2015年9月28日月曜日

麺屋 蔦重

横浜市鶴見区にある生麦という町。地元民以外には馴染みがない町だが、中学校の授業で習った「生麦事件」というキーワードを覚えている人もいるだろう。薩摩藩とイギリスが戦争を始めたきっかけとなる重要な事件で、歴史的にも重要な町だ。そんな町に蔦重というお店があると耳にした。蔦重とは江戸時代の有名な版元 蔦屋重三郎のことで、かのTSUTAYAがこれにちなんでいるのは有名な話。歴史好きの私としては居ても立ってもいられず、このお店に足を運んだ。


さすれば黄色い看板に「ニンニク入れますか?」の文字が。ま、またしても二郎系か!……というのは真っ赤な嘘で、始めからこの店を訪問するために生麦駅を降り立ったのだ。生麦駅といえば「ラーメン二郎 鶴見店」(過去の記事)の最寄駅としてジロリアンに知られた約束の地。この際、「生麦事件」や「蔦屋重三郎」のことなどどうでもいいのだ。それにしても自動販売機(しかも近くに生麦工場があるKIRIN)まで黄色く塗り潰され、「ニンニク入れますか?」と書いてしまうのは恐れ入る。




小豚らーめん(900円)をヤサイニンニクアブラで注文。すると優しそうに笑みをたたえた店主がバーナーで豚肉を炙り始めた。香ばしい匂いが鼻孔を突き、飢餓感がマキシマムになったところで見たことのない一杯が着丼。二郎系を山に例えるのは一般的だが、この一杯は地図に書かれた等高線を思わせる。ヤサイの山の斜面には段々畑のような豚バラチャーシューが3枚、麓には豚ウデ肉チャーシューが2塊、そして大量にぶちこまれた刻みニンニクが山の反対側に隠れている。




豚バラチャーシューは味がじゅわっと染み渡り、炙られたことで香ばしさがアップし、アブラがとろっとろでジューシー極まりない。ウデ肉チャーシューもほろりと煮崩れ感があって旨味も抜群だ。このブタはどの二郎系にも属さない独自路線を歩んでおり、このブタを食べるだけでも足を運ぶ価値があると思える。ヤサイはキャベツ比率が高くてシャキシャキ感も申し分ない。太麺はぐりんぐりんに捻じれており、ワシっとした噛み応えのある食感がたまらない。濃い醤油色のスープはいかにもカラメそうだが、甘辛さを感じたのは始めだけ。ヤサイ/ニンニク/アブラとの調和によって一体感が生まれていた。ただし全体量はやや控えめなので、爆発的破壊力を求める向きには物足りないかもしれない。ブタはとにかく意欲的なので、今後の伝説を期待していきたい良店だ。


住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦1-10-16

ホームページ:http://www.menyatsutajyuu.com/
蔦重ラーメン / 生麦駅花月園前駅国道駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年9月25日金曜日

Dreams : Beck



「Morning Phase」(過去レビュー)で奇跡の大復活を遂げた Beck 君が、今年の6月に配信限定で新曲をリリースしていました。何故この時期に記事を?単純にスルーしていただけです。慌てて購入したところ、直近の作風とは異なってポップでファンキーでマッシヴなハッピーチューン。小刻みなカッティングギターが心地よく、ボーカルもここ最近の幽玄な音使いを踏襲。これが次作のリードシングルになるというから、「Morning Phase」とは全く違った作風になる予感。動の作品と静の作品は交互に作られる、の法則は守られるようです。

2015年9月22日火曜日

ラーメン二郎 西台駅前店

世界中に散らばった7つの玉を集めるが如く、東日本に散らばったラーメン二郎を巡礼する毎日。スタンプラリーはハンコ全てを集めればご褒美が貰えるが、二郎全店を訪問しても真性ジロリアンの烙印を押されるのみ。だけども続けてしまう魔力がこの旅にはあるのだ。


この日は個人的にほぼ未踏である板橋区へ。都営三田線の西台駅高架下にあるんだが、耐震補強工事のために来年6月までに立ち退きを余儀なくされているとのこと。どこに移転するのか未定とのことだが、今のうちに行っておく価値はあろうというもの。路地の奥にあるそっけない店の前には、わらわらとジロリアンが蠢いていた。



