2013年4月30日火曜日

なんつッ亭 品川店



数多くのメディアで取り上げられ、有名すぎるほど有名になってしまった神奈川県秦野市に本店を構える「なんつッ亭」。最近は徐々に店舗数を増やし、都内でも食べられるようになりました。店を構えるは品川駅前「麺達七人衆 品達」の中です。取りあえず有名ラーメン店を訪問しない理由はない。熊本豚骨ラーメンということなので、「桂花ラーメン」(過去レビュー )が心のベストテンNo.1な僕としては期待に胸が高まります。



いわゆる全部乗せの「なんつッ亭スペシャル」を注文します。1,000円なので割高感は否めない。しかしながら、搭載されている具はチャーシュー3枚、味付け玉子、海苔3枚、白髪ねぎに細めのモヤシとかなりの分量。ニンニクの有無を聞かれるが、業務中につきニンニク抜きで。どのようなマナーで食べればいいのか分からず、取りあえず適度に柔らかいチャーシューをスープに浸して食べる。次に味付け玉子を半分ほど齧る。どちらとも平均点以上と言える、普通に美味しい味だった。次に、具の下に隠れている麺を引きずり出して喰らうことにする。

引きずり出されたのは中太ストレート麺。加水率が低めということなので、小麦の味が香ばしい。適度のボソボソ感や粉っぽさは「桂花ラーメン」と同様で、この辺りは僕のストライクゾーン。更にネギとモヤシをスープに絡めて食べ進むが、スープの温度が元々ぬるいことも相まって、アツアツ感が全く無くなってしまった…ぬるいぞ。白く乳化した豚骨スープはくさみやくどみが無いんだが、逆に言えば毒気が感じられない。濃厚を謳っているわりには、ネギとモヤシで味が薄まりコクが感じられない。これではいかんと思い、黒マー油を更にかきまぜてニンニクの味を全体に行き渡らせる。香ばしさが増したものの、それでも物足りない感覚は否めない…。僕は塩分控えめの味が好きなんだけど、その僕が物足りなくなってしまうのはどういうことだ?塩分濃度が低いわけじゃない、旨味が全く感じられないのだ。

二郎およびインスパイア系を食べ続けたせいで、とうとう僕の舌は化学調味料に汚染されてしまったのか?いや決してそうではあるまい。上品さを追求するあまりか、豚骨ラーメンに必須ともいえるコクと旨味が欠落している。完成度は比較的高いが、もっともっと主張した味やコクがほしかった。この日のスープ出来具合が悪かったのか?それとも本店の方がもっと美味しいのか?期待していただけに残念な感じだった。

ホームページ:http://www.nantsu.com/
住所:東京都港区高輪3-26-20
なんつッ亭 品川店ラーメン / 品川駅北品川駅高輪台駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.0 
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2013年4月27日土曜日

Lost Sirens : New Order


Lost Sirens : New Order

今年になってリリースされたNOの「Lost Sirens」がなかなか良い。2005年にリリースされた「Waiting for the Sirens' Call」(過去レビュー)制作時に作られた楽曲集ということで、言わばアウトテイクの寄せ集めとされている。実のところ、「Waiting for the Sirens' Call」をリリースした直後にこの作品をリリース予定だったらしいんだが、バンド内のいざこざがあってリリースは頓挫。結局ベースのPeter Hookが脱退し、バンドが新体制となった後にリリースされるという経緯になりました。

Peter Hook不在のNew OrderなんてNew Orderと言えるのか?とジレンマを抱えつつも、このアルバムから聴こえてくるぶりぶりしたベースはフッキーのもの。アウトテイクだからシングルトラックのように突き抜けた曲はないものの、総じてクオリティが高く駄曲なし。「Waiting for the Sirens' Call」にまるっと収録されても何の違和感もないでしょう。メロディはいつも通り切なく、ギターはいつも通り甘酸っぱく、ボーカルはいつも通りヨレて音痴だ。つまりまごう事無きNew Order節、しかもフッキー最後のプレイ。切ないね…。

2013年4月24日水曜日

ロボット


ロボット

近年のボリウッド映画で最高傑作と言われている「ロボット」を観ました。インド映画にして制作費が37億円も使われているというから並大抵の気迫じゃない。そして内容も最初から最後まで徹頭徹尾ハイテンション。息もつかせぬアクションと常識を覆す映像で爆笑必至です。

