2014年9月30日火曜日

麺処 ほん田 東京駅一番街店


今やラーメン専門のテーマパークは珍しくないが、東京駅構内の東京ラーメンストリートは巧みなマーケティングに裏打ちされた場所だと言える。日本トップレベルの乗客数を誇る駅というだけでなく、あらゆる新幹線の起点駅であることにより、多くの地方客も集客できるからだ。普段足を運ぶことのできないラーメン店を気軽に訪問できるという点では、地方客のみならず首都圏ユーザにとっても実に魅力的な場所なのだ。そこで今回は東十条に本店を構える「ほん田」に足を運んだ。東十条に行く用事が皆無な僕にはかなり嬉しい。


どうやらラーメンとつけ麺の2つが主軸になっているようだ。しかもラーメンには醤油味と塩味が、つけ麺には醤油味と味噌味が用意されており、しかもラーメンはあっさり味で、つけ麺は濃厚味のようだ。実に複雑なメニューシステムになっており、本店とはメニュー名も若干異なっているようだ。こういう時は人気No.1メニューを頼むに限る。ということで「NEOクラシック特製醤油ラーメン」を頼む。980円也。


やがて実に美しくスタイリッシュな、かつ基本に忠実なベーシックデザインとも言える醤油ラーメンが着丼した。天才と言われる若き店主 本田裕樹 氏が東京ラーメンをリコンストラクション(再構築)したというメニューで、NEOな感覚を散りばめながらクラシックな香りを醸し出す盛り付けに成功している。具材には白髪葱、水菜、海苔、メンマに加えて、中核となるチャーシュー3枚に大人の味玉。チャーシューはロース肉とバラ肉の2種を使ったものが3枚盛り込まれており、スモーキーかつ旨味溢れるジューシーな味わい。大人の味玉はブランデーを使って煮込んでいるそうで、エクストラオールドで芳醇なコクを楽しむことが出来る。


鶏と魚介を使った醤油味スープの表面がシルキーなのは、鶏油を使っているからなのだろう。口に含んだ瞬間に魚介の香りが仄かに立ち、上質な醤油と鶏油のコクが後から口の中を優しくノックする。加水率のしなやか細めストレート麺は上品な小麦の香りで満たされ、上品なスープが纏わりつくことで更なる高みへと到達。完成度が極めて高く、湯河原の名店「飯田商店」(過去レビュー )を彷彿とさせるシンプルでリッチな仕上がりだ。聞けば店主は今年28歳(開業した時は21歳)という若さだが、やはり天才的感覚の持ち主なのだろう。経験と知恵だけではカバー出来ない領域というものがあるが、それは天性の味覚であり五感なのだ。そしてこの店では天才が作り上げた作品を堪能することが出来る。

ホームページ:http://www.honda-japan.jp/
麺処 ほん田 東京駅一番街店ラーメン / 東京駅京橋駅二重橋前駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2014年9月26日金曜日

Futurology : Manic Street Preachers

http://amzn.to/1wPIGQ6


昨年9月の「Rewind The Film」(過去レビュー)から1年も経たないインターバルでリリースされた我等がマニックスの新作。そもそも同時期に作られた楽曲が2種類のベクトルを持っていたようで、内省的かつアコースティックな側面を持っていたのが「Rewind The Film」、その真逆の側面を持っていたのが本作だったようです。

つまりタイトル通りの未来を見据えた志向を持ち、UKのみならず欧州全体をも見渡す外向きの視点を据える。音自体は本来の彼らが持ち合わせているギター主体の大仰でドラマチックな作り。欧州ツアーの最中に聴き込んだというジャーマンプログレッシヴロックの影響下にある、直線的でアヴァンギャルドな音作り。なおかつ元々のパンキッシュなアティチュードも忘れていない。

前作と表裏一体関係にある実験的試みは大いに評価されて然るべき。多くのゲストボーカリストを迎えて、かつインスト2曲が盛り込まれているのも新しい高みへと到達しようとする姿勢に他ならない。惜しむらくはインスト2曲の出来具合がいかにも奇妙なものであること。PW御大が「Sonik Kicks」(過去レビュー)で試みた路線と同じ結果を導いてしまっている。つまりアルバムの中で浮いてしまっていて「けったい」極まりない。このインストが無ければ良かったのになぁ。

