2015年6月30日火曜日

豚星。


「豚星。は二郎インスパイア系ではない。豚星。という食べ物なのだ。」という六角橋の巨星「豚星。」が2015年1月に閉店し、スタッフの五十嵐さんが跡地を受け継いで「いがみそ」を開店させた、というのはこの間書きました。その巨星が流れ星のごとく移っていった先が元住吉。日吉からも徒歩圏にあることから、慶大生がここで二郎系デビューを果たし、三田キャンパスで二郎本店と邂逅することになるのでしょう。取りあえず移転後の元住吉に行ってきました。店構えは六角橋時代と同じで、実にそっけなく看板も紙っぺら一枚だ。




座して小ラーメンを待ちます(本当は小豚を頼みたかったんだが売り切れ)。トッピングはニンニクヤサイアブラで。前に比べて標高が低くなったのは気のせいか?それにしても目にも鮮やかな緑色のキャベツがたくさんだ。どうやって攻略しようかな?とヤサイを崩しにかかったところ、頂上の固形アブラが転がり落ちてズボンに乗っかった。慌てて丼に戻すが、スボンには大きな油染みが。ここで動揺してはいけないと思い、スープを啜る。前は乳化系だったが、ここではジャンクな甘みとコクがあるきりっとした醤油系。下手な二郎をぶっちぎりで振り切っている。




クタ加減のあるヤサイを減らしてニンニクとアブラをまぜまぜし、潜んでいたブタを引きずり出す。ぶっとく切られたロールブタが2つ半。じんわりと旨味が染みこんでおり脂身ぷるぷる、神の領域へと達しているのを感じる。平打中太麺はワシっとしながらでろでろ加減も堪能でき、噛み応えはまさしく神応え。ボリューム的には前よりも控え目になっているが、全体的な旨さで言ったら前と遜色なし。相変わらず旨すぎる。ちなみに帰宅してからズボンを速攻で洗濯したが、油染みは簡単には落ちなかった。頑固でオイリーなエネルギーを感じた。


住所:神奈川県川崎市中原区木月4-5-20

豚星。ラーメン / 元住吉駅日吉駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2015年6月27日土曜日

Rivington Não Rio + Forsyth Gardens and Every Color of Darkness : Prefuse 73



Prefuse 73 久々の帰還。あれだけの多作家でありワーカホリックでもあった Guillermo Scott Herren が、4年という空白期間を置いたのは只事じゃない。どうやらこのブランクは陳腐化したエレクトリックミュージックシーンへの静かな抵抗であったようで、ここにも反EDM派がいたのかと思わず納得。それにしても、エレクトリックミュージックへ古くからコミットしている多くのアーティストを敵に回すEDMって、ある意味では存在感が有り過ぎる。シーンへのイラつきを鎮めるのに4年もかかった Guillermo Scott Herren は、その反動によって圧倒的大容量である作品を仕掛けてきました(日本盤はアルバムにEPを2枚加えたものをコンパイルした2枚組)。

ここでは過去の作風を集大成的に編み上げたものとなっており、元祖ビートミュージックと言わんばかりの、サイケデリックでアブストラクトな世界を万華鏡の如く提示しています。細かく刻まれたビートを再構築するトラックもあれば、メロウでジャジーなトラックを披露しながらも、ダブステップを意識しているトラックもありと、全方位的ビートミュージックの極北とも言える作品に仕上がっています。これこそ至上のエレクトリックミュージックから紡ぎだされる音の渦。

2015年6月24日水曜日

インターステラー (Interstellar)



遅ればせながら2014年11月に公開された「インターステラー」を観ました。あらすじを簡単に言えば「人類存亡の危機を救うため、星間移動して新たな居住惑星を探す宇宙飛行士たちの冒険譚」と言えばいいのか。もっと安っぽい常套句では「時空を超えた父娘の絆の物語」なんて言い方もある。

僕の心を鷲掴みにしたのは「相対性理論」、「ワームホール」、「ブラックホール」、「特異点」といった宇宙物理学でおなじみのエッセンスを散りばめたハードコアSFな体もさることながら、SF映画の金字塔である「2001年宇宙の旅」(過去の記事)へハンパなく捧げまくったオマージュっぷり。

大気圏脱出した宇宙船が近づく母船が円形だよ、おい!しかも重力場を作るためにぐるぐる回ってる!母船の窓から見える地球もぐるぐる回っており、テレビ電話で地球側と対話している!