ボリウッド映画の"スーパースター"ラジニカーントが演じるバシーガラン博士は、人間型高性能ロボット「チッティ」の開発に成功する。やがて感情を持たせることにも成功するが、アイシュワリヤー・ラーイ演じる博士の恋人サナに恋心を覚えてしまう。怒った博士はチッティを解体するが、博士の開発に嫉妬する恩師が破壊兵器へと再生。チッティは自己増殖を繰り返し大暴走、やがて人間vsロボットの大決戦が始まる…

というのがあらすじですが、ロボットの能力や観客を唖然とさせる破壊力はこれまでで史上最強レベル。ターミネーターやトランスフォーマーなんぞ足元にも及ばないほどの殺戮能力と、観客を爆笑させる力を持っています。日本が誇る最強映画監督 井口昇さんの映画「戦闘少女 血の鉄仮面伝説」(過去レビュー)や「ロボゲイシャ」(過去レビュー)、「片腕マシンガール」(過去レビュー)さえ霞んでしまうほどのバカバカしさ。勿論ボリウッドムービーに欠かせないダンスシーンもふんだんに盛り込まれており、観る者を全く飽きさせない。特にヒロイン演じるアイシュワリヤー・ラーイの美しさは最強。エンターテイメントの全ての要素が詰め込まれた映画、とにかく観るしかない!

2013年4月21日日曜日

Recovery Time : Adrian Sherwood


Recovery Time : Adrian Sherwood

Adrian Sherwoodが昨年リリースした「Survival & Resistance」(過去レビュー)がキャリア史上最凶傑作の呼び声高くなっていますが、その半年後に5トラック収録のEPをリリースしています。これは単なるリミックス盤ではなく、チル感覚満載の「Survival & Resistance」をフロア仕様として再構築したもの。しかも他者にリミックスを依頼しているのではなく、自身で深化させています。それ故に、単にビート強化したものではなく、オリジナルが持っていた耽美感を損なわずに、深みのあるベース・ミュージックへと変貌させている。そこにはダンスホールレゲエやダブステップ、果てにはジャングルが引用され、かなり冒険心のある作品へと仕上げています。ただし、フロア志向とは言っても5トラックのみの収録。全トラックを解体~再構築して欲しかったですね。

2013年4月18日木曜日

豚親分

森羅万象、宇宙のありとあらゆる全ての物は陰と陽から成り立っている。天に星が輝いていれば、地に親分あり。六角橋に「豚星。」(過去の記事 )あれば、すぐそばに「豚親分」あり。という訳で、二郎インスパイア系の中で最高峰と絶賛した「豚星。」と寸分違わずにオープンした「豚親分」にも行ってみました。両方食べ比べしないとフェアじゃないからね。



昭和の風情あふれる六角橋商店街 を突き進み、駅から一番離れた場所に位置するのが「豚親分」です。ご覧の通り、黄色く塗りつぶされた壁が二郎インスパイア系であることを激しく主張しています。ちなみにこの商店街には名店「らーめん中々」(過去の記事 )もあるので、ラーメン店密度は極めて高い。



店主は看板に偽り無しといえるような恰幅いいお方。接客態度がとても丁寧なのが好印象です。ラーメン小は豚1枚に麺180g、ラーメン中は豚2枚に麺200gとな。看板に「豚」という文字を掲げるからには、さぞかし豚も旨いに違いない。野菜マシの量と胃の空き具合を比べて、ラーメン中ヤサイマシを注文する。無料だからといってマシやマシマシを頼んだにもかかわらず。残してしまうのはマナー違反だからね。どれほどの量が出てくるのかドキドキしながら着丼を待つ。



キタコレ!厚さが2cmもあろうかという巨大な豚が2枚半も搭載されている。親分の作った豚はどんなものか口に運んでみれば、ほんのり甘みのある柔らかい豚がジューシーにとろけていく。塩気もそれほど感じさせず実に優しい作りになっている豚だ。ほろほろ溶けていくさまは、親分の優しさと強さ、懐の深さを感じさせる。続いては、もやし中心の野菜へスープをちょぼちょぼとかけていく。味を染み渡らせたところで、適度に茹で上げられたシャキシャキもやしをがっつり頬張る。さほど乳化しておらずライトな味加減の豚骨醤油スープは、カネシ醤油の主張が控えめでまろやかな味だ。野菜をやや減らしたところで恒例の天地返しを行い、どんぶり下部に隠れている極太麺を引きずり出す。自家製という極太麺はワシワシ感がありながらも、表面がつるつるしている。うどんのようにぶっといが縮れがかった麺とスープの絡みはこれまた絶妙。小麦が持つ甘みとスープの甘みが渾然一体となっていき、食欲を満たしていく。

