2016年2月29日月曜日

Fabric 83 : Joris Voorn



オランダにおけるテクノ第一人者である Joris Voorn のミックスCDを遅まきながら。デトロイトテクノへの偏愛を表明していることで知られる Joris Voorn ですが、この fabric からのミックスでも相変わらずの、いや、デトロイトテクノの可能性を押し拡げたプレイを披露。

2009年のミックス作品「Balance 014」(過去レビュー)では Richie Hawtin が導入したミックス方法論を採用しましたが、この作品でも Ableton Live を使用して多層的なミックス〜エディットを展開。トラックを幾つのもパーツへ分解し、異なるパーツを再構築することで曲に新たな芽吹きを与えています。トラックリストを見てもらえば分かる通り、1曲が複数のトラックから成り立っており、各トラックが新しい次元へと高められている。しかも何の違和感もなく全曲がシームレスに進んでいき、ミックス全体があたかもひとつの曲へと統合されているかのよう。このミックスから聴こえてくるのはめくるめくデトロイトテクノ叙情詩であり、胸を締め付けるような郷愁やメランコリア。

オリジナルアルバム「Nobody Knows」(過去レビュー)では非フロア対応型トラックで独創性を醸し出していましたが、ミックスではオリジナルと異なるばかりでなく、クラブから聴こえてくるようなプレイでもない壮大なるデトロイト絵巻を綴っています。ミニマルにしてディープ、クラシックにしてプログレッシヴという素晴らしいミックスであり、繰り返しいつまでも聴いても飽くことのない作品です。

1a : Sunset Graves / So, Who's Gonna Watch You Die?
1b : Application / Front End (Remixed By Pye Corner Audio)
1c : BLNDR / Isolate Frequencies 2
1d : Lo Grounds / Fatalism
2a : Deft / Blue Jasmine 
2b : Ambiq / Loka / Toxic Underground
2c : Reggy Van Oers / Loctivity
3a : Plastikman / Consumed
3b : The Persuader / Pinnharan
3c : Van Bonn / Abroad
3d : Arnold Tempo / Quarion Was Digging For Water
3e : Donnacha Costello / Grape A
3f : DeepChord / DC14 (A1)
4a : Siopis Feat. Mr Brean / Listen To The Whispers (Jody Hannan Remix)
4b : Joris Voorn / Where Have You Gone? (Part 1)
4c : Lau Frank / 7am (Dachsund Remix)
4d : Audio Werner & Jichael Mackson / Schlamm
4e : Roland Klinkenberg / L'Esprit De L'Escalier
5a : Howling / Signs (Matom Remix)
5b : Christian Fennesz / Kae 
5c : Julien Aubert / Feelmar (Gaspard De La Montagne Remix)
5d : Martin Aquino / Red Pavement (Halo & Alex Fuente Remix)5e –Christian Fennesz / Euclides
5f  : John Tejada / Two 0 One
5g : Glacial / Entropy
6a : Joris Voorn / Fall (Nobody Home Dream Interpretation Mix)
6b : Giash / Space Oddysey
7   : Cobblestone Jazz / Drawn From The Side Of Crime
8a : Sounds Like Us / Little Helper 163-4
8b : Donnacha Costello / Backache
8c : Sagat / Body
8d : Roland Klinkenberg / Departures
9a : Monobox / Realm
9b : Tadeo / Deep Space
9c : Robert Hood / A.M. Track
9d : Reggy Van Oers / Mavie 
10 : Joris Voorn / Looks Fake Obviously
11a : Nasty Habits / Shadow Boxing
11b : Anton Pieete / Next Year (Mosca's Skaep Niwt Version)
11c : Tom Day & Monsoonsiren / Love Is Rare / Dreams
11d : Joris Voorn / Left (Roland Klinkenberg Remix)
12a : Wolfgang Voigt / Empathie
12b : Rekord 61 / Sverh (Radio Slave F.Y.M. Remix 2)
13a : Joran Van Pol / Exist
13b : Speedy J / Fill 17
14a : Truncate / Concentrate (Truncate Rework)
14b : Robert Hood / Shaker
15a : Cobblestone Jazz / Northern Lights
15b : Dani Labb / Asha
15c : Timothy Blake / Squiggles (The Mole Remix)
16a : Sebastian Mullaert / Direct Experience
16b : Swann Decamme / Go Away (Dan Bexley & Chad Bostock Remix)
16c : Art Of Tones / Unstopped (The Revenge Remix)
16d : Awanto 3 / Bubbles Made Me Cry
16e : Joris Voorn / Mugged (Anton Pieete Remix)
17a : Joseph S Joyce / Vedanta (Sebastian Mullaert Remix)
17b : Nobody Home / Enthoegen
18a : Tozzy / Anoat
18b : Mike Parker / Forward (The 5am Mix)
18c : Max Loderbauer / Slowrag
19a : Application / Front End (Remixed By Pye Corner Audio)
19b : Jake Chudnow / Prelude To Shona
19c : Stefan Vincent / The Void She Left
20   : TCF / D7 08 2A 8D 2A 37 FA FE 17 OE 62 39 06 81 C8 A1 49 30 6F ED 56 AD 5E 04