2014年9月22日月曜日

六厘舎 大崎店


製造業の街である大崎で働き始めて7年半。これまでで一番長い勤務地なんですが、大崎の代名詞的存在である六厘舎に行ったことがない。思えば7年前、大崎で働き始めた当初に本店へ足を運んだことを思い出す。すさまじい行列が出来ていたので、その時は訪問を諦めたのだった。その後、あまりにも行列がすごいので近所への配慮により自主的に閉店~週末限定営業となったが長蛇の列は相変わらず。やがて東京駅ラーメンストリート等へ出店を果たし、2014年4月に大崎駅西口に出来たウィズシティにも新店舗を構えることになったのだ。約束の地 大崎へ再び帰ってきた六厘舎。今でこそ並ばずに入れるということで、ようやく訪問を果たした。


入店を待っている間、メニューを手渡される。あえて付け加えるまでもないのだが、改めて説明しよう。六厘舎とはつけ麺専門店であり、オールドスクールなつけ麺大王とは明らかに一線を画す、濃厚ドロリッチなスープと極太麺によって現在のつけ麺の潮流を作ったお店である。今回は人気No.1メニューである味玉つけめんを頼むことにした。


王道スタイルのつけ汁が着丼。豚骨中心の動物系と魚介系のダシを主軸に据えたどろり濃厚ダブルスープ。全てはここから始まった。今やつけ麺スープといえばこれ、というほどスタンダードなもので、つけ麺界を席巻し尽くしたからこそ今や驚きは感じない。この中には柔らかくて食べ応えのあるチャーシューとメンマが潜んでいる。


そしてこいつも今やスタンダードとなった極太がちむちストレート麺。口に含めば感じるツルッとした表面、噛みしめれば分かるがちっとした茹で加減、食べると分かるムチムチな感触、飲み込む時にはスルスルといける喉越しはやはりスタンダードといえる。黄身がゼラチン状になった味玉も完成度が高い。


まとわりつく濃厚スープと一緒にぷりっぷりな極太麺をずりゅっと頂く。酸味控え目で甘みとコクが有り、ドロリとした荒々しい濃厚さは他店の追随を振り切ってはいる。なるほど確かに旨いんだけど、やはりどうしても既視感を覚えてしまう。つまりは六厘舎の味を真似たフォロワーが雨後の筍のように出てきたあまり、差別化が難しくなっているように思えるのだ。つけ麺業界自体が飽和状態になっているので、何がオリジナルで何がチャレンジャーなのか分からなくなってきている昨今。これからが覇者の腕の見せどころといえるのだろう。

ホームページ:http://rokurinsha.com/
六厘舎 大崎店つけ麺 / 大崎駅大崎広小路駅下神明駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2014年9月18日木曜日

Ex : Plastikman

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ミニマルテクノの頂点に君臨し続ける男 Richie Hawtin の別名義 Plastikman。その新作が前作「Closer」(過去レビュー)以来なんと11年ぶりにリリースされました。これは2013年11月にNYのグッゲンハイム美術館で行われたクリスチャンディオールのイベント用に制作された音源であり、かつ現場でライヴ収録されたもの。過去の作風を見事に踏襲しながら、未来志向の作風へと進化を遂げています。

Richie Hawtin と言えばディープかつヒプノティックな現代ミニマルテクノを作り続けるだけでなく、卓越したDJスキルによってミニマルテクノの在り方さえ変えてしまった男。つまり「Decks, EFX & 909」(過去レビュー)や「DE9: Closer to the Edit」(過去レビュー)といったDJミックスの名作を経て、遂に到達した「De9: Transitions」(過去レビュー)であらゆる音源を素材レベルまで解体~再構築することでミニマルを再定義した男。そこで得た手法や方法論を遺憾なく発揮し、ダークサイドの反復性における快楽を追求し続けています。