食べ進むにつれ、店主が「ちょっと買い物に行ってくるので、新しく来たお客さんには待ってもらうよう伝えてください」と外出してしまった。入口には「にんにく買ってきます。すぐ戻ります。」との張り紙が。お客さんを信頼している姿勢と、オフビートな雰囲気に感動する。

総じて二郎インスパイア系と言えるんだが、「豚星。」と同じように品質が極めて高い。本家 二郎が持つ化学調味料満載の尖った攻撃性と破壊力は低いが、やはり二郎インスパイア系ということもあって量はハンパない。また、味へのこだわりと独自路線を進もうという意志が感じられるのも確か。「豚星。」とともに六角橋を大いに盛り上げて欲しいですね。

ホームページ:http://butaoyabun.at.webry.info/
住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-11-16
豚親分ラーメン / 白楽駅東白楽駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.6 
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2013年4月17日水曜日

Traces : Monika Kruse


Traces : Monika Kruse

美形モニカ姐さんが昨年リリースした新作、遅ればせながら聴いたんですが相当いい出来具合になっていました。ミニマルなトラックが寄せ集められた作品を想像していましたが、いい意味で予想を裏切られたのも事実。クラブユースを意識した作品というより、序盤から終盤までコンセプチュアルな作りになっています。シームレスに曲が繋げられ、まるでミックスCDのようになっています。

緩めBPMでグリッチノイズが散りばめられたミニマルから始まり、ドープなエレクトロニカへと連なって行き、シカゴハウスのRobert Owensをボーカルフィーチャーした妖艶なトラック以降から徐々にビルドアップ。ディープ&ドープで深遠なるジャーマンミニマル地下世界へリスナーを誘っていきます。Thomas Schumacherと共作でリミックスした「Wavedancer」を経て、Nick Maurerをフィーチャーしたハウストラック「With Hindsight」で最高潮に。やがてチルするかのようにBPMは緩やかに下降し、重たくうねるシンセ音で終結。全編に渡って欧州の香り、つまり無機質な中に耽美と退廃が漂っているのが実に印象的です。これというのも彼女が生粋のベルリンっ娘だからなんでしょうね。

2013年4月15日月曜日

ラーメン二郎 京急川崎店

何度も言っておくが、僕は二郎中毒者というわけでもない。店によってばらつきのある味を確認し、二郎という壮大なサーガとは何か?を探ることが楽しいだけなんだ。そんな訳で今回は「京急川崎店」を訪問してきました。京急川崎駅から京急大師線の線路沿いを歩いて10分弱。渋滞が起きまくっている踏切の近くに「京急川崎店」があります。


どうやらここはブタに定評があるらしい。但しヤサイは少なめと聞いているので「小ブタ」にヤサイアブラのトッピングをお願いした。店主は非常に物腰穏やかで、スマイルさえ浮かべているのが印象的。無愛想な他店に比べて、この辺りは初心者にもウケそうだ。


さて、ご覧の通り、ヤサイマシといってもそれほどの大分量ではない。ただし盛られたヤサイの下にはブタがごろごろと隠れているので、おそらく全体的にいって適切な量になるんだろう。もっと食べたい人はヤサイマシマシでも問題ない量だ。僕の場合は天地返しするほどの分量でもなかったので、スープをひたひたとヤサイに掛けて喰らう。キャベツ比率多めで適度に茹でられている。やがて隠れていたブタが姿を現したので、おもむろに箸でつかむ。ホロッと崩壊するほどの柔らかさ。良く煮込まれており、味もじんわり染みて旨い。「小ブタ」なのでごろんごろんとした豚の量も申し分なし。

やがて、頭角を現した細めの麺をズバズバっと頬張ると実に柔らかい。のびきったうどんといってもいいほどヤワヤワに茹でられており、他店にみられるようなワシワシ感は皆無。これはラーメンか?うどんか?パスタか?いやのびた二郎麺に他ならない。「麺硬めは技量不足のため不可」という張り紙があったが、なるほどこういうことだったのか。しかしこれはこれで異次元の二郎感覚を楽しむことができる。次第に何を食べているのか良く分からなくなってきたところで、麺を完食。スープはそれほど乳化しておらず、透明度はやや高め。カネシ醤油の味も十分に感じられて、まごうことなき二郎スープ。最後は表面に浮かんだ背脂の甘みを堪能する。なるほど、違った角度から楽しめる二郎だった。

