2015年7月30日木曜日

秋もと


ここ最近、市ヶ尾で脚光を浴びている新店「秋もと」に行ってきました。市ヶ尾で美味しいラーメン屋と言えば「たかせ」(過去の記事)ぐらいしか思いつかないので、不毛の地に緑の苗を植えるが如く登場する店は大歓迎です。駅から歩いてすぐという好立地にありますが、開店直後の12:00に行ったにも関わらずご覧の通りの行列。今年の5月にオープンしたばかりなのに、早くも人気行列店となっていました。6席しかなく回転率がよくないので、結果30分ほど並ぶ羽目になってしまいました。




お店が提供するのは醤油、塩、つけ麺の3種。その中でもパワープッシュされているのが特製醤油(950円)で、丸鶏と鰹の淡麗スープということです。迷わずこの食券を買ってしばし待つと、具材が豪華に搭載されたリッチテイスト溢れる一杯が着丼。チャーシューには鶏胸肉と豚バラ肉が使われており、前者はしっとり後者はとろりと旨味が凝縮されており、いい仕事をしていると感じます。2つ投入されたワンタンは皮がツルモチ、生姜がほんのり香る餡は上品な味わい。味玉は味がじんわり染みており、甘みも申し分ない。他には刻み玉ねぎ、水菜、メンマなど。




スープ表面には香味油が張られているので、スープ温度は熱々です。なるほど鶏がらが全体の骨格を成しながら、鰹だしの味わいが鼻孔をくすぐり、カエシに使われている醤油だれが豊潤さを醸し出す。淡麗すぎず、リッチなコクを楽しめるスープ。表面がつるりとした三河屋製麺の平打ち縮れ麺は多加水で、もっちり滑らかな喉越しを堪能できます。麺を食べ進むにつれ、トッピングされた刻み玉ねぎがスープにまぶされ、啜ると適度なアクセントになるのも好感度大。全てにおいて丁寧に仕上げられているので、また足を運びたくなってくる。行列が約束された店なので、空いている時間帯を狙いたいです。


秋もとラーメン / 市が尾駅江田駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年7月27日月曜日

Sounding Lines : Moritz Von Oswald Trio



賢者と呼ぶに相応しい、ミニマルダブの始祖である Moritz Von Oswald。そんな彼が結成したスーパートリオグループの作品をこれまで何度か取り上げてきましたが、今回はドラム担当の Vladislav Delay が離脱した代わりに、ナイジェリアのドラマーである Tony Allen が参加。アフロビートの創始者としてあまりにも有名なフェラ・クティと共に行動し、現代もなお Rocket Juice & the Moon (過去レビュー)に参加するなど精力的なミュージシャン。しかもミックスを Ricardo Villalobos が手がけており、ミニマルの極北とも言える仕上がり。なおかつジャズやファンクなどのエッセンスが練りこまれ、ダビーな音と図太いベースの鳴り響きと相まり、様々なジャンルを超越した異質な音楽を提示しています。アンダーグラウンドミュージックの事件とも言える超問題作にして、今年の最高傑作レベル。

2015年7月24日金曜日

いし井 五反田店


当ブログで何度か言及していますが、西五反田~大崎広小路界隈はラーメン店密度が非常に高い。最近では煮干系の最右翼である「凪」(過去の記事)が出店したり、「ラーメンタロー」(過去の記事)まで参戦したり、新旧入り乱れての戦国時代へと突入しています。そんな中、2年ほど前にオープンしたお店にようやく足を運びました。銀座に本店があるお店の支店ということですが、すなわち西五反田も激戦区と認められたということでしょう。




メニューの中核を成すのが中華せいろ(つけめん)と中華ソバ(ラーメン)。このような場合、ラーメンを注文するのが通例となっているので、中華ソバ(上)の食券を購入です。950円というなかなかいい値段ですが、裏を返せばお店の自信が伺えるというもの。




料亭のようなカウンターで待っていると、美味を約束しているかのような美しい一杯が着丼。比内地鶏を使っているというスープを啜ると、鶏白湯スープを濃厚にしたようなダブルスープの香りがお口の中を駆け抜ける。煮干や鰹などの魚介系の香りも添えられ、濃厚かつ上品な味にやられる。海苔とメンマが添えられて、味付け玉子はじんわり甘く煮込まれて、豚ロースを使ったチャーシューは適度な歯ごたえと柔らかさがある。全てにおいてクオリティが高い上品な味。




麺をリフトアップすると、黄色がかった中太ストレート麺が顔を出す。しっかりした食べ応えながら、小麦と卵のアンサンブルにより甘みが感じられて美味しい。スープとの相性も抜群で、交差点の向こう側にある人気店「麺彩房」(過去の記事)と拮抗するレベル。汁完必至な旨さで満足のいく一杯でした。