テクノロジーの進化によって、ソフトウェアがTR-909やTB-303といった専用ハードウェアよりも本物らしいと言われるようになり久しいんですが、本作でもソフトウェアテクノロジーの可能性が最大限まで引き出されているようです。アシッド音はこれまで聴いたことがないぐらいにブリーピーに鳴り響き、ベースラインは重たく可変的に地を這っています。気がつくと延々と猿のようにリピートしている自分がいるほどの劇薬です。

2014年9月14日日曜日

らーめん影武者



徳川家康の影武者を務めたと言われる「世良田二郎三郎元信」という野武士がかつて存在した。この野武士が住民の用心棒として雇われていた…かどうかは不明だが、江戸城の外濠である神田界隈においてその名残が残っている。一つは二郎本流の人気店「ラーメン二郎 神田神保町店」(過去の記事 )であり、「世良田二郎三郎元信」と何らかの関連性があると筆者は推測している。その向かいに構えるは「用心棒」(過去の記事 )という店だが、秋葉原には「影武者」という二郎インスパイア系が存在する。「二郎」と「用心棒」と「影武者」の3点を繋げる大きな謎。このトライアングルは戦国武将時代の何らかの名残なのではないか…おそらく何の関連性もないだろう。


そんな戦国ロマンを求めて、このくそ暑いさなかに「影武者」を訪問した。正午前の入店ということもありすんなりと着席できたが、その後あれよあれよというまに店内は混雑。この辺りの唯一の二郎インスパイア系ということもあり、店内は秋葉原のギーク達で満席となった。そんな野武士のような野郎どもに紛れ、壁に向かい合わせのカウンターで「らーめん(麺量250g)」を喰らう。無料トッピングはヤサイアブラだ。ごろんと一塊ぶち込まれているブタは大振りで、ホロリと柔らかく煮込まれており、じんわりと味と旨味が染みている。ヤサイはほぼモヤシという潔さで、クタ気味に茹でられている。


スープは他店と比較してスーパーライトでドライな味わいだ。二郎系特有の甘辛さはあるものの、うすくちに仕上げられている。適度なとろみと背脂の量によりコクがキープされているが、ノックアウト感がやや乏しいように思えた。麺は標準よりも太い極太麺で、固めに茹でられたゴムゴムした食感。ボリュームも標準となっており、二郎本流を凌駕するものとはなっていなかったのが残念だ。全体的にあっさりしたものとなっており、野武士のような荒々しさは感じられなかった。二郎系の戦国時代とも言える乱世において、やはり影武者は天下を取ることはできないのか?今後に期待したところだ。

らーめん影武者ラーメン / 末広町駅御茶ノ水駅秋葉原駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2014年9月10日水曜日

Cebu , Philippines (Day 4-5)

セブシティこそセブ州の州都であり経済の中心地。セブ本島に位置し、僕が滞在したマクタン島から車で40分ほどの距離があります。タクシーで移動すると700ペソ(約2,000円)ほど掛かるそうですが、幸いな事にホテルからセブシティのショッピングモール「SM City Cebu 」まで無料送迎バスが出ている。そこからタクシーに乗って5分ほどの場所にあるサンペドロ要塞まで移動。






500年ほど前の1565年に建造が始まり、完成までに200年もかかったフィリピン最古で最小の要塞。朽ちた風合いがなかなか良い。


取り敢えず大砲にまたがってドーン !!!!



サンペドロ要塞から徒歩5分ほどの場所にあるセブ大聖堂。この界隈は教会の救済を求める路上生活者が多い。正直言って雰囲気も街並みも良くないので、観光地としてお奨めできる場所ではない。


すぐ近くにあるフィリピン最古の教会「サント・ニーニョ教会」。スペインの初代総督レガスピによって建てられ、建設時期はサンペドロ要塞と同時期。



サント・ニーニョ教会の隣にあるマゼラン・クロス。その名の通り、探検家マゼランがセブ上陸後に建てた十字架。歴史的建造物はこれぐらいなので、そそくさとタクシーに乗って先ほどのショッピングモールまで戻る。フードコートでフィリピンのローカル料理を喰らった後、シャトルバスでホテルまで無事に帰還。


