2015年5月31日日曜日

Baltimore : Prince(feat. Eryn Allen Kane)




今年4月、米国ボルティモアで黒人男性が警官に身柄を拘束された後、脊椎損傷で死亡するという事件がありました。これを受けて地元で暴動が発生したことがメディアを賑わせています。この他にも丸腰の黒人青年が警官に射殺される事件など、単純に人種差別という理由だけでは片づけられない事件が頻発。僕の古い記憶を辿れば92年ロス暴動に行きつきます。あれから、僕ら日本人から窺い知ることのできない根深い問題は解決していないということなのでしょう。


この暴動の後にプリンスが当ボルティモアで「Rally 4 Peace」というライヴを敢行し(アクション速いな!)、死者を悼むとともに平和を願って新曲「Baltimore」を公開しました。そして 5/28 には iTunes からマスタリング最適化され、オーケストレーションもフィーチャーされた正式音源がされました。フィーチャーされているのは Eryn Allen Kane という新人で、新しい才能への目配せも怠っていません。過去に犠牲となった Michael Brown や Freddie Gray の名前が出てくるプロテストソングの体ながら、からりと明るいソウルチューンになっているのが素晴らしい。「泣き叫んだり 人が死んだりなんて うんざりだ 銃を捨てちまおう」という歌詞とは裏腹に、バンドアンサンブルやコーラスワークが美しい楽曲に仕上がっています。


2015年5月28日木曜日

ラーメン二郎 新小金井街道店


全店制覇に向けて二郎巡礼の旅を続けていますが、車で1時間以上の遠方になるとチト辛くなってきた。特に東京北西部や東部は何かのついでがないと行かない場所。この先、東北や札幌を攻略するにはどうすればいいんだろう?と思いながら、新小金井街道店を訪問する機会に恵まれました。ちなみに訪問したのは今から3か月前なので、お店の前にいる女性はダウン姿。ネタをそこまで温めてどうすんの?とか言わないで。俺も記事を書くのが大変なんだよ!





店外待ちは0人でしたが、店内には背後霊として数人が待っていた。小ラーメン(730円)の食券を握りしめ、店内を観察すると親子連れがおり、お店のお兄さんたちも割と愛想が良くて和やかムード。独特の緊張感は殆ど感じられない。店によっては、客と店主の真剣勝負みたいなところもあるので、ゆっくりと味を確認できない場合もあるよね。ちなみに、奥の方にはテーブル席があったりと、他店にはない作りになっていた(ここの店主の父親が店主である八王子野猿街道店2(過去の記事)には設置されている)。




着席してしばらくすると、無料トッピングを尋ねられたので「ニンニクヤサイアブラ」と声が裏返りながらコール。トッピングコールにはいつまで経っても慣れないので、緊張のあまり声が裏返ったり通らなかったりということがしばしば。和やかな新小金井街道店でもこの調子なんだから、他の店ではどんだけ緊張しているんだよ!とか突っ込まないで。俺も真剣に二郎を食っているんだよ!これだけモンスター級の一杯を目の前に差しだされたら、緊張しない訳にはいかないだろう!怪物のようにマウントされた野菜の上には、デロデロに溶解したコーラゲン質たっぷりのアブラ、麓には微粒子レベルまで粉砕されたニンニクだ!



芳醇に微乳化し、エフゼットの化学パワーを兼ね備えたスープを啜った瞬間、戦いのゴングが打ち鳴らされた。ややとろみがあり、コクとキレがあるプースーは最高の出来具合。ニンニクとアブラを溶かし込んで、ヤサイにふりかけ頬張れば抜群の栄養素が摂取できる。キャベツ比率とシャキ度の高いヤサイは育ち盛りの子供たちには最適な食べ物なので家族連れも多いのだろう。ヤサイが減ってきたところで天地返しをすると、肉塊としか思えない巨大ブタが3片ほど顔を出した。パンチがありながらホロリと煮崩れする味沁みブタは、タンパク質がたっぷりでチビッ子にも大人気だ。表面がデロリとしながら噛みしめればムチムチしてるオーション麺は、お腹がペコペコな子供たちには重要な炭水化物。これ以上に栄養満点な食べ物は地球上のどこを探しても見つからない。全てにおいてハイクオリティな一杯を唸りながら堪能し、全国に散らばったパズルの1ピースを拾い集めることに成功した。量・質ともに極めてハイレベルな新小金井街道店よ、素敵な一杯をどうも有り難う。


