2013年8月29日木曜日

懐や



ラーメン不毛地帯と言い切ってもいい鷺沼周辺。ところがしかし、今年になって旨いラーメンを食わせてくれるという店が出現した。どうやら店主は神奈川県が誇る名店「中村屋」で修業したらしい。駅から程近いところに立地しており、アクセスの良さは申し分ない。海老名の中村屋に行かなくとも、厚木の「ZUND BAR 」に行かなくとも、都内の「AFURI 」に行かなくとも、近所で中村屋の流れを汲むラーメンが食べれるなんて幸せなことだ。ちなみに隣には鷺沼が誇るクラフトビールの店「Bar Sal's 」がある。



スープは塩と醤油から選べるので醤油を選択。麺は細麺と平打ち麺から選べる。メニューには「歯ごたえの良い食感・風味を楽しめるストレート麺」とある。ちなみに平打ち麺は「スープとの絡みも良くモチモチとした食感を楽しめる中太麺」となっている。平打ち麺でぴろっぴろ感を楽しみたいところだが、細麺の方が人気ということでこちらを選択。更には具が通常より多めの特製らーめんにした。こちらにはチャーシュー3枚、味玉、メンマ、青菜、海苔が搭載されている。



控えめながら気迫のこもった天空落としを見ながら着丼を待つ。すると大振りの炙りチャーシューがど迫力に乗っかっているラーメンが登場。七輪で炙られていたチャーシューにかぶりつけば、ベーコンか燻製のように香ばしく、弾性に富んで柔らかく、じゅわっと肉のジューシーさを堪能することができる。味玉は黄身がとろっとろに半熟になっており、甘みも抜群だ。メンマの固さやほうれん草の茹で加減も手抜きなしで申し分ない。固めにゆでられた細麺を啜れば、魚介系と鶏がら系の絶妙なバランスを保ったスープとの相性が素晴らしいことが分かる。するするするする食べられて、鶏油によりコクが整えられた上品なスープは当然ながら完飲。食べログで高得点なのも伊達ではなかった。これはもうリピート必須の名店だ。

住所:神奈川県川崎市宮前区鷺沼3-3-12
懐やラーメン / 鷺沼駅宮前平駅 ) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2013年8月26日月曜日

Welcome Oblivion : How to Destroy Angels



Welcome Oblivion : How to Destroy Angels


遂にフルアルバムをリリースしたHow To Destroy Angels(以下 HTDA)。NINが今年のフジロックで復活を果たし、間もなく久しぶりのアルバムもリリースしようとしていることから、トレント・ レズナーがここ数年の働きっぷりでピークを迎えようとしているのは間違いない。かつでのミスター自己破壊が恐ろしいほどの躁状態になっているのは逆に何だか気味が悪い。ただし、HTDAのフルアルバムから聴こえてくるのは相変わらずの鬱々とした音なので、三つ子の魂百までというべきか。


さて、アルバム収録曲のうち複数は先行シングルである「An Omen EP」(過去レビュー)にも収録されているので、アルバム全体としての目新しさは感じない。逆に「An Omen EP」で輪郭が見えだした世界観が、このアルバムで全容を現したたと言っていい。初期NINにおける破壊的ノイズギターが聴こえることはほとんどないが、ここ数年のNINにおけるダークエレクトロニカを更に研ぎ澄ませたかのよう。ブレーキの効かない暴走車のようなかつての疾走感はないが、それと引き換えに奥方マリクィーン・マンディグの持つウィスパリング・ボーカルが冷徹な美しさを表現している。車に乗りながら爆音でこのアルバムを聴いたんだが、低音の鳴りは明らかにこれまでと違っている。誤解を恐れずに言えばまさしくポスト・ダブステップだ。パートナーの声を最大限に活用して、新しい世界を描こうとしているのは明らかだ。NINと同列に語るのではなく、この新しいポップな陰鬱世界に身を委ねれば自ずと見えてくる。


2013年8月23日金曜日

TOKYO 鶏そば TOMO


大井町で人気上位にランキングするお店。このお店は鶏白湯をメインにしているそうですが、大井町は白河ラーメン、二郎インスパイア系、東京醤油ラーメン、神奈川淡麗系、和歌山ラーメンといろんなラーメンを楽しめる街だなあと再認識。何はともあれ駅から歩いて数分というこのお店、商品化もされていることから訪問しない手はありません。