住所:神奈川県川崎市川崎区本町2-10
ラーメン二郎 京急川崎店ラーメン / 京急川崎駅港町駅六郷土手駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年4月13日土曜日

21 : Adele


21 : Adele

売れている作品と優れた作品は必ずしも同じじゃない。2000年前後からその傾向が強くなってきたので、売れている作品にはどうしても懐疑的になってしまう。だからこのアルバムがとんでもなく売れているのを横目で見、敢えて敬遠していた。そんな中で去年、ドラマ「息もできない夏」で使われた「Set Fire To The Rain」を耳にした時、心の底から衝撃を受けた、本当に。これまでAdeleを敬遠していた自分を呪った。

2011~12年と2年連続世界で最も売れたアルバムとして知られていますが、凄いのはセールス成績のみならずその内容。フー・ファイターズのデイヴ・グロールをして「どのアルバムもアデルの『21』並みによければ音楽業界は絶好調になる」と言わしめ、オジー・オズボーンですら「アデルとコラボできたら幸せに死ねる」と言い出す始末。太り気味な彼女を揶揄する声に対して、マドンナでさえ「アデルはすばらしい才能があるし、それと彼女の体重は何も関係ないじゃない」と擁護する。ここまで大物アーティストから絶大なる支持を集める新進ミュージシャンも珍しい。

一人の男性との失恋体験によって作られたこの作品は、深い哀しみとそれによってもたらされる心の荒廃が描かれています。艷やかで管楽器を思わせるハスキーな歌声はソウルとブルーズに満ちており、作品を通してリアルな心情とエモーションが丁寧に描かれています。歌を聴いて涙が出てきたのってどれだけあるだろう?「ジョンの魂」を高校生の時に聴いた以来?それぐらいの名盤になっています。きれい事だけじゃない、別れた男に対する憎しみや複雑な感情。僕でさえ魂が揺さぶられると思えたんだから、女性はもっと共感するんだろうな。何せ「雨に火を付ける(Set Fire To The Rain)」ほどの激情なんだから。

ソウル、ブルーズ、フォーク、ゴスペルといった米国ルーツ音楽を基礎に、切々と心の襞に染みこんでくるかのような彼女の歌声。それを支える演奏も素晴らしく「Rolling In the Deep」や「Rumour Has It」のドラムは白眉。

2013年4月11日木曜日

穀雨


渋谷の桜丘町に出来た新しいお店に行ってきました。食べログで事前調査する限り、極めて高評価。場所はセルリアンタワー裏手の地味な路地にあります。敢えて目指さない限り、ここに来ることは殆ど無いような場所。逆に言えば、この界隈に来る人はこの店を目指している人。お店の構えはナチュラル風情でシャレオツな印象。このカフェのようなお店が美味しいラーメンを提供してくれるのか?一抹の不安を覚えながら入店する。


味は塩と醤油の2種類で、それぞれラーメンやワンタン麺がある。お店のオススメは醤油味のワンタン麺とのことなので迷わず注文。具には鶏チャーシューと豚チャーシューがそれぞれ1枚ずつ入っており、前者は柔らかくて上品なお味。後者は周りが甘くローストしてある台湾風。更にはワンタンが5個入っているのだが、プリッとしながらも生姜がほんのり効いている。旨味のある肉がつるっとした皮に包まれて非常に美味。

スープはややにごり気味なスタンダード醤油味。鶏がらメインと思われるが、魚介系が華を添えており、コクと上品さが上手くハーモナイズされている。そこにタダでもらえる揚げネギを投入し、香ばしさをさらに引き立たせる。麺は中細れ麺でこれまたスタンダードながら、スープとの相性は絶妙。総体的にみて、ワンタン・麺・スープ・チャーシューのバランスがうまく取れている東京醤油ラーメンでした。決して派手ではないんだけど、お客さんのハートを温かくさせるような優しい味。高評価なのも頷けるお店でした。渋谷界隈でオーソドックスな味を堪能するにはベストなお店です。

住所:東京都渋谷区桜丘町29-5
穀雨ラーメン / 渋谷駅神泉駅代官山駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年4月9日火曜日

