2016年4月29日金曜日

ぼっけもん


2015年8月に地元あざみ野でオープンした「ぼっけもん」に行ってきました。高いクオリティの味噌ラーメンを食わせる「雅楽」(過去の記事)が2年ほど前、最近では駅に有名店「つけめんTETSU」が出来るなど、あざみ野界隈のラーメン事情はようやく充実してきたようです。さて今回の「ぼっけもん」は駅から数分、雑居ビルの奥手にあります。




醤油、味噌、塩の各種を揃えていますが、ここはやはり一番の推し麺である「味噌ラーメン」(780円)を頼むべきなんでしょう。濃厚豚骨味噌ということです。なるほど駅を中心として対角線上にある「雅楽」に真っ向勝負を挑んでいるようです。




麺の固さを指定できるので、かためでお願いしました。ニンニクの有無を聞かれますが、いわゆる二郎系のそれではないよう。野菜炒めにニンニクを投入するか否かのようですが、その野菜炒めは火柱が立つ鉄鍋で炒められたもやし中心。中華料理屋の炒め物と同レベルの極めて高いクオリティ。チャーシューは薄めだが生姜がほんのり香って、トロリと柔らかいもの。ほうれん草のおひたしも搭載されています。




隣の客がスープを一口啜って「ああ…」と溜息をついていたのが印象的。どれどれ啜ってみると…スープは豚骨ベースで、味噌がほんのりと香る。ドロリッチで濃厚なんだけど、最期の一滴まで汁完できるような旨味溢れるスープ。なるほど溜息つきたくなるのも分かる旨さ。もっちりした縮れ太麺は噛みごたえ抜群で、スープがねっとりと絡みまくる。「雅楽」が提案する味噌ラーメンとはやや異なり、濃厚度で言えばこちらの方が上。甲乙つけがたい勝負ですが、お互いのシナジーであざみ野ラーメン事情を盛り上げてもらいたいですね。


住所:神奈川県横浜市青葉区あざみ野2-9-10 野本ビルディング1F

ぼっけもんラーメン / あざみ野駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2016年4月25日月曜日

Constellations Of Music : Cornelius



去年8月にリリースされた Cornelius ワークス集。これまで CM というリミックスワークス集を複数リリースしていましたが、今回はリミックスだけでなく新曲、プロデュース作品、コラボレーション作品を収録しているのが特徴。アルバムタイトルの頭文字が CM となっているのも粋な演出ですが、点在した音たちを星座のようにつなぎ合わせたのが主旨とのこと。


まず、冒頭の「Escalator Step」でいきなり面食らう。地方のスーパーマーケットで流れているような変態的イージーリスニング音楽。しかも Cornelius は曲作りに関与しておらず、Buffalo Daughter の 大野由美子に全面発注。こういった既成ルールの逸脱っぷりが実にまたCornelius らしい。Cornelius が関与しているユニット salyu × salyu のトラックも本作の世界観を補完しており、一連の攻殻機動隊サントラで見せた緊張感とは異なるモードを提示。


なかでも注目すべきはサカナクション「Music」の Cornelius Remix。オリジナルはベース以外すべて電子音なのに対し、リミックスではベースのみをシンセとし、アコースティックのみで世界を再構築。これによりメロディと歌詞の持つ美しさ、山口一郎によるボーカルの素晴らしさが際立つ結果に。これまで大した興味を持ってなかったサカナクションが俄然気になる存在になってきました。リミックスとはかくあるべきもの、というお手本のようです。


Tracklisting

01. 大野由美子 / Escalator Step *新録 
02. 坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura /幽霊の気分で(Cornelius Mix) 
03. The Bird And The Bee and Cornelius / Heart Throbs And Apple Seeds 
04. salyu × salyu / Hammond Song 
05. Cornelius / Holiday Hymn *新録 
06. Korallreven / Try Anything Once (with Cornelius) 
07. Cornelius / Night People 
08. Penguin Cafe / Solaris (Cornelius Mix) 
09. Gotye / Eyes Wide Open (Cornelius Remix) 
10. Plastic Sex / The End 
11. サカナクション / Music (Cornelius Remix) 
12. Cornelius / Tokyo Twilight *新録 
13. salyu x salyu / May You Always *新録

