2014年4月30日水曜日

Hesitation Marks : Nine Inch Nails

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00D8WTBNY/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00D8WTBNY&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


NIN 5年ぶりの新作タイトルに冠されている「Hesitation Marks」とはためらい傷の意味。最高傑作である「The Downward Spiral」の最終曲として収録され、ミスター自己破壊のイメージを決定づけた名曲「Hurt」の流れを汲んだタイトルらしい。しかし単純に続編という訳ではなく、ミスター自己破壊の20年後の姿を投影させた作品とのこと。「The Downward Spiral」と同じデザイナーを起用し、フォントまで同じものを使用しているが、「The Downward Spiral」とは作風が決定的に違う。

一連のサントラ制作に関与し、How To Destroy Angels を通過しての新作ということもあり、今回の作品はこれまでにない風合いを帯びている。つまり外部への積極的関与による開放感を前者から得て、繊細なエレクトロニクス感覚を後者から得て、それらの感覚が全面的にフィードバックされているのだ。しかもアルバム中央には NIN 史上で一番の躁状態トラック「Everything」が据えられており、これがまた賛否両論。これまでにないファンキーさを散りばめているのにも、古くからのファンは違和感を覚えるだろう。 ちなみにサウンドプロダクションの完成度はこれまでの作品の中でもトップクラスの高さ。

この作品には、初期作品に見られる鬱屈とした閉じた感覚や沈鬱さ、怒りや破壊願望を表現した異常な衝動は殆どない。トレント・レズナーに子供が出来たという事実から分かる通り、かなり開かれた感覚が充満しているのだ。前述の通り「The Downward Spiral」をリリースした当時のクレイジーな状態を経て、今に至ったトレント・レズナーを表現しているのだ。初期作品のような雰囲気を期待しているファンは肩透かしを食らうであろうし、全く新しいモードを期待しているファンには諸手を挙げて迎えられるだろう。そういう意味ではチャレンジな作品と言っていい。

2014年4月28日月曜日

九州ラーメン 銀嶺

先日、訪問が叶わなかった「RA-MEN ICHI」を何とかして食べたい、と武蔵小山を再訪問しました。が、やはり開店しておらず「ちーん」とやられてしまう。営業時間が流動的なのは知っていたが、2回もフラれてしまうと「やる気あるのかよ!」と思ってしまう。再び起死回生の一歩を踏み出すべく、探し当てたのが「九州ラーメン 銀嶺」というお店です。


駅から5分ほど歩き、スーパーの真向いにあるお店の前に辿り着く。何の予備知識もなかったので、お店の佇まいを見て呆然とした。看板には確かに「九州ラーメン 銀嶺」と書かれているが、どうみても40年ほど前から営業を続けているような、昭和オールドスクール的な中華料理店だったのだ。喉の奥から「まじかよ…」という言葉が本当に出てきたほど、きれいとは言えない外観。今どきのこぎれいなラーメン店を想像していたのだが、予想を見事に裏切る店構えではないか。それでもやはり、通常のラーメン店からは放たれないオーラを感じつつ、店の中へと吸い込まれるように入って行った。


やはりお店の中もお世辞にもきれいとは言えない。メニューは昔ながらの短冊に一品ずつ書かれており、ラーメン以外には「レバニラ炒め」「ニラ玉」「カツ丼」「ベーコンエッグ」「ハムカツ」など何でもありだ。もはやラーメン店の領域を飛び出して、食堂や酒場の領域にまで踏み込んでいるではないか。しかもそれぞれの値段が驚くほど安く、看板メニューの「九州ラーメン」は500円で食える。チャーハンや餃子にも心揺らいだが、ここはやはり初心を忘れずに「九州ラーメン 大盛り」(600円)を注文した。


万能ネギ、海苔、チャーシューといった具材が使われており、玉子がついているのも中々嬉しい。麺は「佐藤商事 大井製麺 」という製麺所で作られたことがお店に飾られた謹製カレンダーから分かる。とろみのある豚骨スープから麺をリフトアップすると、中細の縮れ麺が顔を出した。長浜ラーメンのようなストレート細麺ではないのが珍しい。クリーミーでとろみのある白濁スープを軽く啜ってみると、まろやかでコクがあり甘みさえ感じる旨さ。豚骨の臭みも感じられない。かん水多めの麺は適度にコシがあって、スープとの相性も実に素晴らしい。チャーシューもよく煮込まれているので、優しい柔らかさとなっていた。惜しむらくはスープの塩分濃度がやや高めだったことだが、それを差し引いても街中の中華屋としては突出したクオリティを誇っている。

