2016年10月14日金曜日

Transport : Juan Atkins & Moritz Von Oswald Present Borderland



この惑星のテクノ中心地として機能し続ける聖地 ベルリンとデトロイト。とりわけベルリンの地下から機能美に溢れた音を発信し続けてきたのが老舗クラブかつレーベル  Tresor であり、ベルリンの壁崩壊直後から営業し続けて四半世紀が経過した。今月には渋谷 Contact でも25周年記念イベントが行われるが、この祝祭に一番の彩りを添えるのが本作。

ベルリン ミニマルダブ総帥であり Basic Channel や自ら率いるトリオで重低音を鳴らし続ける Moritz Von Oswald、かたやデトロイトテクノのリアルな源流であり続ける Juan Atkins。彼らが3年前に「Borderland」という作品でタッグを組んだのは記憶に新しいが、今回は前作名をユニット名に冠して再び惑星降臨。

この作品では四半世紀の時を越えて2大聖地を繋いでおり、地球の中心まで響き渡る重低音と、数光年先まで意識を飛ばされるコズミックな音が調和を取っている。叙情的な感情は一切排除され、両者の鳴らす音が過不足なく融和されており、不可逆的芸術領域に達していると言っていい。単なるミニマルダブとして機能しているのではなく、フロア対応の要素が注入されていることで、過去25年のテクノを総括している仕上がり。名匠2人にしか創り上げられない作品なのは確かで、テクノとは一過性の音楽ではなくエバーグリーンな輝きを放ち続ける文化であることを証明している。

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