2015年9月7日月曜日

Moonbuilding 2703 AD : The Orb



The Orb の新作の評判がすこぶる良好、どころか最高傑作の呼び声も高くなっています。

Thomas Fehlmann と2名のみで作った純粋なフルアルバムとしては「Baghadad Batteries」(過去レビュー)以来6年ぶりということですが、その間に David Gilmour や Lee Scratch Perry とのコラボレーション盤やらアンソロジーやらを多数リリースしていたので御無沙汰感は全くなし。

リリース元は「Okie Dokie It's the Orb on Kompakt」(過去レビュー)以来10年ぶりとなる Kompakt から。

6年ぶりだとか10年ぶりだとか長いキャリアを感じさせるけど、アンビエントテクノを作り続けて30年近く経っている Dr.Alex Paterson にしてみればほんの一部の時間に過ぎない。まして、古代や宇宙の果てまでも音楽の旅を続ける彼らにしてみりゃ、時間なんて些細なことに決まってる。

今回は月をモチーフにしており、「神のミラーボール」だとか「紀元前2703年の月の風景」だとか「西暦2703年の月の構築」だとか、いつにも増して壮大で神々しい。

日本盤に収録されているボーナストラックを除いて、4つのトラックが9~14分というプログレッシヴな長さで収録されてるのが初期を彷彿とさせる。

しかもこれまでにないほど BPM が速く、屈強なループがテクノ色を濃くさせています。それを支えるベースラインも相変わらずドープで太く、多用されているサンプリングのアンビエンス効果もディープこの上ない。快楽的でダンス的要素が濃厚ながら、それと相反するダブな催眠効果が抜群になっているのはオリジネーターたる所以。

サンプリングでありながら、相反するインプロビゼーションのようになっているのも相変わらず緻密で凄まじい。リスナーはいつしか無限ループの罠へとはまっていき、恍惚の桃源郷へと到達するのだ。

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