The Sound of the Third Season : Richie Hawtin & Sven Vath


The Sound of the Third Season : Richie Hawtin & Sven Vath

Richie Hawtin と Sven Vath の巨匠による連名共作ミックスCD、2002年リリース。そうですか、あれから11年以上も経っているんですか。何故に今頃こんなミックスを書いているのか?金森達也 as known as DJ Shufflemaster が久しぶりの新作(過去レビュー )をリリースしたから。DJ Shufflemaster は90年代後半~00年代前半のハードミニマルシーンを盛り上げた立役者で、名作「Play Back Pt.3」以降はぷっつりと音信不通になっていた男。最高なタイトル「Play Back Pt.3」がスピンされているのがこのミックスで、いわばこの作品は僕にとって DJ Shufflemaster 最後の足跡みたいなもんだったんです。で、久々に聴いてみました。

Sven Vath はド派手すぎて好きでもなんでもないんですが、かつてのテクノ和尚(今は超リア充セレブDJ !!!) Richie Hawtin が関わっているからにはスルーしてはいけない作品。地中海はバレアレス諸島に浮かぶイビサ島にあるクラブ「Amnesia」、そこで開催されている Sven Vath 主宰パーティこそ「Cocoon Club」であって、年に1回はその再現ミックスがリリースされています。その中でも最高の出来と言われているのが「Third Season」です。

あくまでも「Cocoon Club」を切り取ったミックスではなく、「Cocoon Club」への仮想旅行を楽しむミックスと捉えるのがよろしい。空港のアナウンスメント~パーティ前のざわめきから始まり、ハードミニマル全盛時だったトラックの連打連打。インタルードまで息をつかせぬ展開に心奪われます。勿論、前述した DJ Shufflemaster のトラックはここぞとばかりに高揚感を醸し出す。前半は徹頭徹尾ハードに攻めまくり、後半からはレイヴ感覚が満ち溢れる。明らかに前半が当時の Richie Hawtin であり、後半は Sven Vath が担当しているような内容。クラブの喧騒を再現するかのようなインタルードが挿し込まれていることから、純粋に聴くことを楽しむには少々物足りない。ただし、前半のハードミニマル真骨頂ともいえるスピンは何度聴いても素晴らしい。あ~あイビサに行ってみたいな…。

Tracklist

No Artist – T-Bone Steak... 2:40
Reinhard Voigt – Supertiel 6:41
Tony Rohr – Baile Commigo 3:19
Dirty – Dirty (E-Dancer Remix, Re-Edit By Matthew Roberts) 6:10
Renato Cohen – Pontapé 4:16
DJ Shufflemaster – Play Back Pt.3 - Session 1 5:09
Slam – Step Back (Smith & Selway Rmx) 1:40
No Artist – I'm Ready... 3:16
Technasia – Acid Storm 4:33
Sven Väth – Steel (Marco Carola Rmx) 4:44
Koenig Cylinders – 99.9 (John Selway Rmx) 2:26
No Artist – Amnesia Surprise... 1:36
A Number Of Names – Shari Vari (The Hacker & Vitalic Remix) 3:55
John Starlight – Blood Angels 5:47
Legowelt – Disco Rout 5:39
No Artist – Let's Continue Our Mission... 1:43
Swayzak – Make Up Your Mind (Slight Return) 4:00
Wessling & Schrom – Donauwellen 3:25
Ricardo Villalobos – What You Say Is More Than I Can Say 0:16
Reinhard Voigt – Recht Erst Jetzt 3:24
No Artist – Closing Thoughts... - Sven & Rich's Post After-Hours Thoughts 0:18

2013年4月7日日曜日

本丸亭 横浜店


ラーメン プチ激戦区の様相を呈している横浜鶴屋町。「鶴一家」(過去の記事)やら「麺場 浜虎」(過去の記事)やら「町田商店 横浜店」(過去の記事)やらがひしめき合っていますが、この界隈に「浜の麺バカ」(過去の記事)という非常に美味しいラーメンを喰わせるお店がありました。残念ながら閉店となってしまったのですが、その跡地に出来たのが「本丸亭」です。厚木にある名店と知られていますが、横浜元町にもお店を構えており、このお店は3つ目の店舗となるようです。


どうやらここの売りは塩ら~麺とのこと。神奈川でも淡麗系なるものが浸透してきていますが、その一翼を担う味らしい。塩味はシンプルながら素材とだしが決め手となる、ごまかしの効かないフィールドだ。さて、どのような味を楽しませてくれるのか。