他の食べログレビュアー情報によると、店主は若かりし頃、福岡県南部の大牟田市にある「銀嶺」という地元密着型ラーメン店で修業をしてたそうだ。なるほど熊本寄りの九州ラーメンになると、あっさり豚骨よりもクリーミー豚骨になるのだろうか。九州に行けばこのような郷愁を誘うラーメン店が点在するのだろうが、昭和から東京で豚骨ラーメンを食わせる店は実に貴重だ。次回は夜に訪問して、リーズナブルな中華料理で一杯ひっかけたいもんだ。それにしても武蔵小山はやはり侮れないエリアであった。

九州ラーメン 銀嶺ラーメン / 武蔵小山駅不動前駅戸越銀座駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2014年4月26日土曜日

Back & Forth : Foo Fighters

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B004XCUEXY/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B004XCUEXY&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


2011年にリリースされ、日本でも劇場公開された Foo Fighters キャリア総括ドキュメンタリー。バンドメンバーや元メンバー、プロデューサー等の数多くの関係者による証言によって、バンドの歴史が明らかになっていきます。

フーファイが始まるきっかけは20年前の Nirvana 解散からなので、当然ながらカート・コバーンの死に言及するところからスタートする。デイヴはその喪失を埋めるために私的プロジェクトををスタートさせ、バンドとして継続させる決意をした。当時は彼のヒーロー的存在でもあるトム・ペティからバンドに誘われており、自分のバンドを始めるか、トム・ペティのバンドに加入するか悩んでいた事実が興味深い。

バンドが今のような大物になる過程で、度重なるメンバーチェンジが行われていく。それは仲違いという簡単なものではなく、バンドに必要な化学反応をどのように起こすかという難問の末だった、ということが数々の証言によって明らかになっていく。やがて名盤の誉れ高い2ndアルバム「The Colour and the Shape」(過去レビュー)によってビッグネームへの足がかりを得るが、レコーディングではドラマーを解雇せざるを得なかった苦渋の選択があったことが分かる。

徐々にバンドはビッグネームへの道を順調に歩き始めたように見えるが、最高傑作と言っていい「One By One」(過去レビュー)をリリースする前に解散の危機に陥る。ツアーによる疲弊、レコーディングの不調、デイヴの QOTSA への参加、それにともなう人間関係の悪化が原因だ。コーチェラ・フェスティバルでのステージが不調に終われば解散、とバンドは決意していたようだが、そこでは強靭なケミストリーを発揮してしまう。その後でリリースされたのが「One By One」だった、というのは実にドラマチックだ。

やがてバンドは2枚組大作の「In Your Honor」(過去レビュー)を発表、アコースティックツアーである「Skin And Bones」(過去レビュー)を敢行、次々と野心的な挑戦を続けていき、遂にはレジェンドとなるウェンブリー公演(過去レビュー)を成し遂げる(ここでも、男泣きするデイヴを驚いた顔で後ろから見つめる Taylor Hawkins が映される)。そして終盤では、現時点での最新作である「Wasting Light」(過去レビュー)がいかに原点に帰ったプロジェクトであったかを、レコーディング風景を通じて明らかにしていく。

エンドロールが終わった後、デイヴが自宅をモップがけし、「もっとマシなバンド名にすりゃよかった。最悪の名前だ。」というファニーなシーンで映像は終わる。実にフーファイらしいユーモラスで愛すべき終わり方だ。

2014年4月24日木曜日

麺屋 藤しろ

ここ最近は日本発ラーメンが世界進出しており、しかも庶民のメニューではなく高級メニューとして扱われることもしばしばと聞きます。その中でもとりわけ人気なのが、フランス料理にも通じる味わいの鶏白湯スープらしい。当然ながら日本国内でもじわじわと市民権を獲得し、そろそろ淘汰の時代に入りつつあるようです。


さて、今回訪問したのは目黒にある鶏白湯のお店。徒歩10分圏内に有名店が軒を連ねる、ラーメンのスーパー激戦区でも知られている目黒。尋常ではない密集度合いを誇るこの界隈で、常にランキング上位の常連である「麺屋 藤しろ」にお邪魔しました。この界隈では「ぶらり 目黒店」(過去の記事)が鶏白湯の競合になります。


