2014年12月13日土曜日

甲子家


この間、東京こそが世界屈指のラーメンシティであると書きました が、もっと言えば世界屈指の家系ラーメンシティこそ横浜、というのは揺るぎない事実。家系こそ「吉村家」(過去の記事 )を総本山に頂き、主流・亜流に細分化されている壮大なるサーガであることは間違いありませんが、「吉村家」と決別した「本牧家」の流れを汲む「寿々喜家」(過去の記事 )も一大勢力となっています。その「寿々喜家」で修業を積んだ店主がいるのが、今回訪問した「甲子家」です。最寄りの駅から徒歩圏外ですが、車で訪問する地元客でいつも賑わっています。家系カラーの赤とは真逆の青を看板に使っているのもなかなか斬新です。


入店すると同時に、愛想のいい店主が「いらっしゃい!」と声を掛けてくれて好感度大。メニューに目をやれば、家系ラーメンの心の拠り所といえる「酒井製麺」の文字が。ラーメン中盛を麺硬めでお願いしますが、「細麺」という文字も気になるところ。家系と言えば中太以上の太めストレートが主流ですが、このような細麺を提供しているところは初めて見た。これは是非次回にチャレンジしてみたいと思います。ちなみに支払は前金という変わったシステムになっています。


通常の家系よりも色が濃いスープを湛えた一杯が着丼。上澄みに張られた油膜が厚く、見るからにスープに込められた熱を封じ込めているのが分かる。ちょいと熱々スープを啜ってみれば、ラードと鶏油の動物的な味わいが感じられ、更にスープを啜れば豚骨醤油よりも醤油寄りのすっきり~あっさりした味わい。角が取れて丸みがある優しい口当たりは、濃厚さを是とする家系原理主義者からは異論が出てくるでしょうが、豚骨醤油と醤油の中間に位置する「醤油豚骨醤油」と考えれば新発明と言える領域です。具材は基本に忠実な豚ロースチャーシュー、ほうれん草に海苔。チャーシューはしっかりした食べ応えながらも、ほろりと柔らかくて優しい気分になれる。


緩やかウェーブな中太ストレート麺は短く切られており、家系としてのDNAも十分感じられる。もっちりした食べ応えの中に、上品な小麦の香りが吹き抜けていく。さらりとしながら奥深さのあるスープと互いに補完し合って、麺を食べ終わった後もスープを啜り続け、いつの間にか汁完してしまった。個人的には銘店の域に達していると思いました。スーパーローカルながら、近所に住んでいる人は勿論のこと、多くの人に食べてもらいたい味です。

甲子家ラーメン / すずかけ台駅つくし野駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

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