2016年4月22日金曜日

プリンス


目が覚めてスマホを見ると、在米プリンス好きの友人からメッセージが。「朝目が覚めたらとても信じられないニュースを聞くことになる。。。」と書かれていた。ものすごく悪い胸騒ぎがした。Yahoo!ニュースから次のような見出しが飛び込んできた。

プリンスさん急死

「プリンスにさん付けするんだ、そうだよね…」と違和感覚えながら最悪のニュースを目にした。吐き気がした。

インフルエンザによる体調悪化で、公演をキャンセルしたというニュースは知っていた。プリンスらしくないな…と思いつつも、元気になってペイズリーパークで自転車に乗っている、というニュースを聞きホッとしていた。でもこの写真が最後になるなんて…。

小さくて赤いコルヴェットじゃなくて、紫のバイクでもなくて、自転車に乗って逝ってしまったのかよ…。

何だこの感情。身内を亡くした悲しみとも違う、恋人との別れとも違う、得体のしれない喪失感。思えば30年以上、俺の魂はプリンスとともにあった。全てを愛していた。音楽だけじゃなく、気持ち悪い外見も、髭も、ひどいビジュアルセンスも、可愛いおしりも、胸毛も。全部愛していたのに!そう、プリンスは俺の全ての拠りどころで、魂の一部だった。

今日一日はプリンスに思いを馳せないようにした。泣くなんてものじゃなくて、そこらへんで号泣してしまうだろうから。いま家にいて、号泣してこれを書いている。

世界が紫に染まればいいのに!

プリンスは自転車の向こうに何を見たのかな?夜明けは見れたのかな?さようならプリンス。

May Prince live 2 see the dawn.

2016年4月17日日曜日

めん処 樹


二俣川で免許更新した帰り(地元警察署で更新しなかったのかよ?という野暮な質問はしないで欲しい。ゴールド免許をゲットしたことは一度もないのだよ…)、電車が特急通過待ちで星川駅に停車。ラーメンを食べる気はさらさら無かったのだが、脊髄反射的に電車を飛び降りた。身体が呼び寄せられたと言ってもいいぐらい唐突に。そう、前々から行ってみたかった行列ができる名店「めん処 樹」だ。駅から徒歩10分ほど、店の前には誰もいない…が!隣の駐車場内にはばっちり行列ができていた。待っていると注文を聞かれたので「醤油らあ麺」(700円)で。大盛無料ということなので、喜んでお願いした。店内で改めて食券を買う必要があるので、味付け玉子(100円)も追加で。




ご夫婦であろうお二人が手際よく切り盛りしてします。そんな姿を漫然と眺めていたところへ実に美味しそうな一杯が着丼。煮干し、鰹、鯖の三位一体スープということです。この他に一番人気というつけ麺や、塩つけすっぱ麺、味噌つけ麺、塩らあ麺といったメニューも。さて具材を解説すると、香ばしさがアクセントとなる焦がしネギ。細めのメンマはコリとして上品な味わい。黄身がとろりと甘い味付玉子は味が染みて実に美味い。チャーシューは小ぶりながらも、しっとりした旨味が感じられる柔らか豚ロース。他には海苔、水菜に刻みネギなど。この時点で作り手の丁寧さが感じられた。




スープは魚介系メインながらも鶏がらだしが屋台骨を支え、繊細なだけじゃなくしっかりとした旨味が感じられる醤油味。清涼感があるのに奥深いコクもあり、完成度が極めて高くて、店の実力と人気を思い知る。自家製麺は中細でやや縮れており、多加水ゆえにぷりっぽんとした素晴らしい歯応え。オーソドックスな醤油ラーメンなのに、随所に丁寧な仕事ぶりが感じられる。スープと麺が高次元でオーケストレーションしており、お店が掲げている「一麺入魂」も伊達じゃない。絶品という単語はこの店のためにあるんじゃないか?汁完した瞬間に、もう一杯食べたくなってしまう気分を久々に味わった。他のメニューも実に気になるところだ。


めん処 樹ラーメン / 天王町駅星川駅西横浜駅
夜総合点★★★★ 4.0
昼総合点★★★★ 4.0

2016年4月13日水曜日

Vulnicura Strings : Bjork



目下のところ最新作の「Vulnicura」(過去レビュー)のストリングス・バージョンである本作が昨年11月にリリースされています。その名の通り、ARCA等が創造した異型ビートをオリジナル曲から一切排除したストリングスオンリーな音の群れ。ただし単純にビート排除したのではなく、世界に一つしか存在しないという「ヴィオラ・オルガニスタ」という楽器を使っているとのこと。