お店の主軸はラーメンとつけ麺の二つ。しかもそれぞれ違う麺を使用しているというから、全く別次元の食べ物と考えていい。基本から入る僕としては、スタンダードな「濃厚鶏白湯ラーメン」(750円)を注文。ただし並盛は150gとやや少なめなので、大盛(100円)にして注文する。


中央に豚ロースを使用したチャーシュー、その上に九条ネギ。筍のように柔らかいメンマ(いや、実は筍らしい)、海苔、ナルトが添えられるようにして、タマネギとニンニクの揚げ物が周りをぐるりと囲んだ美しい盛り付け。この時点でこだわりが随所に感じられるが、ダシ、かえし、具材、麺の全てにこだわりを貫いているそう。お店の能書きによると、ダシには大山地鶏と仔牛の骨、ローストしたスジ肉を使用。かえしには厚削り節と煮干しといった魚介系を使っており、化学調味料は不使用とのこと。


麺をリフトアップすると中細ストレート麺が登場。ぷりっとしており、ぽんっと弾けてパスタのような食感を楽しむことが出来る。麺に絡みついたとろみあるスープは思ったほど濃厚ではなく、淡いポタージュのようにマイルドですっきりした味わい。こだわり抜いただけあって、上品に仕上げられて芳醇ささえ感じる。アクセントになっているのが揚げ物で、麺とスープの調和を更に高めており喉越しも最高だ。また、食べ応えある豚ロースも弾力性に富んでおり、これだけで十二分に頷ける美味しさ。完成度が高く、世界進出するとしても十分通用する高レベル。これはもう一つの文化だよね。

ホームページ:http://www.hujishiro.jp/
夜総合点★★★☆☆ 3.8 
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2014年4月22日火曜日

FALLiNLOVE2NITE : Prince feat. Zooey Deschanel

殿下ファンにとって驚愕のニュースが飛び込んできました。18年もの長年に渡り決裂状態にあったプリンスとワーナー、遂に再契約となったようです。蜜月期はワーナー取締役でもあった殿下ですが、権利関係によりパートナーシップは破綻。旧作の原盤権はワーナーが保持したままでしたが、今回の契約によって原盤権はプリンスが手に入れた模様。これにより、旧作の殿下主導リマスタリングが進むとのこと。直近では名作「Purple Rain」30周年記念盤が夏にリリースされるそうで、ここ最近の殿下関連で最良のニュースが届けられました。これは本当に嬉しい。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00JBDBIBM/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00JBDBIBM&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


さてこいつは今年3月にリリースされたシングル。恐ろしいほどのペースでシングルを配信しまくっている殿下ですが、これら一連の作品は今年リリース予定の新作にガツッと収録されるのでしょうか。そんなせこいことはしない、気前のいい殿下でいて欲しいと願ってます。

んで、これは Zooey Deschanel をフィーチャーしたシングルですが、そもそも Zooey Deschanel とは誰か?殿下が大ファンであるコメディドラマ「New Girl / ダサかわ女子と三銃士」の主演女優なのです。このドラマが大好き過ぎて、ドラマ側に「俺を出演させろ」と直々に交渉した殿下。ドラマ側の快諾により殿下カメオ出演が実現したのです。これはその時に流された新曲です。

ハウスチューンに胸キュンな美メロが乗っていますが、普通の EDM には終わっていないのが素晴らしい。安っぽいハウスのリフが鳴ったと思いきや、ファンキーなホーンとディスコティークなベースライン、キーボードが炸裂。しかもオートチューンでいじった昨今のボーカルなんか目じゃない、30年前から先を行っている変調ボイス。どうやら殿下が再び時代を引き寄せるタイミングになったようです。

2014年4月20日日曜日

ボニート・ボニート

東急目黒線にある武蔵小山。ここにある二郎インスパイア系の名店「RA-MEN ICHI」を目指していたんですが、定休日でもないのに店が閉まっていた。店の前で呆然と立ち尽くしていると、どこからともなく現われた店員さんが「すいません、まだ社長が来ていないんで」と僕を打ちのめすような言葉を投げつける。起死回生を図るべく、近くにある名店「ボニート・ボニート」に足を運んだ。


