2016年4月5日火曜日

DEBUT AGAIN : 大瀧詠一



戦後ジャパニーズポップス史を語るにあたって外せない存在の大瀧詠一 氏。逝去して早2年、ナイアガラな人たちにとって特別な日3/21には未発表音源集がリリースされました。レーベルは「待望のニューアルバム!?」なんて謳っているけど、逝去後に発掘されたセルフカバー音源を集めたもの。

こんな墓場荒らしの商売に加担するものか!こんなものを発表して故人は喜ぶとでも思っているのか!生前だったら絶対にリリース許可しないしろものだぞ!

と憤りながら、結局は買ってしまいました。だっていつ廃盤になるか分からないし、初回限定盤にはボーナスディスクが付いているし、これを買い逃したら物凄く後悔するだろうし…と逡巡の末ポチリ。聴いてみたら思いの外よく出来ている。というか、制作陣の苦労や葛藤が伝わってくる曲順になっていました。アナログのA面とB面を意識しており、A面の最後に「Tシャツに口紅」、B面の最初に「探偵物語」を持ってくる曲順にニヤリ。でも「風立ちぬ」の「ヘッドフォン・コンサート」音源はいただけないなあ。まずは昭和歌謡史を彩った名曲群に思わず涙ぽろりとなるのでした。

そして初回限定盤の価値を最大限に高めているのがボーナス・ディスク。80年代中期から約10年間、半隠遁生活を送っていた大瀧氏ですが、90年代中期から活動を活発化。渡辺満里奈に「うれしい予感」(過去レビュー)を提供したり、自身もオリジナル曲「幸せな結末」をリリースしたり。その前後に行われたのが伝説のナイアガラ・リハビリ・セッション。この音源がとうとう陽の目を浴びたのです。ナイアガラ初期の「Niagara Moon」や「Go! Go! Niagara」を髣髴とさせるオールドスクールなロックンロールカバー。参加ミュージシャンのクレジットがないのは残念ですが、超一流な布陣が集められたのは想像できる。フォーキーでアーシーでカントリーな滋味深いロックンロールカバーこそ大瀧詠一のルーツだったと再確認。細野晴臣がこの路線を打ち出して独自の存在感を発揮している今、大瀧御大もこういう方向に進んでくれれば良かったのにナァ、と考えても仕方ないことを考えたり。そしてボートラ最後を締めくくるのは植木等に提供した「針切じいさんのロケン・ロール」。ちびまる子ちゃんのエンディングテーマとして使われましたが、これこそナイアガラ・ノベルティ・サウンドの傑作。スーダラでロケンローな佇まいは何度でもリピートしたくなる。

こういった未発表音源集もいいんだが、廃盤になっている「DEBUT」とかレア集「DAWN IN NIAGARA」、「MORE NIAGARA FALL STARS」、「MORE MORE NIAGARA STARS」あたりを蔵出ししてくれればいいのにナァ。

[Disc-1]

01.熱き心に
02.うれしい予感
03.快盗ルビイ
04.星空のサーカス
05.Tシャツに口紅
06.探偵物語
07.すこしだけやさしく
08.夏のリビエラ -Summer Night in Riviera-
09.風立ちぬ
10.夢で逢えたら (Strings Mix)

[Disc-2]

01.私の天竺 My Blue Heaven
02.陽気に行こうぜ~恋にしびれて(2015村松2世登場!version)
03.Tall Tall Trees~Nothing Can Stop Me
04.針切じいさんのロケン・ロール The Purple People Eater


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