2015年10月25日日曜日

UpRight : DJ Tasaka

先日、ケーブルテレビの人が点検に来ました。部屋のターンテーブルを見るなり「DJやるんですか?ハウスですか?テクノですか?」と話しかけてきた。ミキサーでジャンルを判断したんだと思います。聞くところによるとかつては WOMB で回していたとのこと。

「90年代半ばからヒップホップやダブを回してて、徐々にテクノ/ハウスに変わっていきました」 

「当時はオーガナイザーやったり原宿のレコ屋で働いたりしてました」

「卓球さんと飲みに行ったことあります」

「石井くん(ケンイシイ)とだいぶ前に会ったことあります」

「(この彼の名前は田坂なので)DJ Tasakaとは文字の変換について話したことあります。田阪って変換されちゃうんだよね、とか」

「DJだけじゃ食っていけないんで、2年ほど回してません。今はケーブルテレビで働いています」

 とのこと。

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で、DJ Tasaka です。前作「Soul Clap」(過去レビュー)から6年ぶり。つまり、盟友 Kagami の夭折や東日本大震災を通過したアルバムということで、作品のモードがかなり異なっています。前作がミニマルで黒々とした作風であったのに対して、本作はディスコやヒップホップ、アシッドなど様々なジャンルを横断しており、カラフルで多様な音になっています。敢えて言えば、これまでの作品の中で一番ヒップホップ寄り。

震災後に一般化した様々なデモ。反原発、反レイシズム、反性差別、反安保法案……。こういったデモを通じて知り合ったミュージシャン/アーティストがゲストとして参加していますが、不思議なことに闘争心というか深刻なメッセージは感じない。2011年以降の世間の空気を DJ Tasaka なりのフィルターを通して昇華させているようです。彼ならではのユーモアが随所に散りばめられており、クラブシーンの享楽的な雰囲気が貫かれています。権力に対するカウンターとは何か?をつくづく思い知らされる作品です。

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