2013年6月9日日曜日

Tresor Records 20th Anniversary : Mike Huckaby


Tresor Records 20th Anniversary : Mixed by Mike Huckaby

ハードミニマルヘッズ(特にアラフォー世代以上)にとっては呪文「パルプンテ」にも等しい単語「Tresor」。言うまでもなく90年代前半以降における超重要テクノレーベルであり、テクノ帝国ドイツの首都ベルリンにある超名門クラブです。既にリリースされてから1年以上も経過しているので、今更書くのもアレなんですが、20周年を記念するオフィシャルミックスCDを聴いてます。今の耳で聴けば相当オールドスクールで、時代の経過を感じさせるようなクラシックトラックをデトロイトのベテランDJである Mike Huckaby がスピンしています。デトロイトのDJがベルリンのレーベルから記念ミックスCDを出すのに違和感を覚える?欧州におけるベルリンと、米国におけるデトロイトの距離は余りにも離れすぎていますが、テクノ史を振り返れば両都市が密接な関係性を持っているのは言うまでもありません。何故か?それを紐解くとテクノという壮大な音楽史を振り返ることになってしまうのでここでは割愛。詳しいことを知りたい人は野田努 氏が書いた名著「ブラック・マシン・ミュージック 」を読まれたし。

このミックスを聴いていた先日、名門クラブとして名を馳せた西麻布のelevenが閉店しました。僕はelevenに名が変わってから行ったことはないんだけど、その前身は91年から続いた老舗クラブ「Space Lab Yellow」です。91年といえばテクノ/ハウスといったクラブミュージックが徐々に市民権を得た時期にあたり、「Tresor」の時代とも密接にリンクしています。両者に共通して言えるのは、クラブミュージックへ真摯にコミットしたクラバーの支持を得ていたことなんじゃなかろうか。振り返れば80年代は享楽的なディスコの時代で、それらのハコはナンパ箱として大いなる役割を担っており、現在のようにシリアスなクラブ的存在は皆無だった。西麻布の大人たちが集まる洒落乙なクラブはあったものの、それらは業界人やら洒落乙ピープルのインチキ臭い社交場として機能していたように思う。音楽へシリアスに向き合う人達はディスコやクラブなどへ行かず、ライブハウスへ足を運んでいた。90年代以降になって初めて、クラブミュージックがテクノ/ハウスのエレメントを注入されたことによりシリアス度が増していったんじゃなかろうか。その流れに沿うようにして、新宿リキッドルーム、青山マニアック・ラブや西麻布イエローがクラブミュージック発信基地の役割を担って行った。かつてのクラバー達が高年齢化していくのに伴い、そういったシリアスなクラブは徐々に姿を消していっている。日本におけるクラブカルチャーのアイコン的存在が閉店してしまったのは極めて残念なんだけど、特定のハコに対する思い入れっていうのはどの世代も持っているはず。将来のクラブ文化を担っていくであろう若い世代にも期待していこうじゃありませんか。

Tracklist

Bam Bam – Where Is Your Child (DJ Rush Remix)
Surgeon – Remnants Of What Once Was
Robert Hood – Master Builder
Mike Huckaby – The Tresor Track
Cisco Ferreira – Womans Scent (Hertz Remix)
Cristian Vogel – Absolute Time
Joey Beltram – Ball Park
Joey Beltram – Game Form (Mike Dearborn Remix)
Joey Beltram – Game Form (Original Mix)
Joey Beltram – Instant (Original Mix)
Bam Bam – Give It To Me
Bam Bam – Where Is Your Child (Original Mix)
Surgeon – Returning To The Purity Of Current
Jeff Mills – Late Night
Robert Hood – Minus
Robert Hood – The Core
Joey Beltram – Instant (Paul Johnson Remix)
Drexciya – Devil Ray Cove
Drexciya – Under Sea Disturbances
Drexciya – Digital Tsunami
Robert Hood – Chase
Surgeon – Black Jackal Throwbacks

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