ボニートとはイタリア語でカツオの意味。そう、ここは高知から直送される鰹節メインのダシを使った魚介系ラーメンを食わせるお店。化学調味料は一切不使用、動物系ダシを使わず魚介系でダシを構築するチャレンジャーなのだ。


人気No.1となっている正油あらびきラーメン(850円)を注文します。


いかにも濃厚そうな色のスープで満たされたラーメンが着丼。だがしかし鰹出汁醤油スープは思ったよりもまろやかで甘みがあり、フレーク状になっている粗びき鰹節のざらりとした食感が五感を拡張する。ダシの甘みは野菜から出されたものらしく、品質のいい素材を使っているとのこと。えぐみは全くなく、すっきりとした味わいだが、がつんとパンチが効いている。コクとキレと奥深さ。どんなに褒め言葉を総動員しても足りないぐらいに旨い。


ポゼッションした低加水率の中太縮れ麺は甘みがあり、固めに茹でられているので食感や味も申し分ない。厚めに切られた2枚の豚バラチャーシューは、スープに漬け込んでおくとホロホロに柔らかくなり、スープの味と玉石混交となって新次元の高みへと到達。メンマは相当こだわりがあるらしく、これまで食べたメンマの中でも最高部類に入る出来具合だ。「筍は収穫された孟宗竹の穂先で作っており、九州ですくすく育った筍の穂先を新鮮なうちに工場が無添加製造法による1次加工製造をしている。だから鮮度抜群で柔らかく歯応えがいい。」とのことだ。何だかよく分からないが、この能書きを読んだだけでこだわりがびんびんと伝わってくる。当然ながら丼の底を拝むべくスープ完飲。旨い、旨すぎる。完成度が極めて高いラーメンだ。しかも武蔵小山は何の変哲もない住宅街なのに、このような名店が点在しており侮れない。

ホームページ:https://bonito-bonito.stores.jp/#!/ 
夜総合点★★★☆☆ 3.8 
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2014年4月17日木曜日

Live at Wembley Stadium : Foo Fighters



久々にこのライヴDVDを見返したんですが、素直に単純に感動できる熱いライヴであったことを再確認。2008年6月に英ウェンブリースタジアムで2日間に渡って行われた Foo Fighters ギグを収録した映像で、この後に彼らはしばしの活動休止状態に入ります。

ウェンブリーでライヴを行う時点で伝説化を約束されたようなもんですが、やはりこれは伝説と呼ぶに相応しいライヴパフォーマンス。延べ16万人以上もの来場者を記録し、スタジアムが持つ最多動員記録を塗り替えたという事実からも、イギリスでの彼らの人気が窺い知れる。

選曲もベストと呼ぶに相応しく、中盤のアコースティックセットにおける「My Hero」は特に胸に染みる。やがて「Everlong」から「Monkey Wrench」や「All My Life」といったヒット曲中心の終盤になだれ込んでいく様は圧巻。8万6千人もの大観衆が両手を上げて熱狂し、ウェンブリーという特別な場でのみ放たれる強烈なバイブレーションとエネルギーがバンドと共振・共鳴しているのだ。

やがて特別スペシャルゲストとして、まさしくデイヴの My Hero である Jimmy Page と John Paul Jones が登場。デイヴがドラムスティックを握り、Taylor Hawkins がボーカルを務めて Zep の「Rock and Roll」を演奏するという有り得ない瞬間。その後、デイヴがボーカルを担当して「Ramble On」。Zep の二人が去ってバンドが「Best Of You」を演奏した後、デイヴは感極まって男泣き。そんなデイヴの後姿を見て「お前泣いてるのかよ」と驚いた顔をする Taylor Hawkins。まさに絵になるデイヴ。熱いソウルを持ったデイヴ。まじでいい人っぽいデイヴ。超デイヴ、兄貴。

2014年4月14日月曜日

花田 渋谷店


池袋に本店を構え、上野や神田にも店舗進出している味噌ラーメンの有名店「花田」が渋谷にできました。場所は道玄坂の百軒店で、名店「喜楽」(過去の記事)の手前にあります。好立地に店を構えるということは儲かっているということなんでしょうけど、前にも書きましたが僕は味噌ラーメンには懐疑的なのです。味噌の味でスープのダシが分からなくなってしまい、画一的な味になってしまうのがその理由です。ただしここ最近の味噌ラーメンはそんな懸念を払拭するほどニューフェースな味が増えているので、取りあえず足を運ぶことにしました。