メニューのカテゴリーは大きく分けてらぁめん、つけ麺、油そばの3つ。初訪問の際は基本形ラーメンを注文していることから「得鶏濃厚魚介らぁめん」を頼みます。お店一押しのつけ麺や油そばも気になるところですが、やはり基本を押さえないことには(という変なラーメン哲学にこだわっている)。基本的なラーメンにはチャーシューとして鶏のむね肉が2枚入っているんだが、「得」のついているいわゆる全部乗せには鶏のもも肉2枚に、味付け玉子が1個、海苔が5枚加えられています。



まずはどろっと濃厚なスープを啜ってみる。一番最初は煮干しやうるめといった魚介系の香りが鼻孔を突くが、その次に優しい鶏白湯の味が感じられる。いわゆる動物魚介ダブルスープなのだが、鶏白湯を主軸にしているだけに獰猛さは感じない。クリーミーなまろやかポタージュ系で、チュルチュルしていながらコシがある平打ちストレート中太麺を優しくサポートしている。具材にはゼラチン状の甘みある味付け玉子(こいつがなかなかイケる)、しゃっきりとした食感の姫筍、生なんだけどスープに浸すと丁度いい塩梅になるモヤシ、鶏へのこだわりが感じられるしっとり系のむね肉・もも肉チャーシューが使われている。ダブルスープと言えども全体的に優しいお味で、スープを全部飲み干してしまいたい衝動に駆られる(飲まなかったけど)。化学調味料ばりばりの味濃い目が好きな人には物足りなく感じるでしょうが、鶏白湯とはそういうもの。その中でも魚介の味で深みを演出しており、濃厚さと優しさを両立させることに成功していました。

住所:東京都品川区東大井6-5-1 
ホームページ:http://www.torisoba-tomo.com/
TOKYO 鶏そば TOMOラーメン / 大井町駅鮫洲駅立会川駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.4 
昼総合点★★★☆☆ 3.4

2013年8月21日水曜日

Frequencies : LFO


Frequencies : LFO

現代テクノ文脈を語る上で外せない作品「Frequencies」が今年になってリイシューされています。しかもレアトラック4曲を追加して、高音質SHM-CD仕様となっては入手しない理由はないというもの。

以前にも記事を書いたことがありますが、敢えて改めるとLFOとは90年代初頭にデビューしたブリープテクノユニット。マーク・ベルとギャズ・ヴァーレイが結成し、現在はマーク・ベル単独のユニットとなっている。問答無用、説明不要の最重要レーベル「Warp」から作品をリリースし、その後にWarpがアーティフィシャル・インテリジェンス・シリーズをリリースしたことを考えると、いわゆるベッドルームテクノもしくはIDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)の始祖とも言える。彼らがいなければオウテカも存在しなかっただろうし、エレクトロニカというタームも生まれなかったに違いない。

それよりも重要なのが、本作は隆盛を誇っていたシカゴハウス~デトロイトテクノへのUKからの回答、とも言われていること。UKではセカンドサマーオブラブ真っ盛りではあったが、それまでUKではダンスミュージックに根差した電子音楽は皆無だったのだ。デトロイトテクノがアメリカ黒人音楽(ファンク~ディスコ~ハウス)に根差していたのに対して、UKテクノはバックグラウンドを持たない突然変異的存在だったのだ。更に興味深いのが、デトロイトテクノを生み出した若者も、UKのマーク・ベル達も工業都市の労働者階級出身だったこと。ささやかな機材を使って、何もない場所から最先端の音楽を作り上げていった事実は実にドラマティックだ。

2013年8月19日月曜日

蒙古タンメン中本



私は辛いものが好きなんだが苦手だ。汗かきで猫舌なれど、辛いものが好きだ。いわゆる下手の横好きというやつだ。そんなあまちゃんを嘲笑うかのように、世間には理解を超越するような激辛党がたくさんいる。そんな辛党から絶大なる支持を集めているのが「蒙古タンメン中本」だ。これまでずっと恐れをなしていたが、麺党と自認する私としては行かないわけにはいかないじゃないか。



そもそも蒙古なのにモンゴルらしくない?タンメンなのに辛味噌味?中本って誰?とあれこれ追求したくなる店名だが、その辺りはWikipedia を参照してもらいたい。どうやら蒙古タンメンなるものが看板メニューらしく、激辛の「北極ラーメン」なるものも存在する。当然この辺りはスルーして初心者レベルの味噌タンメンを注文。初めての訪問は渋谷店。