いし井 五反田店つけ麺 / 大崎広小路駅五反田駅大崎駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

2015年7月21日火曜日

The Sets: Live at Space Opening Fiesta : Orbital



またもや解散してしまった Orbital がリリースしたライヴアルバムを聴きました。米国の SMS というレーベルが主催しているライヴ音源シリーズ「THE SETS」の一環らしいんだけど、これって海賊盤じゃないよね?位置づけがよく分からないんですが、海賊盤対策のオフィシャルブートレグみたいなものなのかな?内容的には2012年にイビサ島で行われた「SPACE OPENING FIESTA」のライヴ音源です。音圧が低くて音質も良くないんだが、レイヴでアシッドな感覚は伝わってくる。ベリンダ・カーライルの「Heaven Is a Place on Earth」をマッシュアップしたり、瞬間的にボン・ジョヴィの「You Give Love a Bad Name」がサンプリングされていたり、というところは個人的にツボ。動画を見てもらえれば分かるけど、全く盛り上がっていないのは何故なのか?もはや Orbital もオールドスクールなのかね。必聴というわけじゃないけど、好きな人は取りあえず聴いておけ、という塩梅です。

2015年7月18日土曜日

らーめん一


先日、東中野で人間ドックを受けた後、ランチでも楽しむか…と駅に近づくと偶然にも二郎系の店を発見した。健康を測定した後に二郎系なんてめっそうもない…というのは嘘で、この店を訪問するためにわざわざ東中野の健保センターを選んだのだ。


説明しよう。僕が加入している健保は西新橋と東中野に検診センターを持っている。いつもは西新橋で受診しており、最寄りの「アタゴロウ」(過去の記事)を訪問した前歴がある。今回は「らーめん一」を訪問するために東中野を選んだというわけだ。以上 どうでもいい説明を終える。




らーめん(650円)を豚増し(200円)にして、無料トッピングをニンニクヤサイアブラで注文すればインパクトのある外観を持った一杯が着丼。極めて標高の高いヤサイの山を、荘厳なブタの壁と粉砕されたニンニクが側面から支えている。まさしく宇宙を漂流し全てを破壊する白色彗星帝国のような形状ではないか。「宇宙の絶対者は唯一人、この全能なる私なのだ。」とズォーダー大帝の高笑いが聞こえてくるようで、人間ドック後の白色バリウムを一掃するには最適な存在だ。




シャキシャキ感のあるモヤシ中心の野菜を片付け、全体の標高を減らしていく。ブタはそれほどデロリアンではなく
(but ジロリアン)、適度にぱさついているが食べ応えあり。二郎系としては可もなく不可もなくと言ったところだ。ニンニクの風味を味わいつつスープを啜れば、結構さわやかな豚骨醤油系といった風合いで、打撃力はそれほど高くない。麺は縮れまくった中太麺で、表面はつるりとしており噛みしめればもっちりだ。全体バランスが非常に良く、二郎系にしては上手くまとまっている。ちなみにお店の名前は「いち」ではなく「はじめ」。そう、二郎への遥かなジャーニーを踏み出す前に、はじめの一歩として最適な回答だ。

住所:東京都中野区東中野1-56-4 第一ビル 1F

らーめん一ラーメン / 東中野駅落合駅中野坂上駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2015年7月15日水曜日

HARDROCKLOVER : Prince


HARDROCKLOVER : Prince

突如として(というか、いつもの行動パターンで)新曲を配信したP殿下。4分足らずの曲なのに、1時間の通勤時間をひたすらリピート聴きしてしまうほど素晴らしい出来(ジャケットも素晴らしい)。

静謐なイントロと呟きのようなボーカルに導かれ、ブーストされたベースと楔のように打ち込まれるドラム。やがて暴発した銃のように叫ばれる雄叫びと、野獣の性器のように猛々しく悶絶するギター。静と動が同居しつつ徐々にビルドアップし、ロールしまくるcrazysexycoolなギターと、狂おしく叫びまくるP殿下のボーカルのせめぎ合いが凄すぎる。曲の転調なんて無いのに、こんなに目まぐるしい感覚は何なのだ?

「ここでこんな音使いをするかー!」だとか「この叫び方が股間にくる!」だとか「ぐりんぐりんなギターがエロい!」だとか、P殿下マニアの勘所を全て押さえまくっている。おそらくは殆どの殿下マニアが悶絶しまくっているんじゃないか?新たなる名曲の予感!