住所:東京都小金井市貫井北町3-5-7

ラーメン二郎 新小金井街道店ラーメン / 武蔵小金井駅国分寺駅一橋学園駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年5月25日月曜日

Songs from the Falling : Tracey Thorn



UK女性ボーカリストの至宝 Tracey Thorn が久々に新作をリリースしました。映画「the Falling」というUK映画のサントラとして位置づけられており、EP仕様なので収録時間は16分ぐらいと短い。ちなみに映画「the Falling」は日本未公開なので内容は不明ですが、Carol Morley という女流映画監督作品のようで、こちらも気になるところ。

本作はピアノ、アコースティックギター、ベースやドラムなどの生楽器を Tracey が一人でこなし多才ぶりを発揮。アコースティック楽器とこの上ない相性がある、深みのあるボーカルを披露しています。相変わらずの透明度を誇り、更に優しく深いボーカルは至宝という言葉すら陳腐に思えるほど。惜しむらくは収録時間が短いので、もっとこの声に耳を傾けていたいと思ってしまいます。

2015年5月22日金曜日

らあめん渋英


ここ最近はもっぱら二郎系を食することが多く、ノーマルな豚骨ラーメンから足が遠のいています。これでは健康によろしくないと思い(笑)、渋谷界隈で高ランキングに位置する豚骨ラーメン店に足を運びました。場所は井の頭線渋谷駅から程近いラーメン激戦区。本店は経堂にある「らあめん英」で「渋谷三丁目らあめん」も同系列、東京とんこつなる味を提供しているらしい。何だ?東京とんこつって?何とな〜く味がわかったような気がするが。




ご覧の通り、実に様々なメニューやトッピングを揃えている。本場長浜ではこんなにトッピングは提供されていないはずなので、まさに東京仕様。お店のフラッグシップメニューである渋英らあめんは1,050円というハイエンド価格。さすがにここまで払う気も起きないので、通常のらあめん(700円)をバリカタでお願いした。




チャーシューにはガシッとした豚ロースが2枚、そして九条ネギとコリッとしたメンマがトッピング搭載されている。スープを啜ってみれば予想的中、実にマイルドで喉越しの良い、本場長浜ラーメンが兼ね備えている豚骨臭が全くしない上品な味になっていた。あの臭みこそ豚骨ラーメンのアイデンティティとも言えるのだが、やはり関東人には苦手な匂いなのだろう。とろみがありながらライトな味わいは万人受けしそうな勢いだ。




極細ストレート麺をリフトアップ。バリカタ指定のおかげで噛み応えあって、噛めば噛むほど小麦の香りがお口の中に立ち込める。普通に美味しくて、安心して食べれるクオリティだ。




替え玉を頼む際、普通のものか極細平打麺かを聞かれる。これまで様々なラーメンを食べてきたが、極細平打麺の長浜ラーメンなんて初めてだ。興味を持って注文したところ、確かにエッヂが立ったスクエア型ストレート麺だった。これが何を意味するのか分からないが、少なくとも味に大きな変化はなかった。取りあえず汁を全て飲み干して完食したが、新たな驚きというものはなかった。標準以上の安定クオリティなのは確かだが、上手くまとめすぎている気がする。もっと博多の風を東京に吹かせていいんじゃないかと思った。


住所:東京都渋谷区道玄坂2-4-5

らあめん渋英ラーメン / 渋谷駅神泉駅
夜総合点★★★☆☆ 3.0
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2015年5月19日火曜日

History Of The Future Part 2 : The Orb


History Of The Future Part 2 : The Orb


The Orb のアンソロジー「History Of The Future」(過去レビュー)の第二弾として2015年2月にリリースされた本作。前作と同様、3CD+1DVDという大ボリュームでリスナーを圧倒し続けます。新世紀に入ってからメジャーレーベル Island を離脱し、Kompakt や Cooking Vinyl など様々なインディーズレーベルから作品をリリースしてきた彼ら。本作も Malicious Damage からのリリースです。