2016年2月25日木曜日

ラーメン二郎 千住大橋駅前店


数ある二郎の中でも、おそらく一番駅近な千住大橋駅前店。改札出てから徒歩0分という恵まれた立地条件ですが、そもそも千住大橋っていう駅自体に用がない。たまたま京成線沿線に用事があったので、これ幸いと途中下車して行ってきました。開店直後の11:00到着ということもあって、ご覧の通り待ち0人という僥倖に恵まれる。オペレーションは店主一人のみ。時間的にさほど腹は減ってなかったんですが、そこはジロリアンの悲しき性で小ラーメン(700円)にニンニクヤサイを頼みます。




瞑想しながら着丼を待ち、心の準備を整える。ここで集中するか否かで味わいも全く違ってくる。ラーメン二郎の社訓を思い出してほしい。心の乱れは最終的に宇宙の乱れへ繋がっていくのだ。逆に言えば、心が整えば宇宙も整い、味も整っていく。すべてはクラインの壺の如く繋がっているのだ。やがて「整った!」と目をクワっと見開いたところへ、唯物論的な一杯が着丼。ヤサイ・ニンニク・ブタ・麺・スープの五元素から成り立っている小宇宙だ。ヤサイはもやし中心だがシャキとした食べ応え。昼前なのに禁断の量を誇るニンニク。ガツとした塊のような見た目ながら、旨味が凝縮されているホロブタ。この時点から興奮で身体の震えが止まらなくなってくる。最後まで味わい尽くすには、一呼吸おいて気持ちを静めなければならない。




気持ちを静めるには天地返し。ヤサイの量をある程度減らしたところで可能となる食事法だが、これを行うことにより荒ぶる魂を鎮静させる効果もあるのだ。するとショッパ系のスープをばっちり吸った、デロとした平打ち麺が顔を出す。表面がつるとして喉越しがよく、デロな柔麺はのびきった麺特有の優しさを感じさせる。カエシに使われている二郎専用醤油(通称:エフゼット)がガンガンに効いており、化学パワーの偉大さに恐れおののく。アブラの量も他店に比べて高めで、動物系油脂のオイリーインパクトに胃袋が雄叫びを上げる。ケミカルとアブラとニンニクの三位一体の味わいを、柔らかさ満載のデロ麺でしかと受け止めるマテリアリズム。食べ進むにつれ忘我の境地に達し、食い尽くしたところで賢者タイム。二郎を食うとなぜ人は哲学者になってしまうのか?その答えを簡単に引き出すことはできないだろう。一つだけ言えること……二郎全店を制覇すれば答えは見えてくるはず。これで32店舗目を制覇した。


住所:東京都足立区千住橋戸町10-8
ラーメン二郎 千住大橋駅前店ラーメン / 千住大橋駅南千住駅北千住駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2016年2月21日日曜日

Live at Finsbury Park : Rage Against The Machine



空耳アワーの常連として、今更ながらお茶の間に浸透しつつある Rage Against The Machine。2007年に再結成してワールドツアーを行いましたが、その後は新作リリースもせず活動休止状態。そんな彼らが昨年リリースしたライヴ映像作品がこちら。2010年6月にロンドン フィンズリーパークで行われたフリーコンサートを収録したもので、暴動寸前ともいえる盛り上がりっぷりに戦慄すら覚える。