本丸塩ら~麺は800円也。やや高めの印象を受けるが、お腹が減っていたので大盛りを注文した。具として使われているのがロールされた大ぶりチャーシューが2枚。こいつはなかなかスモーキーで柔らかくて美味でした。そして一番の特徴となる春菊。スープにじっくり浸して食べれば、こいつの持つ苦味が中和されて美味しく頂ける。春菊が苦手な人も結構いるだろうが、このスープとの相性は極めてよい。

更にはワンタンが1個入っているが、こいつが実にプリッとしておりクオリティが高い。キモとなるスープは実に上品に仕込まれている。上質の塩を使っているのが一発で分かり、鶏がらを中心として魚介やたっぷりとした野菜を使っているであろう豊潤で奥深いダシが素晴らしい。麺は平打ちの縮れた多加水麺で、ツルリンとしながらもシコシコ食べ応えあり。スープとのバランスも絶妙だ。最後の一滴まで飲み干せる美味しいラーメンを久々に堪能できました。

住所:神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町1-7-21
本丸亭 横浜店ラーメン / 横浜駅神奈川駅反町駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年4月5日金曜日

Techno Pop - Remastered : Kraftwerk

クラフトワークがNYやロンドンで行ったスペシャルライヴ< 1 2 3 4 5 6 7 8 >。どんなものだったのか体験してみたいなーと思っていたんですが、とうとう日本でも公演されることになりました。そのスペシャルな内容とはAutobahn以降リリースされた歴代作を、日替わりで全曲演奏するというもの。しかも観客には3Dメガネが配布され、舞台に映された映像を楽しむことが出来るらしい。で、「Techno Pop」を全曲演奏する5/14のチケットを取りました。アルバム収録曲ライヴに加えて、通常のライヴも行うらしいので実に楽しみです。


Techno Pop - Remastered : Kraftwerk

「Techno Pop」について一応説明しますとですね。2009年にリリースされた一連のリマスター作品の中で、「Electric Cafe」(過去レビュー)を改題した作品です。1983年にシングル「Tour de France」(過去レビュー)をリリースしましたが、その後「Techno Pop」というアルバムをリリースする予定だった彼ら。ただし当時は技術革新のサイクルが激しく、アナログからデジタルへの過渡期だった時代。おそらくですが、最新機材で曲を制作しても、すぐに新しい機材が発表され、という波が押し寄せてきたんではないでしょうか。結果として、新作に「Tour de France」が収録されることはなく、予定していたタイトルは何故か「Electric Cafe」に変更。2009年リマスターでは本来あるべき姿としてリリースされる運びとなったのです。

リマスター作品群の中では、この「Techno Pop」が一番変化が激しい。タイトルは勿論の事、音質は極めてクリアになっており、素材が持つミニマリズムや重厚感が遺憾なく発揮されています。更にはシングル「The Telephone Call」のカップリング曲だった「House Phone」が追加収録されています。この曲は「The Telephone Call」をベースにして、ボーカルレスにしてリミックスしたもの。当然ながら連続性は抜群です。

前にも書いたけど、数ある作品群の中でこの作品の評価はそれほど高くない。コンセプトが不明確なのも一つの原因なんだろうけど、テクノとヒップホップが邂逅した瞬間を切り取った偉大な作品じゃない?

2013年4月3日水曜日

ラーメン凪 炎のつけめん



仕事で西新宿に行く用事がありましてん。西新宿といえば「麺屋武蔵 新宿本店 」を始めとして、猛者共が集いし都内有数のラーメン激戦区。その中でも評価の高い「ラーメン凪 炎のつけめん」に行ってきました。ラーメン凪と言えば強烈な魚臭を放つ「煮干王」(過去の記事 )やクオリティ高い豚骨ラーメンを食わせる「豚王」(過去の記事 )など、様々なジャンルで挑戦し続ける店として有名。ここ西新宿の店舗は1Fが通常の「煮干王」、2Fが「炎のつけめん」専門店として営業展開中だ。



辛いのがそれなりに好きなんだけど、下手の横好きというか実に辛さに弱い。ちょっとピリピリした料理でさえ滝のような汗が顔面全体から迸ってしまう。地獄旨辛なんて謳っているけど、その文字を読んだだけで既に脇汗がびちょびちょだ。緊張に顔をこわばらせつつ、取りあえず「炎の特製つけめん」をオーダー。980円也。



