2013年11月12日火曜日

Kveikur : Sigur Ros


Kveikur : Sigur Ros

前作「Valtari」(過去レビュー)から僅か1年という短いインターバルでリリースされた新作。とは言ってもやっつけ仕事ではなく、彼らにとって非常に重要な意味を持つ作品になっている。キーボード担当のキャータン・スヴェインソン脱退後の、3人体制となった新しいスタート後の作品なのだ。

また、リリースの2年前から制作していたというから「Valtari」と双生児的な作品かと思いきや作風が全く違う。前作が賛美歌のように厳かで美しく繊細であったのに対して、今回はインダストリアルの要素やマシンビートが取り込まれている。スピーカーの音を大きくしてたこともあって、一番最初に聴こえた音がノイズのような荒々しい重低音で本当に驚いた。

全編通してヘヴィな作りになっており、これまでにないほど攻撃力がある。アンビエント感覚が控えめになっていることもあり、ポストロック的な浮遊感がやや減退。その代わりに音の輪郭がクリアになっており、音圧も強くなっている。

メンバー脱退後のヘヴィな作品、と言っても悲壮感が漂っている訳じゃない。ヨンシーの神々しい歌声、彼らが元々持ち合わせている美しいメロディも健在だ。それどころか新たなる決意を表明しているようにも、希望を携えて前を向いているようにも、新しいスタートに興奮しているようにも思える。まさしく新章の幕開けを感じさせる、彼らがロックバンドであることを再認識させてくれる傑作だ。

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