そもそもは、UK在住の一般人であるモーター夫妻が仕掛けたfacebookキャンペーンがことの発端。オーディション番組「Xファクター」が輩出するアーティスト達がクリスマスシーズンのヒットチャートを牛耳っていることに業を煮やし、RATMの「Killing in the Name」を1位にしようとネットで呼びかけたのだ。するとみるみるうちに賛同者が増えていき、それを聞きつけた当のバンドは「1位を獲ったら収益を全てホームレス基金団体へ寄付し、フリーコンサートを約束する」と宣言。結果として、クリスマスにそぐわないような曲(タイトルは「大義名分のもとの殺人」の意)が1位を制し、翌年には晴れて80,000人集客のフリーライヴ開催の運びとなったのだ。2011年のエジプト革命のきっかけとなったのもfacebookであることから、ネットの持つ起爆力を改めて思い知らされる出来事だ。

ライヴの素晴らしさは言うまでもなく、ギターとは思えないトム・モレロの超絶プレイが凄まじい。The Crashの「白い暴動」をカバーしている姿にも胸が熱くなる。20年も前に登場したバンドなのに、時代を超越した足腰と革命思想には頭が下がる思いだ。しかしここで言っておきたいのはやはり「Killing in the Name」が2015年の空耳アワーで破壊力抜群のネタをドロップしたことだ。

「ナゲット割って父ちゃん」

この破壊力は彼らのライヴ演奏すら凌駕しており、俺たちの記憶に永遠と刻まれるだろう(下に空耳アワーの映像を貼っておきます)。




2016年2月17日水曜日

自家製麺 てんか


ラーメン店 群雄割拠の地と知られる横浜鶴見。その中でも、食べログ点数がハイスコアな名店「自家製麺 てんか」に行ってきました。開店前に到着したんですが、既に行列ができてるほどの人気店。汁なし担々麺なるものを食わせてくれるお店だそうですが、そもそも汁なし担々麺とは何なのか?油そば、まぜそば、台湾まぜそば、ピザソバなど数多くのラーメン亜種あれど、どうやら最近になって汁なし担々麺という新しいムーブメントが起きているらしい。その新しい潮流の中でも元祖を名乗っているこのお店、期待を寄せられずにいられません。




特製汁なし担々麺の並盛り(950円)の食券を購入。汁なし担々麺との違いは玉子とチャーシューが入っているか否か。玉子は温泉玉子か味付玉子を選べるので温泉玉子をチョイス。すると実に美しい盛り付けの一杯が着丼。手前から時計回りで解説しよう。山椒をはじめとする曼荼羅スパイスで味付けされた肉味噌、隠れて見えづらいが茹でキャベツが少々、粉々に粉砕されたナッツ、刻みネギ、温泉玉子、カイエンペッパー、2枚の巻豚チャーシューが盛りつけられている。正確に言うとチャーシューって焼豚を指すから、これは煮豚じゃないかな。お店がチャーシューと言っているからまあいいか。




この丼の底に沈んでいるスープとかき混ぜるべく、箸をぶっこんで豪快にまぜまぜ。もっちりした極太麺に、底に眠っていたスープ、まろみある温泉玉子やぴりっとした肉味噌が絡みつく。ずずっとお口に頬張れば、芝麻醤の甘味と各種スパイスの辛味が脳髄が突き抜けて、やがて痺れていくのを感じる。見た目は辛そうだったが、後を引く辛さなので無我夢中でズバズバ食らいつく。麺はもっちりモチモチした噛みごたえで、巻豚チャーシューはふわとろに柔らかく、全ての具材が絶妙なバランスを持って全体をサポート。なにこれ超絶に旨い!めくるめく担々麺ワールドが凝縮されているドラマティックな一杯だ!