本作を聴いて興味深く感じたのが、インディーズからの作品の方が美しい歌心に溢れているという事実。また、活動初期が前衛的なスペースダブ中心だったのに 対し、21世紀ではリアルなダブやヒップホップにも触手を伸ばし、David Gilmour や Lee 'Scratch' Perry といった彼らのヒーローとも客演しています。もちろん、本来の彼らが持ち合わせているウルトラワールド指向は失われていませんが、インディーズに活動の場を移したことで、より柔軟に活動領域を広げています。更には Transit Kings や Screen 等の別名義でも活動し、既存の枠にも捉われていません。700年後の宇宙旅行をモチーフとしているという Kompakt からの新作を括目して待とう。

2015年5月16日土曜日

ラーメン二郎 亀戸店



「ラーメン二郎 JR西口蒲田店」(過去の記事)の不甲斐なさに衝撃を受けた次の日、仕事で亀戸方面まで行く僥倖に恵まれた。これまで亀戸なんて行ったこと無かったんだが、これは何かの啓示なのか?二郎 亀戸店に行け、という天からの指示なのか?午前の仕事を終え、お店に到着すると店外には待ちなし、店内には数人の背後霊のみ。二郎の神がいるとするならば、前日のリベンジを果たしなさい、と言っているようなものだ。ラーメン小をニンニクヤサイアブラで注文することにした。仕事中であろうともニンニクを喰らうのが生粋のジロリアンたるもの(はっ!俺ってジロリアンだったっけ?)。共に訪問した20代後半の後輩はトッピング無しで注文していた。




身体中から男気を発散させる巨体店主から渡された一杯。スープはそれほど乳化していないが、ところどころに浮かぶ背脂が期待を煽る。やや甘いスープはエフゼットの切れがあってライトな味わいだ。ニンニクを溶かしこみコクを引き出したところで、頂上にあるぷるぷるアブラの上からスープを注ぐ。じんわりと雪が溶けていくようにアブラが流れ、野菜の山をエフゼットスープとアブラで覆い尽くす。キャベツ比率が高いヤサイをおもむろに頬張り、少し残ったシャキ感と瑞々しさを堪能する。スープとアブラとヤサイのハーモニーを楽しみ、お次はブタに取り掛かる。標準よりもやや少なめだが、味が染みて柔らかいブタはウマウマだ。



天地返しをすると、緩くウェーヴがかったぴろぴろな極太平打ち麺がご降臨。デロ加減もボリュームも申し分なく、ライトスープとの相性も絶妙だ。巨体店主からは想像できない繊細さも感じることができ、上品な二郎として非常によくまとまっている。それでもそこはやはり二郎、食べ進むにつれ胃袋が膨張していき、額には汗が浮かび、顔には苦悶の表情が浮かんでいるのが分かる。見事に食べきり、前日の雪辱を果たした思いがした。ちなみに20代後半の連れは見事に残していた。まったく最近の若い者は…。


住所:東京都江東区亀戸4-35-17

ラーメン二郎 亀戸店ラーメン / 亀戸駅亀戸水神駅東あずま駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2015年5月13日水曜日

History of the Future : The Orb



今夏に新作をリリースするということで、やにわに盛り上がりつつある The Orb 界隈。2013年以来2年ぶりの新作になりますが、同年に25周年記念のアンソロジーボックスセットがリリースされていたのをすっかり失念してた。我が家にはこういったボックスセットがごろんごろんしているので、家人からお小言を頂くことがしょっちゅう。ボックスセットは所有することに意義があるんだがな。いやいや、本作は内容的にも素晴らしいので、しっかり聴くに値する代物です。


デビューから「Cydonia」(過去レビュー)時代までの10年間を俯瞰する内容で圧巻の4枚組。Disc-1はシングル集、Disc-2はリミックス集、Disc-3はライヴ音源、そしてPV集というてんこ盛り。世界観がアルバム毎に微妙に異なっているので、このアンソロジーが The Orb の世界を語り尽くしている訳ではない。それでもデビュー以来から The Orb が指向している世界が全くぶれていないことを再確認するに最適な教材になっています。


その世界とは宇宙や時間といった全ての次元を覆うウルトラワールド。ダブやアンビエントを始めとする様々なエレメントで、唯一無二のエレクトリックミュージックの旅を繰り広げています。特筆すべきはDisc-3のライヴ音源で、緻密に練られたスタジオワークとは異なり、自由度の高いハイパー空間を構築しています。 The Orb 初心者は勿論、ボックス収集癖のあるマニアも是非。