この時点でテンション上がりっぱなし。

人工知能ロボットTARSはHAL9000の再来としか思えないほどの自律っぷり!姿見はモノリスにそっくりだぞ!2001年では木星近くでスターゲイトに突入するが、こちらは土星近くのワームホールから星間移動だ!ブラックホールに落ちていくクーパーは、スターゲイトを通過するボーマン船長か!ブラックホールの特異点である5次元空間は、ディスカバリー号内部のHAL9000中枢部のようだ!マーフが看取られるクーパー・ステーションの白い部屋は、ボーマン船長がスターチャイルドへと進化を遂げていく部屋かよ!

しかも「フィールド・オブ・ドリームス」へもオマージュを捧げているのも心憎い。こちらは父子の葛藤を描いており、トウモロコシ畑に野球場を作ることで若かりし頃の父親と主人公が時空を超えて遭遇する。トウモロコシ畑、野球場、時空を超えた父娘の葛藤と絆…すごいな!引用っぷり!

物語冒頭から練りに練られた伏線が張り巡らされ、終盤に近付くにつれて全てが整合性を以て回収されていくさまは本当に素晴らしい。Blu-Ray買えばおかわり何杯でもイケそうな映画だ。

2015年6月21日日曜日

いがみそ


神奈川県、いや全国の二郎インスパイア系の中でもトップクラスだった巨星「豚星。」(過去の記事)が惜しまれつつ2015年の冬に閉店(その後、元住吉に移転して営業再開)。その跡地をそのまま受け継いだインスパイア系が「いがみそ」です。もともと「豚星。」のスタッフだった方がオープンさせた店らしく、二郎系にしては珍しい味噌味を中核に据えている。店主の名前が五十嵐さんだから「いがみそ」と名乗っているのだとか。店の佇まいは豚星。時代と変わらず、看板がなくて素っ気ないです。



無料トッピング(このお店では無料カスタマイズ)はご覧の通り。にんにくの代わりにショウガを選べるのが珍しい。また、野菜マシはおかわりのみで対応してくれる。味が薄まらないための配慮らしいが、味噌味をじっくり味わってほしいという姿勢の表れなのだろう。みそ小の食券を買い、着丼を待っていると「ニンニク入れますか?」の代わりに「ショウガ入れますか?」と聞かれた。辛党ではないのだがトウガラシに惹かれたのでニンニク アブラ トウガラシでお願いした。



ヤサイはもやし中心だが、ニラと人参が使われているのが目新しい。頂上にまぶされた真紅のトウガラシが目にも鮮やかだ。スープを一口すすれば、二郎系特有の豚骨醤油な甘辛スープ、押し付けがましくない仄かな味噌味、ぴりりと辛い唐辛子やドロリッチなトロミのせめぎあいが繰り広げられる。有無を言わせぬドリーミーなコク旨辛スープがとにかく最高だ。



運良く当たったハジ豚は柔らかく、豚星。時代の味が継承されているのが流石。歯を立てれば、熱いナイフがバターを切るかの如くするりと繊維が切れる。柔らかくて食べ応えがあって神豚の領域へと到達しているではないか。コクウマ味噌スープをヤサイに掛けながら全体のかさを減らしていくが、この時点でカプサイシン効果により顔面の全体から汗がマッドネスに大噴出。丼にぽたぽた垂れていくが、そんな事はいちいち気にしていられない。だって美味しいのだから。



自家製中太麺はやわやわに茹でられてデロデロ、濃厚スープはいつまでも堪能したい衝動に駆られるほどウマウマ、そして汗がドバドバ。衝撃的に旨すぎるスーパージャンクな味噌ラーメンが遂に降臨した。コクとトロミと辛さを追求したい向きには最高の新星となり得るだろう。これだから六角橋界隈は目が離せない。

住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋2-10-1

いがみそラーメン / 白楽駅東白楽駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2015年6月18日木曜日

