2016年11月21日月曜日

この世界の片隅に


この世界の片隅に

能年玲奈 改め のん が完全復活の狼煙を上げた本作を観てきました。独立に伴うごたごたで、表舞台からしばらく遠ざかっていたのをヤキモキして見ていましたが…やはり凄いね、のんさん。天賦の才があるとしか思えん。あまちゃんでは天野アキを演じるために生まれてきたんじゃないの?と思ってましたが、本作のすずさんでも同じことを思う。すずさんを演じれるのはのんさんしかいない。圧倒的な存在感を放っていた、のんにしか放てない輝きがあった。

戦時下の広島・呉を舞台にしたこの映画、非日常な時代でのささやかな日常が描かれていますが、ふんわりした色彩とタッチ、独特のペーソスを持った演出が実に心地いい。淡々と物語は進み、大切なものを失いながらも暦は昭和20年8月へとめくられていく。「あまちゃん」では3/11に向かって話が進んでいったけど、この話では8/6に向かって話が進んでいく。日本人が知っているその日へ、日常は進んでいく。

戦争が終わっても、淡々と日常は進んでいく。草花、虫、景色や食べ物が柔らかく描かれているからこそ、戦争の残酷さが際立ってくる。一秒一秒すべての瞬間が愛おしくて抱きしめたくなる。お涙頂戴な話じゃないんだけど、周りの人はみんな(僕も)ぽろぽろ泣いていたよ。観終わってから大慌てで原作を読んだけど、オリジナルに忠実なばかりか、世界観をさらに拡張している見事さに気づきました。この間の記事で「間違いなく今年最高の映画」と書いたけど、ごめんこっちの方が最高でした。

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