2015年5月10日日曜日

ラーメン二郎 JR西口蒲田店



昨年2014年11月、JR蒲田駅から程近い場所にラーメン二郎の新店舗がオープンするということで、筋金入りのジロリアン達は色めき立った。さすればオープン直後から連日行列の大盛況。だが、今ではオープン直前に訪問すればご覧の通りの閑散ぶりだ。結論から言おう、期待に胸を膨らませ胃袋を空かせてきたジロリアン達の期待を見事に裏切った残念二郎とはこの店だ。JR西口蒲田店はかつての鶴見店(過去の記事)の店主が新天地を求めて移転してきたお店。過去の記事を読んでもらえば分かる通り、鶴見店に対しては辛辣な評価を下している筆者。食べる前からどんな味かは想像ついていたが、取りあえず一縷の望みを胸に秘めて訪問した。それにしても「JR西口蒲田店」とはどういう意味なんだろう?正しい日本語を求めれば「JR蒲田駅西口店」となるはずなんだが。そのアバウトさが二郎の魅力であるのは言うまでもない。




ラーメン小をヤサイニンニクアブラで注文。鶴見店ローカルルールであった無料トッピングのトウガラシも継承されていたのでお願いした。うーん、他店のデフォと同じ量とも言えるヤサイの少なさよ。これだったらヤサイマシマシにすれば良かった、とがっくり肩を落とす。キャベツは殆ど見当たらず、ほぼモヤシとなっているのも中々泣ける。さらりと茹で上げられたことによるしゃきしゃき感が唯一の救いか。モヤシだけでは味の奥行きが無いので、ニンニクを溶かしたスープをちょろりと掛ける。ニンニクと唐辛子のスパイスがかろうじてスープをコク旨にするが、乳化しておらずエフゼット感覚が希薄なスープ単体では平べったくて薄っぺらい味わいだ。二郎インスパイア系の名店に周回でぶっちぎられている、相変わらずの残念さを再確認した。



それなりに柔らかいものの、薄くて少ないブタ2枚を発掘。このブタの量であれば、チャーシュー8枚を搭載している小ダブルでも良かっただろう。麺は標準より細めで、デロリンチョに茹でられたヤワヤワ麺。やはりスープに潜んでいるべき魔力は全く感じられず、当然ながら麺とスープのハーモニーも望めない。ボリューム的にも満足できるものではなく、ニンニクと唐辛子がなかったらどれほど貧弱になってしまうんだろう…と不安になってしまう。ここで敢えて二郎原理主義者の方に改めて問いたい。二郎本流でなければいけない理由とはなんなのか?下手な本流よりも上手なインスパイア系はいくらでも存在する。そんな物悲しさを感じさせるJR西口蒲田店であった。


住所:東京都大田区西蒲田7-6-9

ラーメン二郎 JR西口蒲田店ラーメン / 蒲田駅蓮沼駅京急蒲田駅
夜総合点★★★☆☆ 3.0
昼総合点★★★☆☆ 3.0

2015年5月7日木曜日

First You Gotta Shake the Gate : Funkadelic


First You Gotta Shake the Gate : Funkadelic

70年代以降の黒人音楽の意識集合体であり、今なお現代の黒人音楽に多大なる影響を及ぼし続けているPファンク。中核をなすのが Parliament と Funkadelic であり、今では両者が融合し P Funk All Stars となったり、総帥である George Clinton のプロジェクトとなったり、と彼らの音楽性さながらに混沌とした状況になっている。そんな中、黒人音楽にヘヴィなギターとサイケデリック要素を注入し続けた Funkadelic が何と33年ぶりに新作リリース。しかも33曲入り3枚組という大ボリューム(この冗舌さこそPファンク)。81年以降には「Parliament-Funkadelic/P-Funk All Stars」名義の作品や蔵出し作品がリリースされているものの、純粋に Funkadelic 名義でリリースされたことはファンク界での大きなニュースだ。

クレジットに名を連ねているのは Michael Hampton、Bernie Worrell、Fred Wesley、Maceo Parker、William "Bootsy" Collins といったファンク界のレジェンド、更には Sly Stone までも召喚し、孫のTracey Lewis を含めた新世代、果ては故人となっている Garry "Starchild" Shider、Eddie Hazel まで。過去から現代を経て未来まで累々と流れるアフロフューチャーリズムが壮大な一大絵巻として描かれている。過去音源の引用や現代のヒップホップやエレクトロファンクのマナーを貪欲に吸収し、全てのファンクをPの色に染め上げていく姿は圧巻。