お店の指南通り、7〜8割方食べたところでスープ割りをお願いすると…ダシで薄まったスープはまさしく旨みある担々麺スープ!一杯で二度美味しいアーモンドグリコみたいな麺だなおい!胡麻のクリーミーな甘みが増えて、食らいつくスピードが加速していくのを感じる。カプサイシン効果により顔面全体から汗を迸らせ、最期の一滴まで見事に汁完。食べ終わってからすぐ「ああ、また来たい」と思わせるスーパードラッギーな逸品だ。女将さんの優しい接客も最高です。

住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央2-9-17
ホームページ:http://t-tenka.jp/

自家製麺 てんかラーメン / 鶴見駅京急鶴見駅鶴見市場駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2016年2月13日土曜日

人間も動物 : 電気グルーヴ



映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-」が異例のロングランヒットに終わり、3月にリリースされるは特典付きBDと、そしてなんと「電気グルーヴ25周年記念ツアー“塗糞祭”」のダブルリリース。「塗糞祭」には数多くの縁の人が出演したことでも知られるが、中でも天久聖一画伯の勇姿が見られるかと思うとゾクゾクしてくる。破産覚悟で2枚購入するつもりです。

買うのはいいんだが「レオナルド犬プリオ」の記事で告白したように、放置プレイしていた「人間も動物」も黄金プレイしなければならない。購入してから2年半振りにパッケージを開封しました。

このライヴは「ツアーパンダ2013」最終日2013/3/13に
Zepp DiverCityで収録されたものであり、観客はわずか3人(うち一人は瀧の奥さん)だったという曰くつきのライヴ。しかもピエール瀧が舞台から転落し、救急車で運ばれたものの死亡というアクシデントがあったライヴだ。

レオナルド犬プリオ(過去の記事)と見続けて思ったんだけど、前者が攻撃性が高かったのに対し、本作は非常に完成度が高いというか、大人の余裕すら感じさせるライヴに。特典映像で卓球が話していたけど、ライヴ用にアレンジを変える理由はハコに最適化するため、という話が興味深い。アルバム音源を流すと音数が多くなるので間引いたり、ハコの大きさによって低音量を決めたり。その匙加減が重要らしいです。

舞台には彼らの顔型立体スクリーンが添えつけられ、プロジェクション・マッピングで効果的に演出。この頃はStarFes. 2013 (過去の記事)で彼らを観ていたんだよなあと述懐。今こうしてみると女子率が非常に高いことにも気づく。アンコールで「電気ビリビリ」を終えた後、終演アナウンスで観客が帰ろうとしていた時に、まさかの「Cafe de 鬼(顔と科学)」で観客を呼び戻す。こういう柔軟性とエンターテイメント性が彼ららしい。副音声も相変わらず、人生に貢献しないどうでもいい内容がダラダラ。これぞ電気グルーヴの極北なり。
 

2016年2月9日火曜日

As If : !!! (chk chk chk)



NYインディーズ・シーンにおける異端児であり、パンキッシュな精神性と肉体性をダンスグルーヴにねじ込ませることにかけては唯一無二の存在である!!!(Chk Chk Chk) 。昨年10月にリリースされた6thアルバムが非常にユニークな出来になっています。もともとは人力でダンスグルーヴを成立させているバンドですが、ここでは自分たちが叩き出した音を音楽編集ソフトウェア「Ableton Live」でエディット。そこから紡ぎだされた音へ、更に自分たちの演奏をかぶせるというこだわり。もともと彼らが偏愛していた70年代ディスコやファンクに加えて、80年代以降のハウス(そして時々テクノ)的要素が加わり、これまでで一番フロア直撃型アルバムとなった。相変わらず気持ち悪いボーカルも含めて、噛めば噛むほどジワジワくる一枚。

2016年2月5日金曜日

エクス・マキナ - Ex_Machina -



Beck をフィーチャーした The Chemical Brothers の「Wide Open」PVに激しく感動したので、ダンサーの女の子を調べたところ、ソノヤ・ミズノという女性がヒット。モデルでありバレリーナでもある日英混血の彼女は映画への出演歴もある。それが2015年に公開された「エクス・マキナ」です(ソノヤ・ミズノが主演ではないので誤解なきよう)。

米タイム誌が「2015年の映画トップ10」の10位に挙げているほどの出来の良さらしいんですが、残念なことに2016年2月になった時点でも日本未公開。AIをモチーフとした低予算SF映画ということで、あらすじを知れば知るほど観たくなってくる。やむなくAmazonで5,000円ほどの大枚を叩いてBDを購入しました。結論から言えば「買って良かった、素晴らしい」。

