナジーを土台にした、アラフォー世代を直撃するアナログ感丸出しなトラック。幽玄でスペイシーな感覚を持ち、彼らにしか作れないような「Oyster(私は牡蠣になりたい)」を経て「電気グルーヴのSteppin' Stone」で締まる。

「Steppin' Stone」は電気グルーヴにしては珍しいカバー曲。60年代にビートルズの対抗馬としてアメリカで結成されたアイドルバンド「モンキーズ」の楽曲で、「Steppin' Stone」はThe Sex Pistolsのカバーの方が有名かもしれない。80年頃には「ザ・モンキーズ・ショー」という番組が日本で再放送されたこともあり、彼らがリバイバルヒットしたのを覚えています。一番有名なのが「Daydream Believer」で、忌野清志郎がタイマーズ時代の89年にカバーをしています。そう、かつて電気グルーヴは子門’z名義でRCサクセションの名曲「トランジスタ・ラジオ」(過去レビュー)をカバーしており、ここに関連性を感じる。ベースにSly Mongooseの笹沼位吉を迎えている辺りに滅茶苦茶センスとグルーヴ感を覚えます。

わずか約50分という収録時間に不安を感じていたんですが、この適度な長さがリスナーに飢餓感や中毒性を与える、という二人の目論見は見事に成功していました。なお、初回限定盤にはWIRE12(過去の記事)出演時のライヴDVDが付いているのは個人的にかなり嬉しい。

2013年3月6日水曜日

せんだい



親族が横浜の鶴ヶ峰方面に住んでいるので、この界隈でラーメンを食べることもしばしば。駅から遠く離れた住宅地に佇むこのお店こそ、地元民の中で高評価なお店。横浜といえば家系、家系といえば横浜。やはりこのお店も家系なのです。店名になっている「せんだい」は、店主が生まれ育ったという鹿児島県の川内(せんだい)から取られているそうです。


注文は券売機から。家系といえば麺の硬さや脂の量、味の濃さを選べるわけですが、それらを全て券売機で指定します。しかも味はとんこつ醤油、とんこつ味噌、とんこつ塩、とんこつ唐辛子味噌から選べるようになっている。やはり基本に忠実なとんこつ醤油を麺硬めでお願いします。


使われている具は、これまた基本に忠実なほうれん草、チャーシューに海苔です。これらは可もなく不可もなくと言ったところ。スープは非常にこだわりのある味となっており、塩からくなくスッキリ飲みやすい。それほど脂っこくなく、しかしながらコクもとろみも味わえるという逸品。中太縮れ麺は実にもっちりしており、スープの絡み具合も絶妙。全体的にバランスがよく、家系ラーメンの中で高評価なのも納得できる味でした。

ホームページ:http://www.ramen-sendai.jp/ 
住所:神奈川県横浜市保土ケ谷区川島町1496
せんだいラーメン / 西谷駅鶴ケ峰駅上星川駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.0 
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2013年3月4日月曜日

改造への躍動 : ゲルニカ

テクノ・ディフィ二ティヴ」でこの作品も紹介されていたんだけど、これってテクノにカテゴライズされるのかしら…と思いつつ、確かにシンセポップには入るんだろうね。



改造への躍動 : ゲルニカ

ハルメンズのキーボード担当だった上野耕路、イラストレーターの太田螢一、そして戸川純によって結成されたユニットであるゲルニカ。1982年リリースのこのアルバムで戸川純はボーカリストデビューを果たしています。リリース元は破竹の快進撃だったYENレーベル、プロデュースは細野晴臣さんなので、彼らは将来を託された存在だったといえます。もちろん、3人の個性が高次元で拮抗しているからこそ、この作品が後にも先にもない異彩を放っているのは言うまでもありませんが。

大正浪漫やモダニズムデザインを基礎にして太田螢一が構築した世界観や歌詞、上野耕路が駆使するピアノ、キーボードとドラムマシンやオーケストレーション。そこへ李香蘭やイタリアオペラにインスパイアされた戸川純のボーカルが加わり、シンセポップやニューウェーヴといった単語では括り切れない特異な世界を表現しています。このアルバムが80年代初期に登場したからこそ、あのディケイドは日本にとって特別な時代だったんだなぁ、としみじみ。そう、それまで改造されつづけた日本経済は更に10年間躍動していったのだ。

2013年3月2日土曜日

ラーメン二郎 神田神保町店



仕事で神保町界隈に行きました。ひと仕事終えてからちょうど昼時になったので、後輩と示し合わせるように二郎へ。この日は朝から雪だったので、おそらく二郎も空いているだろう、と高を括ったらご覧の通りの行列。そう、雨の日も風の日も雪の日も、魔物が潜んでいるカネシ醤油に囚われたジロリアンは並び続けるのです。



さて、二郎最高峰と言われている神田神保町店。トッピングをどうするべきか、先客が注文したヤサイマシの量をチラ見して目算する。脳の中で閃いた…「汝、ヤサイマシする事なかれ」と啓示を受けた。「ニンニク入れますか?」のコールに対して「入れません」のレスポンス。にも関わらずニンニクはばっちりと入っていた。止むを得ず天地返しをしようと思ったが、丼から溢れ出んばかりのスープに恐れをなし、まずは「マシ」でないにも関わらず、たっぷりと搭載されているしゃきしゃきヤサイをやっつけることにした。程なくして、小ぶりだが分厚く切られているブタが登場。なかなか食いごたえのある食感だ。

ようやくヤサイが減ってきたところで天地返しすると、メドゥーサの頭髪のような大量の麺が顔を出した。石になってしまうと一瞬怯んだが、スープで柔らかくなったにも関わらずゴワゴワした平打ち麺を何とか口に頬張る。スープにおけるカネシ醤油や乳化度合いは申し分ないが、破壊力抜群な量を誇る麺との戦いが始まりつつある。この量は何なんだ…さすが二郎最高峰といわれるだけある重量級ボリュームだ。時間が経てば経つほど、麺はスープを吸って膨らみ、僕のお腹も膨らみ続ける。本当に、本当に最後は涙目になりながら、どうにか麺を残さずに食べることができた。ここで大豚ダブルヤサイマシマシとか頼む人いるのかな、いやいるんだろうな。やはりここは体調がいい時に来るのが良いだろう。

住所:東京都千代田区神田神保町2-4-11
ラーメン二郎 神田神保町店ラーメン / 神保町駅九段下駅竹橋駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5