麺の量を200g/300g/400g/500gから選べる。どれを選んでも同額というのは他店と同じシステム。僕は300gの中盛りをお願いする。辛さは1辛~5辛から選べる。更に料金を追加すれば辛さマシマシ(6~10辛)やシビレ増しといった、閻魔大王でさえ涙目になるであろう地獄のトッピングを頼むことが出来る。通常の辛さだと2辛とのことだが、僕は1辛という一番ヘタレな辛さにしてもらう。



どこに辛さが潜んでいるのか?どうやら麺の上に秘伝の黒麻婆ダレがかかっているらしく、そこに十数種類のスパイスやらを調合しているらしい。



ご覧の通り、不吉な予感を漂わせる黒麻婆がかかっている。ちなみにこの麻婆ソースには豆腐も含まれている。僕は「炎の特製つけめん」を頼んでいるので、チャーシュー3枚、味付け玉子にメンマといった具材も供されている。



つけ汁は煮干といった魚介系だしをメインとし、わりと甘みがありすっきりしたお味。角切りチャーシューも入っているので、麺と共に出された柔らかいチャーシューと食べれば贅沢感この上ない。ここに、黒麻婆をまぶした中太もちもち縮れ麺をツケツケして、おもむろにズルズルズルと轟音立てて喰らう。ん、んまい!それほど辛くないぜ、2辛にしておけばよかった!とズバズバ喰らって行くと、額からはじんわりと汗がにじみ出てくる。初めは粒のような汗だったものが、徐々に大粒に変わり、その汗はやはり滝のように顔面から迸ってきた!

山椒は小粒でもピリリと辛い、とはよく言ったもの。じわじわとその辛さが舌の感覚を失わせていく。ピリピリがビリビリに変わり、頭がクラクラとしてくるではないか。辛いけど旨い、旨いけど辛い。その葛藤を終えて全ての麺を食い終える。残った汁はスープ割りにして味わう。ちょっと味わうつもりが、その辛さで脳味噌が麻痺してしまったせいか、全部飲み干してしまった。食後はひと仕事終えたあとのような爽快感が、ブリーズのように脳内を吹き抜けていく。このつけ麺はもはや食べる人を選ぶ、マニアの領域に踏み込んだ麺だ。

HP:http://www.n-nagi.com/store/hono/
住所:東京都新宿区西新宿7-13-7
凪 炎のつけめんつけ麺 / 新宿西口駅西新宿駅西武新宿駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.5 
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2013年4月1日月曜日

The Next Day : David Bowie


The Next Day : David Bowie

偉大なアーティストが「大病を患った」だの「創作意欲を喪失している」だの「廃人寸前」だのと囁かれると、そりゃ誰だって鬱屈な気分になってくる。そんな中、何の前兆もなく10年ぶりに新作が届けられば、驚嘆と喜びをもって迎えられるもんだろう。それが予想以上に素晴らしい内容であれば、その殆どの人は救済されるはず。ボウイの新譜によって、少なくとも僕は救われた。精神的にタフな時期だったこともあって、このアルバムを聴くことで相当救われた。

ボウイ代表作とも言える「Heroes」(過去レビュー)の真ん中が白い四角で塗り潰されているジャケット。これの意味するところが何をか言わんや。常に過去を葬り去りつづけ、前進し続ける十字架を背負っているボウイ。やはりここでも、美しくあった自身の顔や過去を塗りつぶし、老いと向き合って明日に生きる決意を表明している。

内容的には自分自身のキャリアを総括しているものとなっているが、決して散漫になってはいない。むしろ、70年代に見られるグラマラスでアートな雰囲気、80年代におけるポップネス、90年代以降における最先端であり続けようとするオルタネイティヴ感覚といったそれぞれがさりげなく散りばめられ、66歳初老の男が美しく歌い上げる姿は統一感に満ちている。ここに収められたそれぞれの曲は、過去のアルバムに収録されても違和感のない既視感を持ちながら、決して焼き直しではない輝きを放っている。

誰だって老いを恐れる。その姿をさらけ出すことを躊躇する。そしてその先にあるものから目を背けようとする。でもボウイはここで全てを受け入れ、怒り、前を向いている。これほど美しいロックアルバムを聴くのは久しぶりだ。間違いなく今年最高の名盤であり、今後10年の中でもマスターピースとなるだろう作品だ。