ラーメン(700円)の食券を買うが、昼限定のとりそばにも惹かれるところ。ここは基本に忠実な標準メニューを指定し、やたらと冗舌で口数が多い店主から「ニンニク入れますか?」と聞かれたので「ニンニクヤサイアブラ」をお願いした。見事なローリング豚はかなり大きくてフワトロな絶品だ。ヤサイはキャベツ比率低めでシャキ加減が適度に残っている。背脂は溶け込んでおらず大きめの固形物となっていた。



ヤサイのかさを減らして天地返しをしたところ、デロデロ具合が半端ないやわやわ麺が登場した。ヤサイが比較的少なめなのに対して、麺は途方もない物量を誇っていた。ここまで柔らかいと、もはや飲み物の一種といってもいいだろう。スープは非乳化でカエシがきりりと立っているが、麺を食べ終わっても魔物に魅入られるが如くごくごくと飲んでしまう。それほど豚の骨と脂が溶け込んだ旨味溢れるスープなのだ。こうして29店舗目をようやく制覇したのだった。


住所:東京都板橋区蓮根3-9-7

ラーメン二郎 西台駅前店ラーメン / 西台駅蓮根駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2015年9月19日土曜日

Aftershow at Het Paard Van Troje, the Hague, Rotterdam, August 18th 1988 : Prince



「This Could B Us」(過去レビュー)を amazon で買った時に見つけたブツ。基本的にブートは購入しない主義なんですが、amazon で(しかもデジタルミュージックストアで)売られているのが気になって思わずポチリ。全12曲で100min.を超えながら900円(クーポン使って750円)という破格の安さ。かつての西新宿で数千円で売られていたようないかがわしいブツを amazon が売っていいのかよ~。リマスタリングされているようで、ブートとは思えないほどの高音質でした。

タイトルから分かる通り、内容は1988年に行われた Lovesexy ツアーの際、オランダはロッテルダムで行われたアフターショウを録音したもの。 午前3:00から始まり、300人の観客を集めたそう。オリジナル曲は勿論のこと、ブルーススタンダードの「Down Home Blues」やThe Temptations、The Staple Singers、James Brown のカバーも演奏されているのはアフターショウならでは。
ジャム演奏がてんこ盛りながらも緊張感があるのは、厳しいバンドマスター Prince ならではと言えるでしょう。

Tracklist


01 Instrumental
02 D.M.S.R.
03 Just My Imagination
04 People Without
05 Housequake
06 Down Home Blues
07 Cold Sweat
08 Forever In My Life
09 Still Would Stand All Time
10 I'll Take You There
11 It's Gonna Be a Beautiful Night
12 Rave Un2 The Joy Fantastic

2015年9月16日水曜日

ラーメン 岩佐 駅前店


この日は江ノ島の音楽イベントでしこたま痛飲。田園都市線沿線の自宅まで帰るのに、小田急線から中央林間駅で乗り換えた。したたかに酩酊し腹が減ってきたので、駅西口を出てラーメン店がないものか徘徊。さすれば「菅野製麺所 特製」と書かれた看板を発見。菅野製麺所といえば、ありとあらゆるラーメン向けの全方位の麺を作っており、日本でもトップクラスと言える製麺所。お腹がぐうと鳴ってきたのでこのお店に突撃した。



何を売りにしているお店か分からなかったが、どうやら塩とんこつというジャンルを食わせてくれるらしい。酩酊ぶりに任せて「太麺 野菜W」(830円)をいうボタンをポチリ。着席すると「麺の固さは?」と聞かれたので「メンカタ」をお願いした。更には「ニンニク入れますか?」とどこかで聞いたことのある質問をされたので、脊髄反射的に「ニンニクアブラ」と答えてしまった。



