2016年10月26日水曜日

レヴェナント : 蘇えりし者



遅ればせながらレンタルで観たんですが、間違いなく今年最高の映画。そりゃあ数多くの部門でオスカーを受賞した作品だから当然なんですが。監督は「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に次いで2年連続でアカデミー監督賞受賞という有り得ない栄誉を手にしたアレハンドロ・G・イニャリトゥ。この人は過去に「21グラム」やバベル」と言った名作を手掛けた人なので、是非そちらもご覧いただきたいところ。

物語の舞台は1823年のアメリカ。西部開拓時代にあった実話を基にしています。毛皮狩猟者たちがネイティヴアメリカンと敵対する中で、実在した人物だったヒュー・グラスが熊に襲われ瀕死の重傷を負う。仲間たちから見捨てられ、息子を仲間に殺され、極寒の地でのサバイバルの果てに命を取り留める。これは一人の男の喪失と再生の物語だ。映像美をサポートし続ける、坂本龍一と Alva Noto による冷徹で控えめなオーケストレーション/エレクトロニカも素晴らしい。

この映画で欠かせないのが、言うまでもない俺達のレオナルド・ディカプリオ。人気絶頂前に出演した「ギルバート・グレイプ」でアカデミー助演男優賞にノミネートされた実力派にも関わらず、その後出演した「タイタニック」でアイドルの烙印を押された故に、無冠の帝王として君臨し続けてきたデカ。狂気を感じさせる俳優としてはロバート・デ・ニーロやアル・パチーノの流れを汲んでいるだろう。

その後はスコセッシ監督の名作群やクリント・イーストウッド、クリストファー・ノーラン、クエンティン・タランティーノといった名匠のもとでで素晴らしい演技を披露してきたにも関わらず、オスカーから見放され続けてきた俺達のデカ。まさにこの作品の主人公と同じく、デカは喪失を乗り越えて見事に再生したのだ。彼がオスカー受賞した時、僕も心から嬉しくなったよ。

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