2013年11月27日水曜日

Borderland : Juan Atkins and Moritz von Oswald


Borderland : Juan Atkins and Moritz von Oswald

デトロイトテクノのオリジネーターである Juan Atkins、90年代におけるミニマルダブの先駆者である Moritz Von Oswald ……デトロイトとベルリンというテクノの2大聖地を繋ぐ二人が20年ぶりの共演を果たしてます。しかも名門レーベル Tresor からのリリースということもあって、テクノ史上最強タッグに華を添えています。ちなみに 20年前の1993年には Moritz Von Oswald と Thomas Fehlmann(現 The Orb)のユニット 3MB と、Juan Atkins がコラボレーションした「Jazz is the Teacher」がリリースされています。

果たしてその内容はデトロイトとベルリンの融合に他ならなく、この二人だからこそ紡ぎだされる音の粒子と響き、戯れが五感を刺激します。シンプルな四つ打ちのキックと透明感のあるコズミックなシンセ音は紛れもなくデトロイト的であり、地を這うように重く響くベースラインやジャジーな香りが漂うダブ的音響処理は Moritz Von Oswald 配下にあるものです。

ほぼ同じBPMで打ち込まれていくキックがミニマルに続いていき、劇的な変容を感じ取れることは殆どない。だからこそスモーキーな雰囲気が徐々に鼓膜へとまとわりつき、いつしかリスナーは森の奥にある沼に足を取られるように耽溺していく。後半の「Treehouse」以降から二人の個性が際立ち始めるが、だからといって劇的な変化が訪れるわけではない。ディープに、ミニマルに、ジャジーにことは進んでいく。絶対的な快楽がここにあるわけではない。しかしながら、静かに流れる音の清流に身を委ねることで、静謐な快楽を発見することができるだろう。

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