「Ex Machina」とはラテン語で「機械仕掛けの」という意味ですが、士郎正宗の「Appleseed Ex Machina」とは何の関連もない。アクション的な要素は皆無ですが、スタイリッシュで抑制の効いた演出が、人工知能の怖さを最大に引き出しています。

世界最大の検索エンジン企業で働く主人公ケイレブ。社長ネイサンの自宅にご招待、という社内公募に当選し、人里離れた山奥の豪邸に1週間滞在することになる。そこでケイレブは秘密保持契約の締結を求められ、ネイサンが開発した美少女型 AI エヴァへのチューリングテストを依頼される。

チューリングテストとは、マシンが人工知能であるか否かを判断するためのテストで、実際にロシアのスーパーコンピュータが2014年に合格している(人間と間違われたのだ!)。

エヴァの知性は検索エンジンで収集されたビッグデータによって構成されており、問答や仕草は極めて人間的だ。カメラによる監視下で、テストの最中に何度か停電が起きる。監視されないタイミングをいいことにエヴァはケイレブを誘惑し、脱走をそそのかす…。

ここで提起されているのが、普遍的でありながら新しくもある「肉体を持たない意識体は人間なのか?」というテーマ。人工知能の反乱というモチーフは「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」、「ターミネーター」からありますが、よもや現実の世界で起きつつあるのが恐ろしい。

ちなみに社長ネイサンを演じているのはオスカー・アイザック。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」で反乱軍エースパイロットであるポー・ダメロンを演じた人です。


2016年2月1日月曜日

立川マシマシ ロイヤルスープ


数多の二郎インスパイア系の中でも、ひときわ異彩を放つ「立川マシマシ」(過去の記事)。身も蓋もない店名もさることながら、凶暴性に満ちたそのボリューム、本流と一線を画しながらも品質の高いジャンクな味わいが人気の理由だ。とりわけ、途方もない物量の麺を豆腐に変更できるというオプションも、健康志向のユーザには嬉しいサービスだ。


最近では立川本店のみならず、青梅に「立川マシマシ 秘密工場」を構え、都心には神田駅前店5号店(お茶の水)といった支店をオープンさせる破竹の快進撃を続けている。加えて、町田市の鶴川にも「立川マシマシ ロイヤルスープ」という店をオープンさせている。今回はこちらへ、異次元すぎる新メニュー「マシライス」を試すために訪問してきた。

食券機には何故か「マシライス」のボタンがない。店の前には幟がばっちりはためているので裏メニューというわけでもあるまい。どうやらラーメンの食券を買ってから「マシライスで」とお願いするシステムになっているそうだ。マシライスには豚が搭載されていないので、豚マシの食券も追加購入。



着席するとライスの量を尋ねられるので普通でお願いした。しばし待つと……二郎インスパイア系の最終形態、圧倒的なメタモルフォーゼを誇るマシライスが着丼。大ぶりのブタ、ニンニク、紅しょうが、たまごの黄身が添えられた、カレーライスのような料理が銀皿に盛られている。




このカレーのルーみたいなものがマシライスの本質だ。粗い豚挽肉と背脂がピリッと辛めに味付けされたヤツ、こいつはルーと言っていいのか?いや、ルーと言うには生易しいので便宜的に「こいつ」と呼んでおこう。こいつに卵黄・ニンニク・紅しょうがを混ぜ込み、一口食えば獰猛なアブラ感覚が五感を襲う。ほろほろ柔らかい高評価なブタ(これがまた旨い)を喰らいつつ、二郎系スープを煮詰めて凝縮してアブラまみれにした「こいつ」とライスを頬張る。


お米は上質のものを使っているんだろう、炊き加減がちょうど良くて美味しいぞ。すると、自分の中で眠っていた野性が目覚めていくのを感じる。この覚醒していく感覚は何なのだ?言い換えると「胸焼け」という文字がぴったりくる。食べているそばから胸焼けしていくのだ。さっぱりした中華系スープで口の中をすっきりさせるも気休めにしかならない。もはや二郎系という次元をはるかに超越し、異次元の食い物となっているマシライス。これは食事というよりも、ある種のエクスペリエンスといっても過言ではあるまい。 


住所:東京都町田市金井町2005-1
立川マシマシ ロイヤルスープラーメン / 鶴川駅玉川学園前駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6