初めてのお店ということもあり、作法が分からないので取りあえず天地返しをする。勿論そんなことをする人はいなかった。現れ出たのは中太ストレートの柔らか麺で、まるでちゃんぽんのような麺だ。辛味噌味のスープを啜れば、味噌の甘みにダシの旨味、トウガラシの辛味が合わさってなかなか旨い。くたくたに煮られた野菜にスープが染みておりこいつも旨い。豚ばら肉も食い応えあり。確かに辛さは比較的抑え目ではあるが、食べ進むにつれてどばどばと音を立てながら汗が噴出してきた。旨い、だけども辛い。辛い、だけども旨い。と禅問答を繰り返しながらスープをどんどん飲んでしまう。取りあえず基本形はクリアした。私的には汗の量は別にして辛さは問題なし。



そして後日。人気No.1メニューの蒙古タンメンを喰らうべく品川店を訪問。基本形の味噌タンメンに麻婆豆腐がかかっているのだが、この麻婆豆腐には挽肉が入っていない。辛さを追求すべく最適化された餡には豆腐しか入っていない。こいつが丼全体の熱を封じ込める役目を担っているので、猫舌の僕としてはふうふう冷ましながら喰らわねばならぬ。味は味噌タンメンを踏襲しているが、やはり辛さはワンランク上。と言うか、辛いのが得意じゃない僕としては、ここまでくると味噌タンメンの辛さと大差ない。大汗をぶしゅーと噴き出しつつ、旨味あるスープまでぐいぐい飲み干してしまう。ここまでくるとダシに何を使っているのか全く分からない。食べ終えてしばらくして脳が覚醒したせいか「まだまだ辛いのはいけそうだな」とか「あそこまで辛かったら北極ラーメンも変わらないだろう」とか反芻する始末。中毒者が続出するのも頷ける。

ホームページ:http://www.moukotanmen-nakamoto.com/
蒙古タンメン中本 渋谷店ラーメン / 渋谷駅神泉駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.0 
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2013年8月17日土曜日

Octopus Heart / Menstrual Cycle : Prince



Octopus Heart / Menstrual Cycle : Prince

自身の配信サイトだけでなく、とうとうSoundCloud進出を果たした殿下。2つの新曲「Octopus Heart 」、「Menstrual Cycle 」がフリーダウンロード可能となっています。ここまで来るとネットで何がやりたいのか分からなくなってきますが、当方凡人ゆえ天才を理解する必要もなし。粛々とダウンロード作業に励むのみです。そもそも「Menstrual Cycle」ってどういう意味?と調べたら「月経周期」とのこと。


_人人人人 _

>月経周期 <
 ̄^Y^Y^Y^ ̄

さすが殿下。


これらはインスト曲で、ギター、フェンダー・ローズ、ベース、ドラムの最小構成で成り立っている。特に「Menstrual Cycle」の前半では相変わらずセクセェなギターをばりばり弾きまくっているものの、10分にも及ぶ長尺曲はジャズファンクの香りがぷんぷんする。このあたりは「N.E.W.S」(過去レビュー )と共通感覚がある。ひょっとして一人で全パートを弾いているのかしら。「Octopus Heart」に至っては更に顕著で、エレクトリック・ジャズファンクとしか言いようがない。ロッキンチューンといい、プリンス極北ファンクといい、エレクトリック・ジャズファンクといい、多様な方向性を指し示している殿下。果たして新作はどうなるのか?

2013年8月15日木曜日

ラーメン二郎 立川店



滅多に訪れることのない街 立川。仕事でこちら方面に来たこともあり、夕食は立川二郎に立ち寄ってみようと思い立つ。立川駅から徒歩5分ほどで到着すれば、暮れなずむ街の光と影の中、ラーメン二郎立川店は光り輝いていた。18:30頃に到着したら店内外合わせて5人待ちほどだった。二郎中毒者の事前情報 によれば、下手こくと完敗を喫することになるようだ。あまり欲張らないことにする。



メニューにはあろうことか「麺少なめ」まである。この日は満腹感を追求するより、二郎をとことん味わい尽くしたかったので、まずは「麺少なめ」を選んだ。更には、麺の少なさを補完するために「豚増し」にした。トッピングはニンニク少なめにアブラをお願いした。「麺少なめ」なのにこんなにこんもりしているなんてどういうことなのだ?ヤサイの上にプルップルと載っているアブラが美しい。取りあえず適度に乳化したスープを啜れば、カネシ醤油の甘みと豚骨醤油の旨味が口の中に広がる。うむ、なかなか旨い。