カウンターだけの店内は狭いこともあり、券売機は店外にあります。味は大きく分けて「味噌」と「辛味噌」の二つ。そのそれぞれにラーメンとつけめんがあります。しかも野菜大盛り、にんにく増しが無料という二郎システマチックなオプションに惹かれます。取りあえず味噌ラーメンに野菜大盛り、にんにく増しを注文しました。


見た目がいかにも濃厚そうなスープの中に、ネギや豚バラロール、メンマなどの具材が搭載されている味噌ラーメンが着丼。野菜は生野菜ではなく、くたっとした野菜炒めでした。刻みニンニクは小さい別皿にて供されます。


とろみがかった野菜炒めには旨味とコクが凝縮されています。化学の力を借りているんでしょうが、旨いものは旨い。スープはやはり粘度が高くてどろりと濃厚なポタージュ味噌スープ。とはいっても味噌の味が前面に出ているわけではなく、そこはかとなく味噌の香りがする程度で、マイルドささえ感じさせる甘みのある味は中々のもの。けっしてくどくはなく、すいすいイケるこの旨さ。


黄色が見目麗しい極太もっちり麺はスープとの相性が良く、それぞれが甘みと旨味を引き立てあって相乗効果を生み出している。麺の茹で加減も硬めになっており、食べ応えは抜群だ。スープの熱で温められた頃に召し上がったチャーシューも柔らかくて美味しい。ある程度食べ進んだ頃に刻みにんにくを投入すれば、更に旨味が増してくる。濃厚なのにくどくない味噌スープは完飲に値するほどの旨さだ。やはりここ最近の味噌ラーメンを侮ってはいけない。「二代目つじ田 味噌の章」(過去の記事)に次ぐ旨さだと思った。

ホームページ:http://www.eternal-company.com/ 
夜総合点★★★☆☆ 3.7 
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2014年4月11日金曜日

Masterpiece : Created By Carl Craig

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00C1Q38T6/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00C1Q38T6&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


英国 Ministry Of Sound Recordings の人気シリーズである「Masterpiece」に、デトロイト・テクノの重鎮である(陳腐な修飾語だけど、これ以上のものが思いつかない)Carl Craig が登場。といってもリリースは去年の6月なので、例によって遅ればせながらのレビュー也。3CDの大ボリューム作品となっているが、過去のFrancois KAndrew Weatherall のような全編ミックスCDとは違って、ディスクごとに趣向を変えている。Disc-1の「Aspiration」と銘打たれた作品では彼の最近のDJセットを反映させたミックス、Disc-2「Inspiration」では彼に影響を与えた新旧の楽曲、「Meditation」は彼自身によるこのアルバム用の新曲群となっています。

Disc-1「Aspiration」でデトロイトへの深遠な旅を期待すると肩透かしを食らう。最新モードを反映したテクノ及びテックハウスによるミックス中心で、デトロイト・テクノが本質的に孕んでいるエモーショナルな部分が聴けるところは殆ど無い。後半になるとクラシックトラックやオールドハウス・エレクトロによる展開で盛り上げ理を魅せるものの、伝説的なミックスと言えるものではない。逆を言えば非常に安定志向の強い、ベテランならではのミックスと言える。

Disc-2「Inspiration」こそが僕にとって極めて興味深いものとなっていた。ここではクラシックなデトロイト・テクノやダブは勿論のこと、ファンク、ブルース、ヒップホップ、ネオ・ソウル、ボサノヴァなど多岐に渡ったジャンルの楽曲が収録されている(ちょっぴり驚いたところでは David Lynch の作品まで!)。

そしてDisc-3「Meditation」ではその名の通り、アンビエント志向の強い瞑想的な作品が連なっている。Carl Craig は10代の頃から耳鳴りに悩まされているようで、帰宅した後に自分の聴力をテストするために、低いボリュームででクラシック音楽に耳を傾けているそうだ。そしてこれら新トラック群は同様の目的を達成するために設計されたものであり、極めてパーソナル色の強い作品となっている。これからの新機軸を占うための最適素材となることだろう。