最後の晩餐をサンミゲルで祝う。


やや酸っぱいオレンジソースがかけられたマンゴーのサラダを前菜に。


蛤、鮭、豚肉、ムール貝、蟹、海老のグリル料理を堪能。安定感のある美味しさ。


イカリングはほくほくと揚げられて柔らかい。


海老と蟹のすり身を春巻で揚げた料理。外側はカリカリ、中身はとても柔らかい。ローカルフードは総じて品質が高くて上品な味わいだ。


そして翌日、13:00発のPR436でセブを発つ。今回の旅行で意外に感じたのが、公共機関におけるトイレの清潔さ。常に清掃されているので、用を足すにしても気分がいい。最後に注意事項。フィリピンから出国する時、空港税なるものを支払わなければならない。一人550ペソでクレジットカード不可だった(少なくともマクタン空港では)。つまり現金550ペソ/人を残しておかなければならないのでご注意を。

2014年9月8日月曜日

Cebu , Philippines (Day 3)

この日は日本で予め申し込んでおいたオプションツアーに出かけます。これに参加しなかったらセブに来なかったようなもの、というレベルの「アイランドピクニック」で、どこに申し込んでも大体8,000円ぐらい。9:00にホテルに迎えに来てくれて、車で10分ほどの距離にある小さい港へ移動。そこから船に乗って海洋保護区でシュノーケリングを楽しんだり、離島でのんびり過ごすというツアーです。


ロビーでガイドさんを待っている間、取りあえずサンミゲルで景気づけ。南国の朝に飲むビールは最高に旨い。


迎えに来たのはワゴンを改造したジプニーという乗り物。こいつがセブ島で幅を利かせている交通機関で、庶民向け乗り合いタクシーのようなもの。非常に乗り心地が悪く、ローカル感覚満載な乗り物です。色テイストもアジアンな感じで申し分なし。

 

ご覧のようなバンカーボートに30分ほど乗って、マクタン島沖合にあるナルサン島周辺の海洋保護区まで連れてってもらいます。




上にある海の写真3枚のうち、一番最初は一眼レフで撮ったもの。2番目はiPhone、3番目はiPhoneのズーム。一眼レフはキメが細かいが色みが悪い。iPhoneはソフトウェア処理のせいか色み鮮やかだけど、ズームが弱い。カメラ性能が大幅に向上されるであろうiPhone 6であれば、更に鮮やかに撮れるでしょう。それにソニーの外付けレンズスタイルカメラを併用すれば鬼に金棒だろうね。


45分のシュノーケリングを楽しんでから、ナルサン島という小島に到着。この島がなかなか美しく、これこそザ・セブ島とも言うべき存在。島から長く突き出している桟橋突端にある船着場に到着。


桟橋をずーっと歩いて振り返れば、遥か後方に船着場が見える。


船着場と島の中間点でパノラマ写真を撮る。



浅瀬の透明度が本当に素晴らしく、青いヒトデやらウニやらが棲んでいた。ヒトデを英語でスターフィッシュと言うんだが、その由来に思わず納得。なかなかきれいな海なんですが、世界最高レベルの透明度と言われる沖縄 宮古島周辺の方がずーっと綺麗なんだろうな。


島に到着してから裏手の方に足を運ぶ。引き潮なので、白くて遠浅の白浜が遠くまで広がっている。ここがセブリゾートの中でも一番の見所といえるビーチ。セブ島で画像検索するとわんさか出てくる白浜です。




で、恒例のサンミゲルをランチ前にかっ食らう。


ビーチから島を振り返る、の図。本当にこじんまりした島です。



お昼ご飯に出てきたバーベーキュー料理とフルーツ。カニ、海老、イカ、ブリ(みたいな魚)、豚肉、鶏ももが旨い味付けで焼かれている。この味は何なんだろう?と思ったけど、スナック菓子のように旨みあるジャンキーな味わい。ローカルな化学調味料と思われる。マンゴーはこの季節は甘くないらしく、やや酸味がかっていました。木陰の下で美味しい料理とビールを堪能してから、ホテルに帰着したのが15:00頃というスケジュールでした。