天地返ししたらじゃがいものようなブタがゴロンゴロンゴロンと飛び出してきた。かぶりついてジューシーかつ繊維質たっぷりな食感を堪能する。次に、普通よりやや細めでヤワメの麺をがっつらう。なるほど「麺硬め」で注文する人がいる理由が分かった、普通の二郎よりも細めでヤワイのだ。それでも小麦の香ばしさと適度なワシャワシャ感を楽しみながら「うめーよ、兄さん、うめーよ。」と心の中で叫ぶ。しかしながら「豚増し」を甘く見てたようで、いくら掘り起こしても次々とニクニクした豚が登場する。適度なシャキシャキ感を誇る野菜の量も平均よりも多いようだ。これで野菜増しにしたら殺人兵器と化すだろう。

だんだん腹が膨れてきて、結局いつもの満腹感と同じようになってしまった。これでは味わう尽くすところの騒ぎではない。取りあえず麺少なめでよかったが、小ラーメンにヤサイ増しとかだったら完全敗北宣言だったろう。おそるべし立川店、数多の二郎の中でもボリューム感はトップレベルだろう。それにしても、どこの店でも野郎どもが餌にありつく瞬間に発する緊張感は凄まじい。獣だよ。

住所:東京都立川市柴崎町2-10-1
ラーメン二郎 立川店ラーメン / 立川南駅立川駅立川北駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.7 
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2013年8月13日火曜日

Extraloveable Reloaded : Prince


Extraloveable Reloaded : Prince

「Ain't Gonna Miss U When U're Gone」(過去レビュー )に続いて「Extraloveable」(過去レビュー )の再録バージョンもリリースされています。そもそも「Extraloveable」は80年代に制作された未発表曲であり、2011年になって唐突に再録リリースされた曲。それを更にリロード版としてリリースするからには、殿下としても余程この曲に愛着あるのでしょう。ちなみに音源としてリリースされていませんが「Let's go crazy」のReloadバージョン も存在する。どちらにも共通して言えるのが、オリジナルバージョンよりも重心が低くスロウに作られていること。故にオリジナルにはないグルーヴ感が満載となっている。「Extraloveable Reloaded」はオリジナルよりも更にホーンがフィーチャーされ、どファンキーなことこの上ない。殿下には是非ともこの辺りの路線を徹底追及してもらいたい。

2013年8月11日日曜日

麺壱 吉兆



大井町界隈でダントツ人気のお店に行ってきました。駅からすぐの路地裏一番奥にありますが、この路地には「中華そば 永楽」(過去の記事 )や「ザ・ラーメンスモールアックス」(過去の記事 )といった名店が軒を連ねます。行列の長さでいえばここがおそらく一番だろう(もちろん味も一番だと後で思い知ることになる)。開店時間を確かめずに午前11:00に行ったら準備中。しばらく時間をつぶして11:30前に行ったら、既に8人ほど列を作っていました。ちなみにこのお店は、この界隈ではあまりお目にかかれない白河ラーメン。昔懐かしい東京ラーメンに通じる、素朴な醤油ラーメンを指します。



メインとなるのが「中華そば」と「支那そば」の二本柱。我が地元にもある白河ラーメンの名店「白河中華そば」(過去の記事 )と同様、中華そばは鶏がらメイン、支那そばは鶏ガラと魚介のWスープになっている。どうやら中華そばの方が人気らしいのでこちらを注文します。



ランチサービスとして「そぼろご飯」を100円で注文することが出来ます。刻み焼豚や小松菜、刻みネギ、刻み海苔が振りかけられたもので、こちらも迷わず注文。



中華そばの王道ともいえる風情のラーメンが登場しました。まずスープを啜ると昭和ノスタルジア溢れる醤油味がお口の中に広がる。きりっと淡麗な味ながらも鶏油のコクが感じられ、実に奥深く上品な味わい。チャーシューは豚ロースが使われており、ふちが赤く着色されてスモークされたもの。肉の食感が香ばしく凝縮されており、存在感がたっぷりだ。ほうれん草もしゃっきり感が残っているぐらいに、丁度良く茹でられている。そして肝心要の麺を啜り、ここ最近で一番強い衝撃をがつんと受けた。多加水の自家製手打ち麺はふぞろいに縮れているが、ピロッピロに柔らかくて、チュルッチュルなのに何故かコシがある。こんなに美味しい麺にお目にかかれるのは久しぶりだよ!!これぞまさしく職人が作り出す小宇宙!!と夢中になりながら麺・スープ・チャーシューの三位一体を堪能した。