Tracklist

【Aspiration】

Kyle Hall & Kero : Zug Island
Macromism : News From Barcelona
Huxley : Little Things
Burnski : Lost In The Zoo (Martinez Brothers' Bronx Zoo Mix)
Loco Dice : Detox
Sam Ball : Handsome
Maan : L1 (ROD Remix)
tINI : My Shine (Carl Craig Remix)
Technasia : Bastille Days
69 : Poi Et Pas (ROD Remix)
Arktist : Rendezvous (SCB 2013 Dub)
Tom Trago : Use Me Again (And Again) (C2 Remix)
Rick Wilhite : Drums Patterns & Memories (Moodymann Remix)
The Egyptian Lover : Egypt Egypt
Ben Sims : Straight From Bolivia
Lance DeSardi : The Power Of Suggestion

【Inspiration】

The Messengers : In The Jungle
The Temptations : Cloud Nine
Muddy Waters : Mannish Boy
Prince Jammy : 256K Ram
African Head Charge : Crocodile Hand Luggage
David Lynch : Noah's Ark
Freeway Feat. Nate Dogg : All My Life
Erykah Badu : Fall In Love (Your Funeral)
Moritz von Oswald : Cocoon Dark Dub
E-Dancer : Feel The Mood
Derrick May : Icon
DeBarge : Stay With Me
Melody Gardot : Mira
Tribe : Livin' In A New Day

【Meditation】

Carl Craig : Meditation 1 (Version)
Carl Craig : Meditation 2 (Version)
Carl Craig : Meditation 3 (Version)
Carl Craig : Meditation 4 (Version)
Carl Craig : Meditation 5 (Version)
Carl Craig : Meditation 6 (Version)

2014年4月8日火曜日

ラーメン246亭


横浜 青葉台にある「ラーメン246亭」に行ってきました。246とは言わずもがな近くを通る国道246号線のことなんだろうけど、それにしては駅から歩くにはやや遠い(徒歩15分)。どうやら店主の息子さんがミニバイクのレースをやっており、そのチーム名に因んでいるそうな。昼時になると地元の人で混雑しているので、この近くに住んでいる未訪問の人は今の内に早く訪ねた方がいい。結論から言うと、かなり美味しい麺を食わせてくれるので、一年後には行列必至となるお店だからだ。ちなみに創業は昭和八十八年、つまり平成二十五年ということだ。


メニューは多岐に渡っており、基本となるのがラーメンとつけ麺で、それぞれの柱が殿(濃厚鶏白湯)、姫(淡麗鶏白湯)、武士(魚介焦し醤油)。他には影武者(魚介醤油鶏白湯)、黒殿(究極鶏白湯)など「どこの戦国時代だ!」と突っ込みたくなるメニューが盛りだくさん。何を注文すればいいのか分からなくなるが、取りあえず基本形となる殿(濃厚鶏白湯)を注文した。なお、懐メロやムード歌謡が流れている店内は昭和30~40年代の雰囲気を再現しており、さながら新横浜ラーメン博物館のミニチュア版といったところだ。戦国時代と昭和時代の関連性は分からない。


濃厚鶏白湯の殿が着丼した。具材に使われているのは、超巨大な炙りチャーシュー、かいわれ大根、青ネギ、メンマ、ナルトにわかめ。店主が25年の歳月をかけて開発したという鶏白湯スープがここの売りらしい。この間ラーメン王 石神秀幸氏が「これからは鶏白湯の時代だ」とテレビで断言していたが、ややもすると鶏白湯バブルを引き起こしかねないあの言葉。鶏白湯の株価を暴落させないよう、慎重を期して味を評価しなければいけないところだ。


尋常ではない縮れ方をする中細麺をリフトアップする。ずりゅっと一口啜り込んで「……旨い」と唸りまくる。まずスープはこれまで食べた鶏白湯の中で最高の部類に入る芳醇さ。豚骨を一切使っていないのにとろりと濃厚で、ポタージュスープのようにクリーミーでリッチな味わい。豚骨を使っていないので、油分も控えめですっきりしている。モチモチして適度な固さの縮れ麺にこのクリーミーポタージュが絡みまくり、最高の喉越しを演出している。この絡みを最適化するには、やはりこの縮れ具合がベストということなんだろう。