2015年7月12日日曜日

田田



八王子の駅周辺を歩いていると、変わった名前のお店を見つけた。何かの記号か?いや、田んぼの田だ。「でんでん」と読むのか?いや、「だだ」だ。店に近づくと「ニンニク入れますか?」と書いてある。おやおや、これはあまりにも偶然かつ必然な出会いだ。というのは嘘で、最初からこのお店を目指していた。ここは八王子地区の家系「大和家」の系列店とのこと。




入店すると、幼い僕にトラウマを残したダダのフィギュアが置いてあった。未だにダダは好きになれないんだが、それはこの際置いといて。事前情報によると、このお店のブタは割と評判が良い。従い、小ぶた(900円)の食券を購入。着丼寸前に「ニンニク入れますか?」と聞かれたので「ニンニクヤサイアブラ」と答えた。こんなにぶっこんで大丈夫か?と思うが、事前情報によると小ぶりな丼らしいので何も恐れない。




やがて着どーん。ぐりんぐりんにロールされたブタが5枚。円周の脂身をはむっと噛むと、じゅわっとヤワヤワな肉質を感じる。ジューシーに味付けされており、噛めば噛むほど柔らかく、神の領域へと到達しそうな勢いを感じる。さすがに多店舗を構えるチェーン店だけあって、そつのない完成度は非常に高い。頂上には味がついたアブラが鎮座しており、キャベツ比率高めのシャキ感があるヤサイと一緒に召し上がる。



全体のカサを減らしたところで天地返しすれば、グルーヴィーにうねった中太麺がご降臨。わしっとした食感はなかなか食べ応えがあるが、全体量の破壊力に若干欠けるのは事前調査済み。それを見越してブタを多めに食らっているのだ。スープは家系ラーメン出来ということもあって、豚骨醤油寄りのライト味。けっこう上品に作られており、万人受けしそうな味に仕上がっている。逆に言えばジャンク度合いが低めな味だが、ブタの旨さを考慮すればクオリティの高い逸品だ。

田田ラーメン / 京王八王子駅八王子駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年7月9日木曜日

Late Night Endless : Sherwood & Pinch



以前、当ブログで紹介した Sherwood & Pinch が満を持してフルアルバムをリリース。これはもうダブという枠では片付けられないほど深化した、極上のエレクトリックミュージックだ。マスタリングを手掛けるのは、多くのアンダーグラウンドアーティストから支持を集めている Rashad Becker。この布陣によりマシンビートは極めて硬質かつクリアに鳴らされ、インダストリアルな感覚と極太ベースが満載。凶悪なダブの鳴り響きにより、意識が宇宙の果てまで持っていかれる。ルーツ・レゲエから累々と流れるUKダブは、今やダブステップをも飲み込んで刻一刻と進化している。

2015年7月6日月曜日

とらきち家


いつの時代でも六角橋界隈のラーメン激戦区っぷりは変わらず、名門「六角家」(20年前に行ったことあるが、それっきり)の隣というチャレンジャブルな場所にも家系ラーメン店は存在する。しかもこのお店、柏にある「王道家」で修行を積んだ方が店主で、この界隈では食べログランキング上位に食い込む常連。入店したところ、恰幅と愛想のいい店主が手際よく切り盛りしていました。


中盛(740円)を麺固めで注文します。この店がユニークなのはサービストッピングが安価で提供されていること。ほうれん草増し50円、巻豚バラ30円を注文しましたが、この他にはネギもやし10円、野菜30円やら賄いメシまであった。しばし待てば、「吉村家」総本山系のような色合いの濃いやつが着丼した。


スープを啜ればまさしく総本山直系のような、濃厚で醤油が立った豚骨醤油スープがお口の中に広がる。中太麺は基本に忠実で、短めで食べやすい。ごわっとした食感がありながら、噛みしめるにつれモッチリした感覚も楽しめて、スープとの相性もなかなか良い。ほうれん草増しにしたおかげで、家系ではかつてない分量のほうれん草が盛られており、スープにひたひたして味のハーモニーを楽しむ。スモーキーな豚ロースと、とろり柔らかい豚バラをこれだけの安値で食べられるもの有難い。僕にしてみれば塩分濃度高めだったが、コストパフォーマンスやお店のオペレーションは素晴らしい。世代交代を痛感した瞬間だった。

住所:神奈川県横浜市神奈川区西神奈川3-1-1

とらきち家ラーメン / 東白楽駅白楽駅東神奈川駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2015年7月3日金曜日

Tellin' Stories Live : The Charlatans



この間 The Charlatans の「Tellin' Stories」を書いたので、今回はその作品の再現ライヴアルバムを。2012年6月にロンドンの HMV Apollo で行われた Tellin' Stories 15周年記念ライヴで、開催直後におみやげとして配られた音源をオフィシャルブートレグ化したもの。海賊版対策という位置付けからか、音質含めて特筆すべき内容ではない。再現ライヴだけあってアニバーサリー的な雰囲気は感じられるものの、ボーカルもよれておりダイナミズムも少々欠けている。取りあえずコレクター必携的な作品です。