すると目の前に着丼した一杯は、江ノ島から夕日の向こうに見えた富士山のような美しいフォルム。適当に選んだお店だったのに、ここは二郎系だったのかー!行くところ行くところ二郎系ばっかりで、オレはこの先どうなってしまうんだー!……というのは嘘で、酔っぱらいながらも本能的にこれを目当てにしていたのだ。それにしても数多の二郎系の中でも突出した美しさを誇るその外観。きれいな円錐形にはお店独自の美学が貫かれている。

頂上には珍しい長ネギ、ヤサイはキャベツ比率多めでシャキ感がある。ブタはいわゆる二郎系のどっしりしたそれではなく、薄めの豚ロースを使ったしっとりしたもの。




麺の太さと縮れ度合いはグルーヴィで、表面つるつる、中はもっちり、硬めを指定しただけあってガッチリした歯応え。スープは若干背脂が浮いているが、いわゆる二郎系のジャンクな味わいではなく、家系豚骨醤油スープをさっぱりと上品に仕上げたもの。ニンニクを溶かせば旨味が全体に行き渡り、この丼の主役をかっさらうほどの旨さ溢れる味になっていく。

ボリューム的にはノックアウト感が少ないので二郎系と呼ぶのもどうかな?とは思うが「ニンニク入れますか?」という二郎系標準規格のコールがあったので、ここでは二郎系と呼ぶことにする。何はともあれ、通常の豚骨スープとは異なりウマウマで飲みやすく、ごくごくと喉を鳴らして汁感。この店が地元にあったら足繁く通うだろうなあ。


住所:神奈川県大和市中央林間5-1-9
ラーメン 岩佐 駅前店ラーメン / 中央林間駅) 
夜総合点★★★☆☆ 3.8 
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年9月13日日曜日

Safe in Harbour : Vilod



これまで「Re: Ecm」(過去レビュー)や「Zug - Reshaped and Remodeled」(過去レビュー)等でコラボレーションを果たしている Ricardo Villalobos と Max Loderbauer の異才二人。今年6月に Vilod という新ユニットで Perlon から新作をリリースしました。これがもう、Moritz Von Oswald Trio の新作「Sounding Lines」(過去レビュー)と同レベルの異型具合で、粘着系テクノという新しいジャンルを提唱したいほどネバネバっぷりが凄まじい。

Ricardo Villalobos が創り上げる有機体としか思えない電子音と、Max Loderbauer が産み落としたフリーキーなジャズ要素を絡めとった電子音の融合。デリケートな音使いとアブストラクトな音像は相変わらず脳への直接作用が凄まじく、ミニマルダブと簡単に括れないほど複雑怪奇な怪作に仕上がっています。多層的に積まれたサウンドレイヤーが生き物としか思えず、脳味噌を無限大に拡張し続けるブレインミュージックです。

2015年9月10日木曜日

ラーメン星印


横浜ラーメン激戦区の白楽・東神奈川・反町エリアへ、流れ星の如く現れたお店を訪問してきました。看板には新星の如く☆が掲げられており、これで星印と読ませます。


お店に入ると矢沢永吉の曲が流れており、店内には永ちゃんのフィギュアやポスター、バスタオルが飾られている。永ちゃんが経営している店なのか?いや、永ちゃんはスターになるために上京したが、☆の看板を掲げるのを目標としていないはず。横浜駅近くには日産本社があり、最近の日産はCMに永ちゃんを起用している。日産の仕掛けなのか?いや、日産は自動車メーカーなので、ラーメン店を生業とはしないはず。どうやら店主が永ちゃんの大ファンということだ。


それにしても、2014年3月にオープンしたばかりなのに、既に食べログランキング上位の常連になっています。その姿は永ちゃんのようにまさしく成り上がり。




永ちゃんのようにピリッとしたメニューを想像していたが、予想に反して醤油ラーメンと塩ラーメンを二本の柱に据えています。そう、ここはロックンロールな体をしていながらもジェントルマンである永ちゃんのように、永ちゃんの体をしていながらも神奈川淡麗系を食わせてくれるお店なのです。お店のフラッグシップメニューである特製醤油ラーメンは1,050円とややお値段が張るものの、注文を躊躇えば「俺はいいけど、YAZAWAが何て言うかな?」と言われそうなのでオーダーするからヨロシク。




