2014年8月10日日曜日

銀座 篝


銀座のど真ん中といえる銀座4丁目。昼時になると裏手の細い路地に行列ができる。行列の先にあるのは高級日本蕎麦屋と見紛うような外観のラーメン店だ。1年ほど前にオープンしたばかりなのに、食べログランキングでは銀座エリアでぶっちぎりの第1位。この日は所用で銀座に行く機会があったので、開店早々に行列に加わった。すると僕の後ろに並んだ年配の女性二人がガールズトークを繰り広げ始めた。

女性A「ここはいつも行列ができているのよね~」
女性B「気になるから並んでみましょうよ」
女性A「いいわね~。それにしても暑いわね~」
女性B「こんなに暑いのに並ぶなんて、何のお店なのかしら」
女性A「私も分からないわ。(と僕に話しかけて)ねぇねぇ貴方、ここは何のお店なの?」
僕「ラーメン屋です」

何のお店かも分からないのに行列に並ぶ年配女性たち。それほどこのお店は強烈な磁場と魔力を発散しているということだ。待っている間にお店の人が注文を尋ねに来たので、お店の基本メニューである「鶏白湯SOBA 並」(850円)を注文した。店内は非常に狭く、コの字型カウンターに8名しか座れない。


やがて侘び寂びの感じられる小宇宙的な鶏白湯ラーメンが色鮮やかに着丼した。見るからにクリーミーでポタージュ感たっぷりな淡い黄色のスープ。具材には新鮮そうで緑鮮やかなアスパラガスとかいわれ大根、鶏チャーシューが3枚にヤングコーン。薬味として生姜とフライドオニオンが添えられる。鶏チャーシューは弾力性に富み柔らかく、品質の高さが実にうかがい知れる程ふっくらとしているがレア感もある。また、具材のそれぞれも持ち合わせた色を裏切らないフレッシュな味わいで、盛りつけ方にもセンスの良さが感じられる。


鶏白湯ラーメンの戦国時代に突入する乱世において、他店との差別化を図るには並々ならぬ腕と努力が必要のはず。だがしかしこのお店のスープは圧倒的クオリティを誇っており、他店の鶏白湯スープを周回遅れさせるほどの断トツ品質を持っていた。濃厚でクリーミーなのは当たり前だが、絹のように滑らかでマイルドで、鶏の香りと芳醇な旨味が口の中に広がる。どんなに言葉を総動員しても、このシンプルかつ奥深い味わいを表現するのは難しい。そしてスープを絡めとるかのような中太ストレート麺はぷりっぽんっと歯応えとコシがあり、小麦の香りが大地の広さを想起させる。スープと麺の絶妙なハーモニーバランスといい、適度なボリューム感といい、立地といい、上品な味わいといい、年配女性すらも行列に並ばせる魔力が潜んでいることを実感した。

銀座 篝ラーメン / 銀座駅銀座一丁目駅有楽町駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7

0 件のコメント:

コメントを投稿