2014年3月18日火曜日

Morning Phase : Beck

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6年ぶりという Beck の新譜をひたすら聴き続けている。これはもう「聴き続けている」というよりも、この作品に対する我が魂の欲求が抑えられない、という方が正確だろう。それぐらいに素晴らしく響き渡る音楽としか言いようがない。

去年連続リリースされたシングル群とは作風が異なり、過去の名作「Mutations」(過去レビュー)や「Sea Change」(過去レビュー)を踏襲したアシッドフォーク路線。しかも「Sea Change」制作時のミュージシャンを再集結させており、「Sea Change」の続編的な位置づけになるらしい。ちなみにこの作風になる時、ジャケットもセルフポートレートになるという法則も変わらず。

まず厳かなインストナンバーから始まり、タイトルやジャケットに表わされるような朝の到来を感じさせる。脊髄損傷による身体の深刻なダメージに数年悩まされ、ようやく回復した男の静かなる喜びが伝わってくるようだ。揺らいでいる幽玄な音響処理に包まれて、歌心のあるカントリーやフォークのようなトラディショナル音楽がリスナーを優しく包み込む。幾層にも積み上げられたコーラスワークは60年代の西海岸フォークを彷彿とさせ、多くのアメリカ人が持ち合わせているであろう郷愁を誘う。全編に渡ってサイケデリックかつレイドバックな感覚が行き渡っており、最終曲の最終部分では完全復活を宣言するかのような感動的フィナーレ。沁みる、沁み入りすぎる。今年の最高傑作の一つと数えてもいい。

僕らの毎日はいつも希望の朝で始まるわけでもなく、残酷な予感で始まる朝だってある。それでも朝は確実にやってくるもので、その到来は間違いなく光に包まれているのだ。

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