きれいに配列された具材が仕事の丁寧さを物語っています。醤油スープを軽く啜れば……昇天。数種類の生醤油を使っているとのことで、単なる醤油味に終わらない独創性のあるカエシ。鶏がらメインの動物系ダシと昆布メインであろう魚介系ダシ、甘みのある野菜系ダシがコクと旨みと奥行きを演出する。薄く切られた脂身少ない肩ロースチャーシューを頂くと……絶品。ほろっほろに煮込まれており、柔らかローストビーフのように美味なるが如し。つるっつるな表面のワンタンを頂くと……至高。餡はジューシーながら、生姜の香りがほんのりとしてさっぱり感がある。名古屋コーチンの味玉を頂くと……芳醇。しっかりした白身が濃厚で甘みのある黄身を包み込む。他に使われている具材は上質な九条葱に、柔らかくて味わい深いメンマ等。




やや柔らかく茹で上げられた細めストレート麺をずるずるっといけば……確信。表面つるりと喉越しが良く、噛みしめればもっちりとしており小麦の甘みが感じられる。スープと具材と麺が三位一体になった上品な味は、ある意味ラーメンの最終形といっていいほど完成度が高い。するすると麺をたいらげて、ぐびぐびとスープを飲んで……汁完。食べ終えた瞬間に「また来たい」と思わせるほど美味しい。後で知ったことだが、ここの店主は新横浜ラーメン博物館の「支那そばや」(過去レビュー)を務めていたそうで……納得。ラーメンの鬼のDNAを引き継いで、ここまで完成度の高い逸品を作り上げたのだ。……脱帽。


住所:神奈川県横浜市神奈川区反町1-3-4

ラーメン星印ラーメン / 反町駅神奈川駅東神奈川駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2015年9月7日月曜日

Moonbuilding 2703 AD : The Orb



The Orb の新作の評判がすこぶる良好、どころか最高傑作の呼び声も高くなっています。

Thomas Fehlmann と2名のみで作った純粋なフルアルバムとしては「Baghadad Batteries」(過去レビュー)以来6年ぶりということですが、その間に David Gilmour や Lee Scratch Perry とのコラボレーション盤やらアンソロジーやらを多数リリースしていたので御無沙汰感は全くなし。

リリース元は「Okie Dokie It's the Orb on Kompakt」(過去レビュー)以来10年ぶりとなる Kompakt から。

6年ぶりだとか10年ぶりだとか長いキャリアを感じさせるけど、アンビエントテクノを作り続けて30年近く経っている Dr.Alex Paterson にしてみればほんの一部の時間に過ぎない。まして、古代や宇宙の果てまでも音楽の旅を続ける彼らにしてみりゃ、時間なんて些細なことに決まってる。

今回は月をモチーフにしており、「神のミラーボール」だとか「紀元前2703年の月の風景」だとか「西暦2703年の月の構築」だとか、いつにも増して壮大で神々しい。

日本盤に収録されているボーナストラックを除いて、4つのトラックが9~14分というプログレッシヴな長さで収録されてるのが初期を彷彿とさせる。

しかもこれまでにないほど BPM が速く、屈強なループがテクノ色を濃くさせています。それを支えるベースラインも相変わらずドープで太く、多用されているサンプリングのアンビエンス効果もディープこの上ない。快楽的でダンス的要素が濃厚ながら、それと相反するダブな催眠効果が抜群になっているのはオリジネーターたる所以。

サンプリングでありながら、相反するインプロビゼーションのようになっているのも相変わらず緻密で凄まじい。リスナーはいつしか無限ループの罠へとはまっていき、恍惚の桃源郷へと到達するのだ。

2015年9月4日金曜日

朧月


目黒駅周辺におけるラーメン店の集積密度は、世界トップクラスのラーメンシティである東京でも異常なほど。裏を返せば、ここで天下を取れば世界を制覇したも同然という意味なんでしょう。


確かに横浜から目黒に移転した「麺や維新」(過去の記事)がミシュラン2015で星1つを獲得したことからも、レベルの高さが伺い知れるというもの。その中でも、惜しくも閉店してしまった銘店「麺屋 航」(過去の記事)の跡地に、銀座の人気店が参戦していました。その名も「朧月」。