そばを食べ終えてから「そぼろご飯」に取り掛かるが、こいつも旨いのなんの。サイドメニューの地位に甘んじているが、このそぼろご飯を目当てにして来店してもいいぐらいのクオリティ感。ご飯に染みたチャーシューだれのコク、細かく刻まれたネギや小松菜のあっさり・シャキシャキ感が双方に高めあっており、ワンコインとは思えない味になっている。

なるほど大井町で人気No.1も頷けるが、名店がひしめきあう城南地区でも上位を狙える、いや東京都内でさえも上位を狙える名店がここにあった。

住所:東京都品川区東大井5-6-6
麺壱 吉兆ラーメン / 大井町駅鮫洲駅青物横丁駅 ) 
夜総合点★★★★ 4.0 
昼総合点★★★★ 4.0

2013年8月9日金曜日

Ain't Gonna Miss U When U're Gone : Prince


Ain't Gonna Miss U When U're Gone : Prince featuring Ledisi

殿下の配信サイト「3rd Eye Girl」から6月に新曲がリリースされています。フィーチャーされているのは最早ベテランの域に達しているシンガーLedisi。新作への足固めが着々と整っているようです。ただ意外に思ったのが、ここ最近リリースされている新曲はロックチューンが中心なのに、この新曲はプリンス極北ともいえるミニマルなファンクチューン。最近の作風とやや違っているのが気になるところ。いずれにしても、音数を削ぎ落したこのトラックが素晴らしいのは言うまでもない。よく耳を澄ませば、殿下キャリアピークの80年代中期~後期の香りが漂ってくる。ひょっとしてこれは元からあるトラックなんじゃないか?ベースラインやホーンは現代の感覚があるけど、ボーカルの変調具合やクラップ音、キーボードの音はBlack Album(過去レビュー)時代の香りがぷんぷんする。この雰囲気が新作に貫かれてばいいんだけどなぁ。

2013年8月7日水曜日

麺屋 焔



ここ最近は大井町界隈のラーメン店開拓に精を出しています。大井町だけでなく、東京の城南地区は実に名店が多いことに気が付く。しかも当ブログで取り上げ率が多い二郎インスパイア系ではなく、味に深みのあるお店が多いのだ。今日取り上げる「麺屋 焔」は神奈川淡麗系(いわゆる中村屋の流れ)に属するのであろう。JR大井町駅から徒歩数分のところにあります。



塩と醤油とも650円と実にリーズナブルな値段だ。しかもこのジャンルには珍しく、替え玉まで用意されている。取りあえず、迷うことなく塩らぁめんを注文する。前にも書いたが、塩味にごまかしは効かない、夢は時間を裏切らない。



透き通った黄金色のスープが美しい。具材に使われているのは炙りチャーシュー、メンマに水菜。何か物足りないな、と思ったら味玉がなかった。これはトッピングとして提供されているので、通常メニューのコストを抑えるための策としているのだろう。こういったところに心憎い気配りを感じる。

さてスープを軽く啜ってみたところ…間違いなく旨い。鶏がら、香味野菜、昆布などの魚介系が中心なんだろう。僕はこの時、あさりっぽいダシと焦がしネギの風味を軽く感じた。だしに何を使っているか流石に聞くわけにはいかないが、旨味とまろ味が十分あって、キレも備わっている。少々の興奮を覚えながら炙りチャーシューを頬張るが、ジューシーで香ばしくて柔らかくて申し分ない。博多長浜ラーメンのような極細ストレート麺を啜れば、見た目以上にコシと芯があってツルツルいける。スープ、麺、チャーシューともに絶妙なバランス感があり、思わず替え玉を頼んでしまった。これは若い店主渾身の作品ともいえるべき、上品できりっとした塩らぁめんだ。

住所:東京都品川区大井1-53-5
麺屋 焔ラーメン / 大井町駅鮫洲駅立会川駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.7 
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2013年8月4日日曜日

