2016年7月22日金曜日

night thoughts : Suede


night thoughts : Suede


Bloodsports」から3年、Suedeの持つ刹那と耽美は永遠のものになってきた。作品毎にポジティヴィティとダークネスの比率が異なっているのは彼らの常だが、全作品を貫いている美学は徹底的に提示され続けている。その美学、つまりSuedeであることに拘りつつ、ダークで美しい世界を構造的に作り上げたのが本作だ。


個々のトラックがしなやかに形を変え、美しく寄り添いながら厳かに響いている。リプライズを繰り返す結果、作品全体が一つのコンセプトを持ったアルバムへと昇華している。アルバムを一つの作品として提示することで、楽曲が使い捨てのように消費されるシーンにアンチテーゼを示しているとしか思えない。緻密に練り上げられた全編を通して聴こえてくるのは、闇の深淵から、暗闇の海から浮かび上がってくる、咽び泣くようなメランコリアだ。再結成したバンドとは思えないほど、グラマーな感覚が増した傑作だ。

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