つけ麺で有名なお店らしいんですが、目黒店にしかない限定メニュー「中華そば極み」の食券を850円で購入。事前情報によれば麺は少なめということなんですが、替え玉も用意されているとのことでした。


黒っぽいスープに浮かんでいる具材は見目麗しい(そして実に甘みのある)味付け玉子、香ばしく炙られている(そしてふわっと柔らかくて脂身がじんわり美味しい)豚バラチャーシュー、新鮮な白髪ネギや青菜、メンマ、ナルト、海苔など。オーソドックスで基本に忠実な中華そばです。




スープの土台を鶏がらや豚骨などの動物系ダシがしっかりと支え、煮干しを中心とする魚介系や野菜のダシが甘みと香りを演出し、上品な醤油のカエシが全体をキッチリとまとめあげています。


ソフィスケートされた味わい深い麺は細めストレートの低加水麺で、玉子の甘みと小麦の香りがお互いを引き立て、スープとのバランスが最高にいい。実に食べやすいながらも食べ応えがあり、あっという間に麺がなくなる。当然ながら替え玉を頼んで、仄かに立ち込める煮干しの香りを堪能しながらスープ完飲。強烈なインパクトはないものの、上品で優しいラーメンを望むなら訪問すべきでしょう。


住所:東京都品川区上大崎3-3-4

朧月ラーメン / 目黒駅白金台駅五反田駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2015年9月1日火曜日

This Could B Us : Prince


This Could B Us : Prince

Apple Music を始めとする定額制音楽ストリーミングサービスが熱いんですが、アーティストへの配分が少ないことが取り沙汰されています。しかも複数のサービスが乱立している中、ユーザとしてもどこを選べばいいのか分からない。取りあえずは様子見というところでしょう。

そんな中で、 殿下の新アルバム「HITNRUN」が Jay Z の主宰する Tidal 限定でリリースされることになりました。そもそも Tidal は日本でサービスインしていないので、僕らは聴くことができない!配信もしくは物理リリースを待つしかなさそうです。

そこへ先行シングル「This Could B Us」がいきなり配信リリースされました。例によって例の如く予測不可能な動きをする殿下ですが、この曲は「Art Official Age」(過去レビュー)に収録されていた曲をリミックスしたもの。ネットでちょこちょこ情報を拾ってみると、the Minneapolis Star-Tribune が「パープルレイン時代におけるアポロニアとの写真(ジャケットに使われているイタいやつ)に触発された曲」と報じていました。ん?過去のイタい写真にインスパイアされるって何だか変だぞ…。他のサイトを調べてみると、面白いことが分かってきました。

「this could be us」というインターネット meme に関する記事がありました。meme って?メメって?ミームと発音するらしんですが、インターネットミームとは、ものすごーく簡単に言うとネット上の小ネタのこと。

では「this could be us」とは?twitter へハッシュタグ「#thiscouldbeus」を付けて、カップルの過去のイタい写真を投稿するのが米国でかなり前から流行っていた模様。「(マジな顔して)これは僕たちに違いないよね。でも君は遊びなんだね。」とシニカルにつぶやくらしいんですが、英語圏じゃない人にはうけづらいよね。

殿下はこのミーム(或いはこのミームに乗じて流れてきた自分のイタい写真)に触発された、というのが正しい理解のようです。The Washington Post のネットカルチャー記事に詳しいことが書かれているので、興味のある方は読んでみて下さい(どうでもいいことなんだが)。

さて本題。

新曲ジャケットに自分のイタい写真を使うという大人っぷりですが、曲自体はアイロニカルでも何でもなく、極めてシリアスな出来になっています。オリジナルが愛らしいメロウ&スロウファンクであるのに対して、今回のバージョンはダークな雰囲気を湛えたエレクトロ&ストロングファンク。メロディは同じものの、同じ曲とは思えないほど質感が異なっています。これはリミックスというよりも、リメイク(もしくはリロード)と言った方がいいかも。殿下の悶絶ギターソロも聴ける、重量級ファンクチューンです。