ここに来て Funkadelic の名義を使う必然性は感じられないが、73歳になった御大 George Clinton が自叙伝を出したことから察するに、これまでの財産を総括し、次世代にPのDNAを受け継がせようとする姿勢の表れなんだろう。もはや黒人音楽のカテゴリーとしてではなく、観念や思想として捉えるべきものがPファンクなのだ、と思い知らされる濃厚なストロングファンク作品だ。

2015年5月4日月曜日

もみじ屋


学生街を歩けば二郎系に出くわすのは定説になっているが、先日の大岡山にひき続いて明大前を攻略することにした。ここは二郎 新代田店(過去の記事)からも近いので、本家から「ちーん」とやられてしまったジロリアンのセーフティネットとして機能していると聞く。細い路地を入って行くと、二郎系にありがちなB級感覚溢れる店構えとは異なる、そば屋の居抜き物件らしき店を探し当てた。





入店すると若い野郎どもが、全身から獰猛なオーラを発してもくもくとラーメンを食べていた。どうやらここの店主は二郎インスパイア系の名店「富士丸」(筆者は未訪問)出身らしい。ラーメン(300g 750円)をニンニクヤサイアブラでお願いした。ここのアブラは別皿で供されるらしいので、アブラマニアの僕としては胸が高鳴るところだ。




クタ目に茹でられたヤサイがこんもりと搭載されて着どーん。見た感じからクタクタな茹で上げられっぷりなんだが、このクタい感じがたまらないというマニアが居ることも事実。ややとろみがある、少し乳化したスープをヤサイにふりかけてカサを減らす作業に従事。あれ?味が伝わってこないぞ。そう言えばアブラはどこだ?どうやら忘れ去られていたようだ。ここで文句言って追加を頼むのもありだが、筆者は小心者なので止めておいた。ニンニクを混ぜあわせコクを演出しつつ食べ進む。それにしても味が中々伝わってこない。



デロい小ぶりなブタを発見。クオリティが高いと聞いていたブタは噂に違わずじんわり柔らかくて旨い。本当はブタラーメンにしたかったんだが、売り切れていたところを見るとやはり人気なんだろう。中太でウェーブのある麺もデロく、ボリューム的にも申し分ない。スープ、ブタ、ヤサイ、麺の全てがデロくて「もみじ屋のラーメンは飲み物です」と言いたいほど喉越しがいい。ただ、いくら食べ進んでも全体の味が伝わってこないのは、スープのカエシが弱いせいだろう。豚骨ダシの旨味は充分伝わってくるんだが、化学調味料が持つ破壊力と甘さが控え目だ。これは下ぶれなのだろうか?機会があれば再訪して確認したいところだ。


住所:東京都杉並区和泉2-9-21

もみじ屋ラーメン / 明大前駅代田橋駅永福町駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2015年5月1日金曜日

Modern Nature : The Charlatans



マンチェスター・ムーヴメントから四半世紀が経とうとしているのに、いまだ現役の第一線にいる稀有なバンド The Charlatans。前作「Who We Touch」(過去レビュー)から4年以上という比較的ロングスパンを置いて新作がリリースされました。


何故それだけのブランクがあったのか?「Who We Touch」の記事で書いたドラマーのJon Brookesが、脳腫瘍から回復することなく逝ってしまったから。これまでにも主要メンバーの Rob Collins を失うなど、数々の苦難に見舞われた彼ら。それらの悲劇を想像するだけでも辛くなってくる。4人になったバンドが下をうつむきながら浜辺を歩き、太陽が優しく輝いているジャケットは実に印象的。


ドラマーには後任を据えておらず、スティーヴン・モリス(New Order)、ガブリエル・ガーンジー(Factory Floor)、ピーター・ソールズベリー(The Verve)がサポートとして参加。錚々たる面子ですが、同業ミュージシャンからも支持されているバンドだと改めて思い知らされます。何もよりも悲愴的にならず、あくまでもしなやかに進み続けるバンドの姿が美しい。骨太でソウルフルな黒いグルーヴを維持し、スィートでメロウで歌心のある曲はいつにもまして力強い。重圧や苦難を優雅さに転換させるバンドは徐々にレジェンドへとなってきています。