2015年4月13日月曜日

Nobody Knows : Joris Voorn



若くして第一線のテクノDJ/アーティストとなった Joris Voorn もデビューしてから13年ものキャリアを誇るので、移り変わりの早いこの分野においてはベテランと呼んでもいい。そんな彼が「From A Deep Place」(過去レビュー)以来7年ぶりのアルバムをリリースしたんですが、彼が持っている作家性が如実に表れた作品になっていました。まずはアートワークが非常に素晴らしく、攻撃性のあるフロア向けトラックとは異なり、彼は根っからのロマンティストなんだろうなぁと思ってしまう。


前作から7年もブランクがあったので忘れてしまっていたけど、彼が本作で表現したいことは明らかにフロアチューンと違っている。なので、僕が当初持っていた期待とかなり違い、軽い肩透かしを食らってしまったのも事実。ダンスフロアで機能するトラックはここには殆どなく、リスニング/アンビエント志向の強い電子の音が溢れていた。しかもゲストボーカルもフィーチャーされて、泣きの入ったメランコリックな音が大全開。これはもう確信犯というか、「アルバムでやりたいのはこういうことなんだよ!」と言っているとしか思えん。

彼が紡ぎだす音は至る所から情感があふれ出ており、甘くて切ないノスタルジアに満たされている。電子音は無機質なところが全くなく、生きているかのように艶やかで、彼ならではのエモーショナルな音使いが成されている。彼がやりたかったこのような壮大でチルな作品は、多くの人に理解されにくいと分かっていたんじゃないか?だからこそ「誰も分からん」というタイトルをつけたとしか思えん。

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