この「ヴィオラ・オルガニスタ」とはレオナルド・ダ・ヴィンチが発明したとされる楽器で、外観はピアノのようだが音色は複数の弦楽器のよう。音色を確かめたい人はこちらの動画を見て下さい、とにかく不思議な楽器だから。

元々ストリングスとの親和性が高い Bjork だけあって、彼女の歌声が持つ力強さ、曲が持つ荘厳さ、アルバムが持っているエモーションがここで浮き彫りになっています。ストリングスも単に荘厳というだけでなく、アヴァンギャルド性を持った艶めかしい演奏になっています。

2016年4月9日土曜日

ラーメン豚萬


金沢八景駅から「ラーメン 神豚 六浦関東学院前店」(過去の記事)を目指して下って行く途中、「ラーメン豚萬」という非常に縁起のいいラーメン店を発見した。「ラーメン 神豚」の記事では「我が国には八百万の神々がいる」などと書いたが、どうやら豚も八百万まで及ばないものの一万はいるということだ(ここを訪問したのが2015年12月だったが、どうやら今は閉店しているという情報もある)。




お店は空席が目立っているが、近くにある「ラーメン 神豚」は山の賑わいなので立地のせいには出来ないだろう。何はともあれ、ぶた2枚が入っている小ラーメン (740円)をニンニクヤサイアブラで注文したところ、お店の名に恥じぬ猛々しさメガマックスな一杯が着丼。この時点で戦意喪失してしまうが、「ラーメン 神豚」を意識した盛りゆえにこの挑戦は受けて立たねばといったところ。キャベツ比率が高いシャキシャキ度満点ヤサイを着実に減らしにかかる。




ヤサイに振りかけたスープはやや乳化しているものの、甘み控えめ豚骨醤油で二郎系の中でも打撃力控え目のライトなもの。豚はローリングな肉厚系が2枚とほぐし系がたっぷり。ぼそっとしているが、噛めば粉々に粉砕されるほど柔らかい。一般的なブタとはやや異なり、スモーキーな香りがするのは好みが分かれるところ。




麺は鋭くエッヂが立っており、ややうねりが入っているもののストレート系の中太麺。ガチと硬めに茹で上げられており、噛みしめるにつれて脳内満腹中枢が満たされていくのが分かる。オーションの持つグルーヴにより、あっという間に胃袋が膨満していく。二郎インスパイア系の中でもハイレベルな物量を誇っており、ヤサイマシにしなくても十分腹いっぱいになるボリュームだ。やるき々で挑戦したものの四苦八苦して腹、胃袋は大足かつ本人は悦至極、身で二郎系を喫した。


ラーメン豚萬ラーメン / 金沢八景駅六浦駅
夜総合点★★★☆☆ 3.6
昼総合点★★★☆☆ 3.6

2016年4月5日火曜日

DEBUT AGAIN : 大瀧詠一



戦後ジャパニーズポップス史を語るにあたって外せない存在の大瀧詠一 氏。逝去して早2年、ナイアガラな人たちにとって特別な日3/21には未発表音源集がリリースされました。レーベルは「待望のニューアルバム!?」なんて謳っているけど、逝去後に発掘されたセルフカバー音源を集めたもの。

こんな墓場荒らしの商売に加担するものか!こんなものを発表して故人は喜ぶとでも思っているのか!生前だったら絶対にリリース許可しないしろものだぞ!

と憤りながら、結局は買ってしまいました。だっていつ廃盤になるか分からないし、初回限定盤にはボーナスディスクが付いているし、これを買い逃したら物凄く後悔するだろうし…と逡巡の末ポチリ。聴いてみたら思いの外よく出来ている。というか、制作陣の苦労や葛藤が伝わってくる曲順になっていました。アナログのA面とB面を意識しており、A面の最後に「Tシャツに口紅」、B面の最初に「探偵物語」を持ってくる曲順にニヤリ。でも「風立ちぬ」の「ヘッドフォン・コンサート」音源はいただけないなあ。まずは昭和歌謡史を彩った名曲群に思わず涙ぽろりとなるのでした。