Delta Machine : Depeche Mode


Delta Machine : Depeche Mode

古巣Muteを離れてColumbia Recordsへ移籍後の第一弾となった、Sounds of the Universe(過去レビュー)以来4年ぶりの新作。日本での認知度は相変わらず低いものの、ワールドワイドのチャートアクションを見るとかなりの売れ行きになっていることが分かります。いや大物バンドの久々リリースにより売れているだけでなく、その内容も歴代作品に勝るとも劣らない素晴らしい内容だからこそでしょう。重厚なエレクトロを基礎として、ビンテージ機器で醸し出されるオーガニックな香り。電子機器のみでなくギターやピアノ、ストリングスといった楽器もフィーチャーされていることから、有機的な香りが格段に増しています。更にはMartin Goreによる艷やかでエモーショナルな普遍的ボーカルにより、Depeche ModeがDepeche Modeたる所以をここに宣言している。まさしくエレクトリック・ブルーズ。とにかく全てにおける音使いが素晴らしい、気持ちいい。彼らが持っているダークネスとメランコリア炸裂の素晴らしい傑作です。

2013年8月1日木曜日

千里眼

1ヶ月近くも前の出来事で恐縮ですが…例年よりも早い梅雨明けとなった今年。つまり7/6から夏が始まり、夏男としてその名を馳せる僕としては居ても立ってもいられず都内へ猛突進。夏の到来を祝福するために、都内の二郎インスパイア系としては最高峰と言われる千里眼に行ってきました。最寄りの駅といえば駒場東大前か東北沢か代々木上原。それぞれの駅から結構離れており、立地としてはそれほど良くない。仕方がないので、渋谷からバスに乗って行きました。


13:00頃に到着したところ、店の前には10人以上の長蛇の列。店の中で待てるのは6人まで。ギラギラ照りつける日差しと闘いながら、30分以上も忍の一字で待ち続けます。こんな便の悪いところで、暑いさなかに待ち続ける人達…きっと僕と同じく夏の到来を祝福したかったのでしょう。



ここのメニューがユニークなのは冷やし中華があるところ。しかし初訪問ゆえにオーソドックスなラーメンにします。事前調査ではブタがかなり評判がいい。ただし普通のラーメンだとブタが1枚らしく、豚ラーメンだと3枚とのこと。その間隙を狙うブタ2枚の豚玉ラーメンという新メニューが登場したらしく、迷わずそれを注文することに。ヤサイも多いらしいので、トッピングはニンニク少なめと辛揚げにする。辛揚げとはこのお店独自のトッピングで、唐辛子が練りこまれた揚げ玉を指す。



あとで知ったのだが、辛揚げは別皿でもお願いできるらしい。辛いものは好きなんだけど苦手な僕としては、食後に滝のような汗を大放出することになる。まさしく夏の到来を祝福せんがための食べ物だ。オレンジ色が禍々しくてたまらない。



取りあえず、恒例の天地返しを行う。剛毛な極太麺に喰らいつき、ワシワシ~ゴワゴワした食感を堪能する。小麦の香ばしさがみるみるうちにお口の中に広がっていきます。どうやら浅草開化楼 という有名な製麺所が作っているらしい。スープをちょいと啜ってみれば乳化具合が申し分なく、塩分と甘みが絶妙にバランスを保っているではないか。旨みも申し分ないのだが、辛揚げがじわじわと侵食してきて辛味が増してきた。当然ながら汗が噴き出してきたので、食べるスピードを上げていく。

ロールされたブタはほろっと崩れるように柔らかく、肉々した感じがたまらない。プルプルっとした脂身の甘みも最高で、ブタとしてのクオリティが高く確保されている。ヤサイは事前調査通り、相当の量になるのでマシにしなくてよかったと胸を撫で下ろす。茹で過ぎていないシャキシャキした食感は実にウレシイ限りだ。全体的にはかなりの量になっているので、味を楽しみたいのなら麺を少なめでお願いするのがいいかもしれない。全て食べ終わった時には、辛揚げがスープに溶け込んでおり、脂濃度が高くてオレンジ色になっていた。辛いものが苦手な人は、別皿で調節しながら食べるのがいいだろう。

住所:東京都目黒区駒場4-6-8
千里眼ラーメン / 東北沢駅代々木上原駅池ノ上駅 ) 
夜総合点★★★☆☆ 3.6 
昼総合点★★★☆☆ 3.6