2013年5月9日木曜日

Trainspotting

前回ポストしたカール・ハイドの作品(過去レビュー)へ追記。キャリア初のソロアルバムを作ったきっかけは、どうやらブライアン・イーノだったよう。イーノ主導のプロジェクト「Pure Scenius」に参加したことがソロアルバム制作への大きなモチベーションとなり、シンガーとして前に出るように背中を押してくれたらしい。ブライアン・イーノに、ロンドン五輪の音楽監督を務めたアンダーワールド、芸術監督を務めたダニー・ボイル。そこには大きなコネクションがある。


Trainspotting

何を今更と言われてしまいそうだけど、96年に大ヒットを記録した映画「トレインスポッティング」のサントラについて。言うまでもなく、アンダーワールドがブレイクするきっかけを作った映画で、「Born Slippy(Nuxx)」(過去レビュー)がラストシーンにて実に効果的に使われている。更にはブライアン・イーノの名作「Apollo」(過去レビュー)に収録されている「Deep Blue day」も便所潜水シーンにて引用。そして監督を務めたのが、当時新進気鋭だったダニー・ボイルという訳だ。

96年といえば、ブリットポップが終焉していくタイミング。そもそも当時のブリットポップなんてメディアハイプとしか思えなかったんだけど、ここに収録されている曲はそんなことに関係なく、新旧織り交ぜ実に豪華。プライマル・スクリームがタイトル曲「Trainspotting」を書き下ろし、ダビーな当時の新作「Vanishing Point」(過去レビュー)にも収録。ブリットポップ立役者だったブラーが曲を提供するかと思えば、マッドチェスター・レイヴ・オンな(実際にはハッピー・マンデーズです)ニュー・オーダーの超絶名曲「Temptation」までも収録。UKだけでなく、デトロイトからパンクゴッドファーザーのイギー・ポップ御大がオープニング曲「Lust For Life」を提供すれば、NYアンダーグラウンドのルー・リード翁の「Perfect Day」まで。ドラッギー要素満載なこの映画に欠かせない収録曲群で構成されています。

ただし、「当時の大ヒット映画」だなんて神格化されているけど、今振り返るとミニシアター系映画として大ヒットしたという話。不景気なイギリスを舞台にした、ドラッグに溺れる失業中の若者たちを描いているだけに、万人受けする内容ではない。驚くべくことは、この映画によりアンダーワールドが一躍注目されるようになり、若手俳優のユワン・マクレガーが後にまさかのオビ=ワン・ケノービを演じることになり、更にはダニー・ボイル監督が「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー賞を受賞したという事実。その意味では実に重要な映画。

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