いい塩梅に炙られたチャーシューは丼面積の半分はあろうかという大きさ。香ばしくて柔らかく、スープと麺の最高のマリアージュに彩りを添えている。


麺を啜り終えて最高のひとときを楽しんだ後、100円のシメセットが登場した。ライスに炒り卵、鶏そぼろ、フライドオニオンが添えられている。これらを残ったスープに投入して、雑炊のようにしてスープを最後まで味わい尽くす。最高だ、至高だ、究極だ。暖簾に「KING of CHICKEN」と書かれていたのは伊達ではなく、鶏の骨の髄まで研究しつくされた逸品だ。最後にもう一度言おう、この近くに住んでいる未訪問の人は早く訪ねた方がいい。行列必至となる前に。

ホームページ:http://246tei.daa.jp/ 
夜総合点★★★☆☆ 3.9 
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2014年4月5日土曜日

Rewind The Film : Manic Street Preachers

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00DSGT8RE/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00DSGT8RE&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


春です。若い頃は桜になぞ興味なかったんですが、年齢を重ねるにつれてその美しさや無常さに心惹かれます。歳くってくると寒さが身にこたえるので「早く冬が終わってほしい、春になってほしい」という願いが強くなる。そうやって春の訪れとともに咲き乱れる桜を見ると、冬が終わった喜びを噛みしめたくなるんです。桜も寒さを耐え忍んで、わずか2週間ばかり咲き誇り、また散っていく。そういう儚さや枯れの境地が分かるお年頃になったということでしょうか。

で、3年ぶりのマニックス新作(といっても、例によって半年近く前にリリースされている作品)も枯れの境地に達している。「映画を巻き戻して」というタイトル通り、極めて内省的なんだけど決して懐古主義的ではない。「Everything Must Go」(過去レビュー)や「This Is My Truth Tell Me Yours」(過去レビュー)のような仰々しさは全くない。アコースティック志向が強く、ディストーションの音は殆ど聴こえてこない。これまでの作品には見られない、シンプルで静謐で穏やかな音作りがなされているのだ。

どうやら幼少期の思い出や故郷への郷愁を歌い上げた歌詞内容らしく、「(I miss the)Tokyo skyline」といった彼らの第二の故郷だという東京についても歌い上げている。決して派手ではないんだけど、滋味深いメロディが心に染みてくる。気付いたら「As holy as the soil(that buries your skin)」という楽曲に「As beautiful as the spring in Japan(日本の春と同じぐらい美しい)」というフレーズがあった。やはり今の時期に一番染み入る作品なんだろうね。

2014年4月2日水曜日

やらかし亭 (YaRaKaSITEI)


3月の或る週末。埠頭を渡る春風を感じたくて、本牧までふらりとロンリードライブ。車を降りて深呼吸をし、春の到来を全身に感じる。「うーん、何てビューティホーデーなんだ。おや?くんくん。いい香りがするぞ。」と匂いの元を辿って行くと、なんと二郎インスパイア系のお店があった。と、偶然を装いつつ「やらかし亭」へ入店した。


ここがユニークなのはセルフサービスのシステムを取っていることだ。食券をカウンターに渡し、自分で麺を受け取る。しかもトッピングもセルフなので、ヤサイニンニクマシマシし放題なのだ。この日は腹が減っていたこともあって、小ブタ(700円)を注文した。


受け取りカウンターにヤサイががっつりと置かれている。タイミング的に茹で上がりから時間が経っている場合もあるのでシャキシャキ感はないが、港湾労働者の拡張した胃袋を満たすにはこれでいいのだろう。キャベツは申し訳程度に入っており、その殆どがモヤシだった。


自分で野菜を盛ったせいで、美しくない盛り付けになってしまった。やはり盛り付けをいかに美しく魅せるかがプロなんだろうなー、と思いつつスープを啜る。とろみのあるスープは程よく乳化しており、背脂ちゃっちゃ系寸前と言っても良い。生姜が効いており塩分濃度が高くて、ジャンクな味わいを体験するには申し分ない味だ。


二郎系にしては標準的な太さの麺は、デロリ感がある柔らかいもの。お店の中に製麺機があったので自家製なんだろう。スープとの相性も良く、密結合されている感覚を味わえる。当方が頼んだ小ブタにはジャガイモのような肉塊が4個入っていた。よく煮込まれているので脂身部分がデロンと柔らかいが、味的には標準的なものと言えた。兎にも角にも、このセルフシステムはユーザのさじ加減ひとつで凶器にもなりうる。セルフ盛りのボリュームにはくれぐれも用心してほしい。

やらかし亭ラーメン / 山手駅元町・中華街駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7