The Scene Between : The Go! Team



フロントマンの Ian Parton がももクロに「労働讃歌」を楽曲提供した時は度胆抜かれましたが、あれから4年経って届けられた UK バンド The Go! Team の新作がなかなか良い。歌心が迸り、これまでと違う志向を持つハイパーポップチューンが連打されまくっています。もちろんこれまでのテンションを高く維持し、ヒップホップやファンクやブラスロックの要素を散りばめつつ、ガレージでロウファイで無国籍で胸キュンなキラキラポップを提示しています。最近のバンドでここまで弾けまくっているバンドってあまりないよね?この全開感はイヤホン経由ではそう伝わってこないので、爆音キメて屋外で聴くと気持ち良さそうだなあ。


2015年6月15日月曜日

ゆうじん

脱主流を唱える僕にしてみれば、インスパイア系という単語には違和感を覚える。そこで、今回訪問したお店の衝撃と共に「二郎オルタネイティヴ系」という新しい単語を提唱したい。その衝撃を与えたお店とは「」や「ザ・ラーメンスモールアックス」、「アジトイズム」を抱えるオルタネイティヴ系エルサレムとして知られる大井町にある「ゆうじん」。



駅から10分弱歩いて、地元民ですら分からない最深部に辿り着く。こじんまりとした店が数軒ほど肩寄せあっており、見た目からは二郎系だとはだれも思わない。ここは「アジトイズム」が「アジト」として名乗っていた頃に店を構えていた場所だそうです。看板には「二郎系」とも「インスパイア系」とも書いていないのが潔い。





ラーメン(700円)を口頭注文する際に、無料トッピングも忘れずに。ヤサイは「もやし」「キャベツ」「玉ねぎ」と細分化されているのがありがたい。もやしキャベツ増しに加えてアブラとニンニクも増しにする。これまでにないほどキャベツ比率が高いヤサイにふりつむアブラ、タンポポのように咲き誇るニンニク、雪解け水のような刻みタマネギが嬉しい。




麺は浅草開化楼製で200g。ツルリとした表面ながらガシッとしたファーストインプレッション、噛みしめるにつれモチモチ感が溢れるセカンドインパクト、粉砕されてからじわりと染み出す小麦の甘さが泣けるサードアタック。ねじれまくった完璧な麺だ。ブタは塩味が効いており柔らかいが、ボリューム的に満足できるものではなかったが残念。ただしそれを補完するのはスープの旨さ。とろりとした乳化スープには豚骨の旨味が充分に溶け出し、アブラの甘さも相まってゴクゴク飲める。二郎オルタネイティヴ系は飲み物です!それにしてもこんな閑散な場所なのに、商売は成り立つのだろうか?いや、脱主流を標榜し続ける支持層があってこそ。二郎オルタネイティヴ系に栄光あれ。

住所:東京都品川区大井1-41-1

ゆうじんラーメン / 大井町駅下神明駅西大井駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2015年6月12日金曜日

Tellin' Stories Expanded Edition : The Charlatans



この間 The Charlatans のことを書いたので、久しぶりに過去の名盤を聴いてみた。97年リリースで、レコーディング期間中にキーボーディストの Rob Collins が自動車事故で亡くなるという悲劇に見舞われた作品。ここで彼らは間違いなく一つの頂点に到達しており、彼らでしか持ち得ない強靭なグルーヴを発揮している。肉感的かつ南部志向のブルージーな香りを漂わせるのは、多くのUKミュージシャンが目指している通過儀礼みたいなものだ。しかもクレジットは殆されていないが、ケミカル・ブラザーズが本作で果たしている役割も極めて重要。彼ら独自の音が至るところでまぶされ、ドラムループがChems風になっているのでテンションが上がる。彼らの最高傑作の一つと言えるだろう。

2015年6月9日火曜日

ぽっぽっ屋 本店



本店だけでなく、水道橋や晴海にも店舗展開している二郎インスパイア系「ぽっぽっ屋」。午前の仕事を終えた後、小伝馬町にて訪問する機会に恵まれました。二郎本流を問わなければ、今や至るところで二郎系を喰らうことが出来る世の中。それだけ多くの日本人に支持されている証左に他ならない。この日は開店と同時の11:00にすんなり着席できたが、ビジネス街ということもありそれなりに混み合うらしい。




