2017年1月14日土曜日

わたしが鳴こうホトトギス : 戸川純 with vampillia



年が明けてブログ更新意欲が全く薄れてしまったんですが、1/13(金)での恵比寿リキッドルーム 戸川純35周年記念LIVE「わたしが鳴こうホトトギス」を観ての衝撃を受けて更新する次第。

まずはこのアルバム、デビュー35周年を記念して2016年12月にリリースされたもの。「lilac」で共演した Vampillia がアレンジと演奏面で全面関与したセルフカバーアルバムで、個人名義では12年ぶりの新曲となる「わたしが鳴こうホトトギス」が収録されている。

これはもう新作と言っていいぐらいの刷新ぶりで、インダストリアルでノイズで甘美な Vampillia の演奏により過去の名作が完全アップデートされている。まずは「赤い戦車」の強烈なツインドラムで復活を印象づける。「好き好き大好き」では無垢な歌声から虹色のファルセットボイスを経て、ドスを効かせ「愛してるって言わなきゃ殺す」と脅す。「バーバラ・セクサロイド」や「肉屋のように」は Vampillia 抜きではこうならなかっただろう、美しい轟音が響くハードコアチューンへと変貌。「蛹化の女」では樹液のような粘着質インダストリアルビートが滴り落ち、現代モードへの目配せを忘れない。

「12階の一番奥」で孤独な魂を鷲掴みにし、「諦念プシガンガ」で純ちゃんの根底にあるであろう思想「諦め」を歌い上げる。「Men's Junan」ではロールしまくる吉田達也のドラムが甘美なヴァイオリンの調べ、唸りまくるノイズ、変貌し続ける純ちゃんのボーカルを支える。「わたしが鳴こうホトトギス」では「何年経つても鳴ひてゐやふ」と歌い続けることを高らかに宣言し、この曲を聴く度に涙が勝手に流れてしまう結果に。そして過去最高のピュアネスに満ちた「怒涛の恋愛」で再落涙。戸川純と vampillia が呼応し合った、邂逅のような化学反応を起こした傑作だと思う。

さて、前述のリキッドルームライヴは本当に素晴らしく、純ちゃんへの vampillia のリスペクト精神、純ちゃんを支え続けるオーディエンスの愛が満ち溢れた最高のライヴだった。途中でいきなりのうがい休憩で席を外し、残された vampillia の狼狽ぶりを見ても、それを支える観客たちの優しい眼差し。へろへろなMCで大丈夫かな?と固唾を呑んで見守るが、曲が始まった瞬間に会場の空気を一変させる純ちゃんのボーカル。「Men's Junan」でとちりまくっても演奏面でサポートするバンド。すべてが本当に美しくて、ライヴ中ずっと涙が止まらなかった。Twitterを見ると泣いていた人がかなり多かったことに気づく。間違いなく人生の美しい瞬間だったよ。

Setlist

01.わたしが鳴こうホトトギス
02.lilac 
03.赤い戦車
04.肉屋のように
05.好き好き大好き
06.蛹化の女
07.12階の一番奥
08.バーバラ・セクサロイド
09.諦念プシガンガ
10.Men’s JUNAN

アンコール

11.怒濤の恋愛
12.赤い戦車

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