そして初回限定盤の価値を最大限に高めているのがボーナス・ディスク。80年代中期から約10年間、半隠遁生活を送っていた大瀧氏ですが、90年代中期から活動を活発化。渡辺満里奈に「うれしい予感」(過去レビュー)を提供したり、自身もオリジナル曲「幸せな結末」をリリースしたり。その前後に行われたのが伝説のナイアガラ・リハビリ・セッション。この音源がとうとう陽の目を浴びたのです。ナイアガラ初期の「Niagara Moon」や「Go! Go! Niagara」を髣髴とさせるオールドスクールなロックンロールカバー。参加ミュージシャンのクレジットがないのは残念ですが、超一流な布陣が集められたのは想像できる。フォーキーでアーシーでカントリーな滋味深いロックンロールカバーこそ大瀧詠一のルーツだったと再確認。細野晴臣がこの路線を打ち出して独自の存在感を発揮している今、大瀧御大もこういう方向に進んでくれれば良かったのにナァ、と考えても仕方ないことを考えたり。そしてボートラ最後を締めくくるのは植木等に提供した「針切じいさんのロケン・ロール」。ちびまる子ちゃんのエンディングテーマとして使われましたが、これこそナイアガラ・ノベルティ・サウンドの傑作。スーダラでロケンローな佇まいは何度でもリピートしたくなる。

こういった未発表音源集もいいんだが、廃盤になっている「DEBUT」とかレア集「DAWN IN NIAGARA」、「MORE NIAGARA FALL STARS」、「MORE MORE NIAGARA STARS」あたりを蔵出ししてくれればいいのにナァ。

[Disc-1]

01.熱き心に
02.うれしい予感
03.快盗ルビイ
04.星空のサーカス
05.Tシャツに口紅
06.探偵物語
07.すこしだけやさしく
08.夏のリビエラ -Summer Night in Riviera-
09.風立ちぬ
10.夢で逢えたら (Strings Mix)

[Disc-2]

01.私の天竺 My Blue Heaven
02.陽気に行こうぜ~恋にしびれて(2015村松2世登場!version)
03.Tall Tall Trees~Nothing Can Stop Me
04.針切じいさんのロケン・ロール The Purple People Eater


2016年4月1日金曜日

ラーメン二郎 環七一之江店



バブル経済とともにピークに達した環七ラーメン戦争。「土佐っ子ラーメン」や「なんでんかんでん」など数多くの名店が環七の山手側を盛り上げていた。今となっては考えられないが、夜になると客の路上駐車により渋滞ができるほど。その後、バブル崩壊とともに多くの店が消えてしまったが、今や環七といえば「ラーメン二郎 環七新新代田店」(過去の記事)に始まり、時計回り(外回り)の最果ては「ラーメン二郎 環七一之江店」で終わる。 そう、東京都心は環七にある2つの二郎によって結界が作られているのだ。一之江駅から環七沿いを南下して徒歩1分、環七一之江店には今日も今日とて巡礼者が列を作っていた。




ぶた2枚入りの小ラーメン(650円)を注文。他店と比べて少なめと聞いていたので、ニンニクヤサイアブラを躊躇なくお願いした。ヤサイはキャベツ比率高めでややクタ気味だが、シャキ加減も残っている絶妙な茹で加減だ。キャベツがアピールする美しい緑色、頂上に搭載されているコラーゲンたっぷりなアブラの茶色、細かく刻まれたニンニクの黄色の3色が美しい。いつもなら着丼の瞬間に武者震いしてしまい、じっくりと目で味わうこともないのだが、少なめという抑止効果により食前観察を楽しむことができる。そう!目で味わうことが大切なのだ。




順調にヤサイを減らし、天地を返してブタをご尊顔。やや小ぶりではあるものの肉々感があり、味付けはやや控えめながらもじわり煮込まれて味わい深い。微乳化スープはエフゼットの主張がやや弱めで、豚骨のアブラやダシが全体を支えるといったもの。油断すればスイスイ飲めてしまう程ライト寄り旨味スープだ。他店に比べて細めの縮れ麺はヤワメに茹でられており、モチリとしているものの王道的なメガメガしさは無い。味のバランスは総じて良く、ボリューム控えめ故に余裕持ちながら二郎テイストを堪能できる。ハードルが低く設定されているので、二郎初心者やファミリー層には最適なお店と言えるだろう。近所にあれば毎日足を運びたくなる優しさがここにはあった。

ラーメン二郎 環七一之江店ラーメン / 一之江駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7