らーめん(730円)を無料トッピングのヤサイアブラニンニク玉ねぎで。刻み玉ねぎも無料トッピングとして選べるのが、この店の大きな特色。午後にも仕事が控えているのにニンニク?それがジロリアンマナーというもの(マスクを付けて仕事をする)。小ぶりの丼にこんもりと盛られたエクステリアが食欲を刺激する。キクラゲが一片、ちょこんと鎮座しているのもこの店の特徴らしい。



スープは本流の再現性が高いが、ライト寄りで万人受けしそうな味。これに玉ねぎがまぶされることでマイルドかつライトな味になっていくんだが、ちょっとぬるいのが玉にキズ。麺はもっちりしており剛毛極太なので、極めて食べ応えあり(どうやら浅草開化楼 製らしい)。ただしボリュームが控え目なので、百戦錬磨のジロリアンを唸らせるにはまだまだと言ったところ。また、残念豚が一欠片と呼ぶに相応しいほど、遠慮がちに存在しているのも惜しいところ。ただ、二郎系であれば諸手を上げて支持したいので、インスパイア系の老舗であることからも頑張っていただきたいお店だと思います。

ぽっぽっ屋 本店ラーメン / 小伝馬町駅新日本橋駅馬喰横山駅
夜総合点★★★☆☆ 3.4
昼総合点★★★☆☆ 3.4

2015年6月6日土曜日

Saturns Pattern : Paul Weller



ビートルズも所属していた名門レーベル「パーロフォン」へ移籍し、名実ともにUKロックの重鎮と言われるようになったモッドファーザー PW の新作がリリースされました。ソロデビュー以降初期はブルージーかつアーシーな骨太ロックを指向していましたが、ここ最近の作風ではサイケデリックな感覚やジャーマンプログレッシヴロックが持っている前衛性、自身が好んでいるノーザンソウルを取り入れ始めたのは周知の通り。本作でもこれまでの作風を踏襲し、クールな情熱を内包しながらも徐々に放熱しているのを感じさせる作品になっています。

「今まで俺が発表してきたどの作品よりもベストな出来だと思う…、ここまで出来たことに、俺自身すごく喜んでいるんだ」という発言から分かる通り、かなり充実した制作活動を行っているんでしょう。DVDに収録された映像からもその勢いが伝わってきており、購入したスタジオでミュージシャン仲間を招き、スタイリッシュにキメまくる姿を確認することが出来ます。モッズという姿勢は最新型でなくてはならないことを相変わらず体現しておりクールだ。

2015年6月3日水曜日

博多麺房 赤のれん 丸の内店


仕事で丸ビルに行く機会があります。が、ランチを楽しもうにも超一等地である丸の内ゆえ価格も超一流。例えばうどんを一杯食べるにも1,000円近くかかるハイエンド価格。この界隈で働くビジネスマンは仕出し弁当やコンビニ弁当で節約するんでしょうか。そんな中、ラーメンでも食べるか…と探したところ、割と高得点な博多豚骨ラーメン店を発見。よく見ると、西麻布にある「博多麺房 赤のれん」ではないですか。東京に進出した博多ラーメンの草分け的存在として有名なので、赤い暖簾をくぐることにしました。




博多らあめん(750円)をバリカタで頼みます。ラーメンと言えどもそこは丸の内、やはりいい価格設定しています。そこそこデカ目のチャーシューが一枚に、九条ネギとコリコリメンマ。スープは仄かに豚骨臭が香り、結構さらりあっさり目でクリーミー。標準的な豚骨スープですが、リアルな長浜ラーメンに比べたらまろ味があり、久留米寄りと言ったところ。




麺は当然ながら極細ストレートでパリッとした噛み応え。するっと食べて替玉を頼むが150円も取られる。お店の人の愛想もいまいちで、コストパフォーマンスの悪さを感じる。取りあえずスープ汁完して胃袋を満たすが、標準的なレベルを超えておらず可もなく不可もなくと言ったところ。この味だったら一杯500円、替玉50円で食べたいところだが、そこはやはり丸の内。この界隈で豚骨ラーメンを食べるには唯一の切り札なんでしょう。


住所:東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 6F

ホームページ:http://www.akanoren.com/
博多麺房 赤のれん 丸の内店ラーメン / 二重橋前駅東京駅大手町駅
夜総合点★★★☆☆ 3.0
昼総合点★★★☆☆ 3.0